東南アジアの経済
諸国の経済水準
一人当たり国民総所得(2020年、ドル換算)が高い順に並べると、以下のようになる。
- シンガポール(55010ドル)
- ブルネイ(31510ドル)
- マレーシア(10570ドル)
- タイ(7070ドル)
- インドネシア(3870ドル)
- フィリピン(3430ドル)
- ベトナム(3390ドル)
- ラオス(2490ドル)
- 東ティモール(1990ドル)
- カンボジア(1510ドル)
- ミャンマー(1340ドル)
シンガポールが圧倒的であることがわかる。
カンボジア、ミャンマーなど、内戦など政情不安が長く続いた国は経済発展が遅れている。
(mapchartで作成)
(外務省資料)
概説
ASEANではASEAN経済共同体(AEC)が結成され、原則域内関税が全て撤廃された。これによって域内での国際分業が進み、各国の経済協力は年々深まっている。
シンガポールは、国際的な中継貿易港であるほか、金融業が発展し、多国籍企業が多く籍をおいている。
ブルネイは産油国で、石油や天然ガスを輸出することで所得が高くなっている。
マレーシア、タイは東南アジアの工業の中心で、自動車工業が集積。ASEAN域内・域外へさかんに輸出している。
カンボジア、ベトナムには縫製産業、電気機械の組み立てなど労働集約的な軽工業の集積が進む。
近年、中国がミャンマー、ラオス、カンボジアなど、東南アジアの中でも遅れた国へ積極的に投資している。
歴史
欧州列強の植民地として開発された歴史から、第二次大戦後すぐは多くの国がモノカルチャー経済となっていた。
最初に工業化を果たしたのはシンガポールで、1970年代頃から輸出指向型工業化をすすめ、アジアNIEsに数えられた。
続いてマレーシア、タイが工業化を果たし、電気機械や自動車工業が発展した。ベトナムでは、1986年からドイモイが始まったことで経済が急成長した。
1997年には、タイ発のアジア通貨危機が発生。経済が大きく混乱し、タイやインドネシアでは特に被害が大きかった。
ASEAN諸国は、1993年にAFTAを創設して域内の貿易の自由化を進めた。2015年にはこれを進化させたASEAN経済共同体(AEC)が創設され、域内の関税を撤廃。経済的結びつきが強化された。
21世紀に入っても高成長を続け、近年では中国の政府・企業による投資が増加している。