皆さん、こんにちは。
以前から噂されていた、いわゆるトランプ関税の概要が日本時間の4月3日に発表されました。
今回発表されたトランプ関税は、アメリカに輸入されるすべての製品に対し、10%の基本関税を課した上で、国ごとに異なる追加関税を上乗せするというものです。
その中でトランプ大統領は、「日本がアメリカの製品に対し約46%の関税をかけられている」と主張し、日本には24%、日本の自動車関連製品には25%の関税を課すとしました。
さらにトヨタ自動車を名指しで批判し、「日本にある自動車は94%が日本製だ。トヨタ自動車は100万台の外国産自動車を米国で販売している一方、ゼネラル・モーターズ(GM)やフォードはほとんど販売していない。米国の企業は他国で排除されている」と不満を述べました。
また、まるで「トヨタがアメリカに貢献していない」といった趣旨の発言もありました。
しかし、本当にトヨタはアメリカに貢献していないのでしょうか?
目次
・トヨタはアメリカに貢献していないのか?
・アメリカ大統領としては間違った対応ではない?
・まとめ
※注意
4月9日、トランプ大統領は「報復措置をとらず、問題の解決に向けて協議を要請してきている国などに対しては90日間、この措置を停止する」と発表しました。
そのため、相互関税を停止している期間、関税率は10%に引き下げられ、再度交渉が進む予定です。
日々目まぐるしく状況が変化しているため、この記事を執筆したのは4月4日、この注意書きを追記しているのは11日であることを、ご留意いただけると幸いです。
トヨタはアメリカに貢献していないのか?
累計490億ドルに上るアメリカへの投資
まず、トヨタは約40年前からアメリカ市場に進出し、多くの雇用と経済効果を生み出してきました。
現在アメリカ国内には10拠点を超える生産拠点、そして複数の開発拠点を有しています。
また雇用面ではトヨタ直の雇用だけで約6万人、関連企業を含めると数十万人の雇用を支えているとされています。
さらに、トヨタはアメリカ国内でも年間約200万台の車両を現地で生産・販売しています。
このようにトヨタは単なる輸出企業ではなく、雇用面そして経済面からアメリカを支える自動車メーカーであることは明白です。
またトヨタは今後もアメリカに対する積極的な投資を続けており、直近では海外初の内製電池工場(TBMNC)の稼働開始に関連し、約140億ドルの投資と5500人の新規雇用を行うことを表明しています。
(トヨタのアメリカの製造拠点の一部)
(引用元はこちら)
トヨタは100万台の外国産自動車を米国で販売している?
次にトランプ大統領の「トヨタ自動車は100万台の外国産自動車を米国で販売している」という指摘に関して、昨年トヨタ自動車はアメリカにて約233万台のクルマを販売しています。
その中には日本の愛知県にある田原工場などで生産され、アメリカに輸出されたクルマも含まれていますが、アメリカ国内でも数多くの現地生産を行い、またその数は年間150万台〜200万台に上るとされています。
(トヨタのアメリカ生産拠点での様子)
(引用元はこちら)
アメリカ車が日本で売れないのは「関税」のせい?
トランプ大統領は、「アメリカ車が日本で売れないのは、日本が46%もの関税をかけているからだ」と主張しています。
しかし、この発言には事実と異なる点が多く含まれています。
なぜなら日本はアメリカの工業製品に対して基本的にほとんど関税をかけておらず、さらに日本はアメリカから輸入される自動車に対して関税をかけていないからです。
また、例えば同じ外国車でもヨーロッパ車(フォルクスワーゲンやベンツなど)は積極的に日本市場向けの広報活動や販売網を設置している一方で、アメリカの自動車メーカーは、日本国内にほとんどディーラーを持たず、宣伝もしていません。
これはかつてオバマ元大統領が安倍元総理にアメリカ車の販売不振を問い詰めた際、安倍元総理が指摘したことでもあります。
アメリカ大統領としては間違った対応ではない?
ここまでトランプ関税に対し否定的な角度から話してきましたが、見方を変えれば「アメリカ大統領としては間違った対応とは言えない」ことも説明します。
まず前提として、トランプ大統領はアメリカの大統領であり、世界の大統領ではありません。その使命は、アメリカ国内の雇用や利益を守ることにあります。
確かに、今回の関税導入の背景にある数字や根拠にはねじ曲げられた部分も多く、国際的に見れば非常に不自然で理不尽に映るかもしれません。
しかし、「外国からの製品流入を抑え、自国の産業を保護し、国内経済を活性化させようとする」という方針自体は、国家のリーダーとして一定の筋は通っているとも言えるのです。
特に今回は、トヨタ自動車を名指しで批判しましたが、事実としてトヨタは2023年、アメリカ市場で販売台数第2位のシェアを誇っています。
もしそのトヨタに強い制限をかけることで、トヨタ車の販売台数が落ちれば、その分アメリカの自動車メーカーのシェアが上がる可能性もあります。
こうした狙いが背景にあるとすれば、「アメリカファースト」を掲げるトランプ大統領の行動は、アメリカ大統領としてはある意味で合理的とも取れるわけです。※これはあくまで可能性であり、トランプ関税を導入すればアメリカ国内にも悪影響が出る可能性もあります。
まとめ
この記事において伝えたかったことは、日本が世界に誇る企業であるからこそ、トヨタが名指しで指摘を受けているということ。
また日本からするといちゃもんの様なその指摘も「アメリカ大統領」という立場から見ればある種「理にかなっている」という点です。
連日状況が目まぐるしく変わっているからこそ、なぜこの問題が起きているのか、また原因はどこにあるのかなど、多角的に捉えていく必要があると思います。
最後までありがとうございました。














