北欧(スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、アイスランド)といえば、福祉国家であることで有名です。
福祉国家とは?
福祉国家とは、税金が高い代わりに、社会保障(教育、医療、年金など)が手厚い国家のことを指します。
今回は、スウェーデンに留学中の私が、実際に福祉国家に住んでみて驚いたことや感じたことについてお話しします!
幼稚園から大学まで無料
まず、これを読んでいるみなさんにとって最も身近なテーマである教育についてです。
私が住んでいるスウェーデンでは、幼稚園から大学までの教育が完全無料で受けられます。
教育費が無料であることで、金銭面の制約なしに学びたいことを学べる環境が整っています。
実際、私のスウェーデン人の友人の中には、複数の大学に通って異なる学問分野で学士号(大学卒業)を持っているというケースもあります。
他の友人は、大学に数年通ったあとに休学して就職した後、もう一度大学に戻って学んでいる人もいます。
また、日本では通常の大学よりさらに高い学費がかかってしまう医学部や芸術系の大学にも無料で通えることは、私にとってとても衝撃でした!
日本よりもどんな教育をいつ受けるかの選択肢が多く、とても良いなと感じます。
スウェーデン語学校も無料!
移民大国であるスウェーデンは、現地での生活をするために必要なスウェーデン語の語学学校にも無料で通うことができます。
ちなみに私が通う大学でも、外国人学生のためのスウェーデン語講座が開かれています!
医療も無料
スウェーデンでは、医療も無料で受けることができます。
ただし、病院にかかるまでのプロセスが日本よりもとても複雑で正直面倒です笑
まず、病院にかかりたいと思った場合、電話でメディカルサービスに問い合わせます。
そこで病状を説明し、病院にかかる必要があると判断された場合に病院の予約をとります。
病院では、まず看護師に病状を説明し、医師の診断が必要であると判断された場合にのみ医師にみてもらうことができます。
医療が無料なため、その分必要最低限の医療サービスしか受けられないのが現状です。
風邪や軽い怪我では、医師に診てもらえずに帰されてしまうことが大半です。
また、医療費が無料なのは「社会保障ナンバー」を持っている人のみです。
このナンバーはスウェーデンに一年以上住めばもらえるのですが、私は10ヶ月間の留学のためもらえず、医療費はタダにはなりません…😭
育児休暇
スウェーデンは、世界でも有数のジェンダー平等が実現されている国です。
その鍵を握っているのが、育児休暇制度です。
スウェーデンでは、育児休暇を子ども1人につき最長480日取得できます。
そのうちそれぞれ90日が母親と父親に割り振られており、残りの日数を自由に夫婦で分けることができます。
この制度のおかげで、スウェーデンでは30代男性の90%、40代男性の93%が育児休暇をとっています。
前回の記事【留学記③】スウェーデンに来て衝撃を受けたことでは、「ラテパッパ」について紹介しました。
実際に街を歩いていると、子連れのお父さんを本当によく見かけます。
また、バスや電車には必ずベビーカー用のスペースが広く取られており、社会全体が子育てに肯定的であると感じます。
これらの制度のおかげで、日本より街中で子どもを見かける機会がとっても多いです!
さらなるジェンダー平等へ
ジェンダー平等が進んでいるスウェーデンですが、問題が全く無いわけではありません。
例えば、
- 女性の割合が多い職業(保育士など)が他の職業に比べて賃金が低いこと
- 女性の貧困層に移民のバックグラウンドを持つ人が多いこと
など、解決が必要な問題はまだまだ残っています。
福祉国家でもホームレス問題はある
私がスウェーデンに来たばかりの頃に驚いたのが、街中でホームレスを見かけたことでした。
「福祉国家=幸福で裕福な国」というイメージを持っていた私にとって、衝撃でした。
調べてみると、スウェーデンを含めた北欧諸国は、昔のような福祉国家ではなくなっていることがわかりました。
元々、住宅市場は公的資金によって低価格で住宅を提供することができていました。
しかし2008年のリーマンショックやその後の経済低迷によって、現在はネオリベラル的(市場に任せる「小さな政府」)な形に変化したのです。
それにより、家賃や住宅の価格が以前よりも高騰し、ホームレスが増加しました。
現在は「ハウジングファースト」というフィンランド発祥のホームレス施策を導入し、ホームレス問題の解決に取り組んでいますが、未だ完全な解決には至っていないのが現状だそうです。
もちろん、世界的に見ればスウェーデンを含めた北欧諸国の社会保障制度は手厚いですが、1990年代までの「福祉国家の黄金期」に比べれば、その現状はよりネオリベ化しているといえます。
今回は、福祉国家として有名なスウェーデンに実際に住んだ感想について書いてきました。
スウェーデンの社会保障制度は、(日本国憲法の言葉を借りれば)「健康で文化的な最低限度の生活」を全ての人に平等に保障することを目標としています。
しかし財政的な問題などにより、その目標は完全には達成されていないのが現状です。
スウェーデンの社会には解決すべき問題もまだまだありますが、社会保障制度において日本が参考にできる点も多いのではと思います!



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