(サムネイルは著者が撮影)
皆さん、こんにちは。
これから「〇〇ってどんなお仕事?」をテーマに、様々な職業の方へのインタビューを行なっていきます!
高校時代のエピソードからその職業に就いた理由まで、毎回詳しく取材していくので、皆さんもぜひ進路選びの参考にしていただけると嬉しいです!
記念すべき第1回はなんとあのトヨタ自動車さん全面協力のもと、自動車開発を行なっていらっしゃる齋藤尚彦さんに、「自動車エンジニアってどんなお仕事」をテーマにインタビューしてきました!盛り沢山の内容になっているので、高校編、大学編、トヨタ編(今回)の豪華3本立てでお送りします!。
目次
- 唯一愛が付く工業製品?自動車エンジニアの仕事
- 最初はひどいエンジニアだった?勘違いから生まれた慢心
- 意識改革と謙虚に誠実にクルマ開発
- 高校生に向けたメッセージ
唯一愛が付く工業製品?自動車エンジニアの仕事
現在齋藤さんは自動車エンジニアをしていますが、自動車エンジニアの仕事内容ややりがいについて、高校生向けに噛み砕いて教えて欲しいです。
なるほど(笑)!
まずモリゾウさんの言葉を借りると、クルマは愛がつく唯一の工業製品です。
クルマを所有している方は自分のクルマのことを愛車と呼びます。しかし冷蔵庫やオーブンに愛を付ける人はいません。
クルマには走ったり、音を立てたり、もちろん匂いも、そしてお客様の生活の一部になって多くの思い出を共にする工業製品です。
クルマはエンジンが心臓で、クルマのタイヤについてるサスペンションが足で、生き物そのものだと思います。
なので愛車をつくる行為は、赤ちゃんを育てることに近い。スポーツカーに関しては特に僕はそう感じています。
スポーツカーやラリーカーを見ているとサスペンション(足)がめっちゃ動いて音もすごいので、見ていて動物みたいだなというのは私もつくづく感じています。
獰猛な野獣になったり急に静かに大人しくなったりいろんな顔がありますよね。
本当にその通りだと思います。
だから本当に自分の感情が入る製品を作っています。勘違いかもしれませんが、クルマ買っていただくお客様も「クルマに生き物を投影してるんじゃないかな?」そう思って作っています。
もう1つは、クルマには機嫌がいい時と悪い時があります。
例えばすごく調子いい時は、めちゃくちゃすごい良い顔に見えます。
一方で何か不具合があって気持ちよく走れない時の顔は機嫌悪いように見えます。
それが最近になって分かるようになってきました。

(様々な顔を見せるクルマ)
(2024ラリージャパンにて著者が撮影)
最初はひどいエンジニアだった?勘違いから生まれた慢心
実は入社した頃、私は正直とんでもなくひどいエンジニアでした。
クルマに対する愛も今と比べるとそんなにありませんでした。
トヨタ自動車は台数だけで見れば世界トップクラスの規模です。
そしてクルマを作って多くのお客さまに買っていただいています。
大学を卒業してトヨタ自動車に入ったあと、心のどこかで自分たちはエリートだと勘違いしちゃいました。
「世界一たくさんクルマを売ってる会社のエンジニアだから、世界最高の技術があるんだ」っていう風に錯覚してしまいました。
そして他社に対して上から目線で見下してしまっていました。
しかし僕はモリゾウさんとクルマづくりをさせてもらってから、勘違いしていたことにやっと気づきました。
いわゆる上から目線は非常に失礼な態度です。
ただそもそも、その勘違いをしている人がかわいそうだなと今は思っています。
何故かと言うとそこで自分の成長を止めてしまっているからです。
そして「1番上だからもう俺たち完璧だぜ!」そのような意識は、会社が潰れる第1歩どころかもう第2歩、第3歩で本当に危険な意識です。
その勘違いに気づいたあと僕は自分自身に対してこう思いました。
「あ、俺は今まで馬鹿だったな」と。

(モリゾウさん達とクルマづくりをする様子)
(2025年 オートサロン TGR プレスコンファレンスより)
意識改革と謙虚に誠実にクルマ開発
もう1つ僕がトヨタに入って、ずっと勘違いしてしまったことがあります。
それは自分たちが開発しているクルマの技術論文とかデータとかを使って、「このクルマはこういう理論で作っているので完璧なんだ」という意識を持ってしまってた事です。
そして、周りやテストドライバーに「それってどういうことなの?」や「違うんじゃないの?」と言われた時に「データではこのようになっているので間違っていません」という言い訳を沢山してしまいました。
周りやテストドライバーから「この製品はなにか悪いんじゃないの?」言われた時に「データでは大丈夫です」って言っていたら当然クルマは良くなりません。
その通りだと思います。何のためのテストドライバーなのか?となりますしね。
そうです。そしてその勘違いにもモリゾウさんに気づかせてもらいました。
勘違いに気づいてからはとにかく指摘されたことを真摯に、「何が悪いのか」「自分たちも気づかない何かが悪いのでは無いのか」と一生懸命もう1回深掘りしています。
そうすると、必ず何か不具合が見つかります。何故なら機械よりも、データよりも人間のセンサーの方が精度が高いからです。
特にモリゾウさんのセンサーの精度は本当に高いです。
中には「忖度でしょ」という人もいますけど、全くそんなことはありません。
モリゾウさんはデータにも出ないところに気づいてくれています。
それは他のテストドライバーやプロドライバーも同じです。
今やっていることを「なんで昔はやってなかったかな」と、悔しいですが、正直それに気づけてよかったと感じています。

(自身のセンサーを生かしてもっといいクルマづくりをするモリゾウさん)
(提供 トヨタ自動車)
高校生に向けたメッセージ
最後に高校生に向けて一言お願いします!
僕自身もそうでしたが、高校時代先生からは「夢を持ってそこに真っ直ぐに行きましょう」ってよく言われます。
ですが夢なんてそう簡単に決まるものではありません。
なので僕が心がけたのは、いろんな経験をすることです。
勉強やスポーツ、遊びでも本当になんでも良いです。
そしてただ1つだけ言えるのが勉強やスポーツ、遊びでも一生懸命取り組む事です。
そして謙虚に、明日の自分をよくしようとする事です。
遊びでも、今日よりも明日は楽しい遊びをする事。それを繰り返していると何かが見えてきます。
そしてある時突然ハッと、やりたい事や夢に気づきます。
偉そうなことを今言っていますが、当時僕自身、一生懸命打ち込めていませんでした。
だからこそ、今皆さんは若くてエネルギーに溢れているので、そのエネルギーを何か一生懸命やるってことに集中して取り組んでほしいです!
私自身も受け止めて頑張っていきます!
お忙しい中ありがとうございました!

(齋藤さんと著者)
(愛知県豊田市某所にて関係者が撮影)
高校時代編、大学時代編、トヨタへ就職後編の3本立ての自動車エンジニアってどんなお仕事?もここまでです。いかがでしたか?
自動車業界の第一線で活躍している齋藤さんでも高校時代は沢山悩み壁に当たっていた事に驚いたのと同時に「齋藤さんでも悩んでいたのだから悩みや壁に当たっても大丈夫なんだな」と感じました。
また大学時代の勉強(研究)、現在のクルマづくりへの謙虚で誠実に一生懸命取り組む姿勢は、皆さんにとってお手本になる姿勢だと思います。
皆さんも勉強や遊びに一生懸命取り組んでみてはいかがでしょうか?
最後までありがとうございました。













