国家
国家の三要素
国家が成立するために必要な三つの要素は、
- 主権
- 領域
- 国民
の三つであり、これらは国家の三要素と呼ばれる。
主権
国家の「主権」とは、「国家がもつ最高権力」のこと。
具体的には、
- 外国の支配を受けず
- 国内を統治する
権力・権利のことを指す。
要は主権というのは「誰にも文句を言われない権利」であって、国だったら自分のことは自分でできるもん、文句は言わせないぞという権利である。
領域
領域は、
- 領土
- 領海
- 領空(領土・領海の上空100kmまで)
から成る。
領域は国家の主権が及ぶ範囲であって、簡単に言えば領域内では国家は誰からも文句を言われず好き勝手にふるまうことができるということ。
実際は、あまりにもひどいことをしていれば外国からちょっとそれはいかんでしょと口を挟まれることも多いし、最悪軍事介入に発展することもあるので完全に好き放題できるわけではないが、原理原則としてそうなっているという程度で理解してもらえれば十分。
国民
当然、国民がいない国家は存在しない。
国民は国家の主権によって統治される存在であるとともに、民主主義国家であれば主権をもつ存在でもある(国民主権)。
国家間の支配・被支配関係
現在では頻繁にはみられないが、かつては国家間に支配・被支配関係が数多く存在していた。
独立国
外国の干渉を受けず、独立した一つの国家として他の国家と対等な主権を持つ国。
宗主国
植民地を支配する国。
現在は存在しないため、「旧宗主国」という言葉の方がよく使われる。
旧宗主国とは、かつてその国を支配していた国という意味。
たとえば、英国はかつてインドを植民地として支配していたので、「英国はインドの旧宗主国」「インドの旧宗主国は英国」というように使われる。
植民地
主権を持たない地域のことで、外国に支配されている非独立地域。
現在は存在しないが、19世紀~20世紀前半は世界各地に存在した。
この時期にはアフリカやアジアの広い地域が植民地となっていた。
保護国
主権の一部を外国に握られている国。具体的には、内政権は持つが、軍事・外交を外国に頼る国が多い。
太平洋の島嶼国家に多く、軍事・外交を米国やオーストラリア、ニュージーランドに委託している場合がよくみられる。
とはいえ、現在では「保護国」という呼び名を用いることはほとんどないと言ってよく、この言葉が使われるのも世界史くらいだろう。
国家の承認
国家の要素を備えていても、国家として認められ国際社会に参加するためには、多くの国からの「国家承認」を受けることが事実上必須とされる。
国家承認とは、ある国家が別の国を「国である」と認めること。
多くの国から国家承認を受けることで、国家間の外交関係(外交官・大使の派遣など)が生じ、国際連合への参加をはじめとした国際社会への参加が可能になる。
しかしながら、一部の国から国家承認を受けていない国も数多く存在する。
例えばコソボは、世界100カ国以上から国家承認を受けている(日本も承認)が、旧宗主国のセルビア、セルビアの支援国であるロシア、民族問題を抱える中国など、大国を含む多くの国から国家承認を受けておらず、国際連合にも加盟できていない。
さまざまな形態の国家
都市国家
領域が非常に狭く、一つの都市がそのまま一つの国家になっているような国。
シンガポールやサンマリノなど。
連邦制国家
複数の国や州などが連合して一つの国を形成している国。
ドイツ、米国、ロシア、スイスなど。
中央集権国家
単一の政府に権力が集中し、全国を支配している国。
日本、フランスなど。
単一民族国家・多民族国家
単一民族国家は厳密には存在しないが、それに近い国としては日本が挙げられる。
世界の多くの国は多民族国家で、国内に複数の民族が居住し民族問題・移民問題を抱えている。