中継貿易
中継貿易
輸入したものをそのまま輸出する貿易の形態。
輸入関税のかからない自由港が、中継貿易の拠点になることが多い。
- 関税の節約
- 政治的要因による貿易障壁の回避
といったメリットがある。
- 香港
- シンガポール
- ロッテルダム
が有名。
中継貿易港のメリット
中継貿易港となることで、港としては、
- 港湾使用料収入の増加
- 港湾労働者の増加→雇用の創出
- 売買差益の獲得
といったメリットがあります。
船が港に入るときは使用料を支払う必要があるため、港としては収入になります。
また、接岸や荷役などには労働者が必要なので、労働者をたくさん雇用する必要が生じ、港湾を有する地域にとっては雇用の増加につながります。
わざわざ第三国を経由する理由
関税の節約
例えば、A国からB国に物を送りたいとします。
しかし、直接送ると関税がかかります。
ところが、A国もB国も、C国と貿易協定を結んでおり、A⇔C、B⇔Cの貿易には関税がかかりません。
このようなときは、直接送るよりもC国経由のほうが安上がりになることがあります。
貿易障壁の回避
B国が戦争を起こし、A国は経済制裁としてB国への輸出を禁止したとしましょう。
しかし、B国はA国の製品がほしい。そして、A国はC国への輸出は禁止していない。
こうした場合、B国はA国の製品をC国経由で買うことで、制裁を逃れることが可能になります。
これは古くは琉球王国の時代から盛んにおこなわれ、現在でも頻繁にみられます。ロシアなんかがいい例です。
ウクライナ戦争で欧米から制裁を食らっているロシアは、ロシアの周辺国を経由して輸出入を行い、制裁逃れをしていることが確認されています。
積み替え
荷物を運ぶときは、基本的にデカい船で一気に大量に運んだ方が安いし楽です。
でもどの港でもデカい船が入れるとも限りませんし、全部の荷物が一か所の港が目的地なんてことはありません。
ですから、各地から集めてきて、中間はデカい船で一気に運んで、またばらけさせるというような運び方をすることもあります。
主要な中継貿易港
シンガポールはマラッカ海峡を臨み、インド洋と南シナ海を繋ぐ海上交通の要所。さらに、輸入関税のかからない自由港であったことから、中継貿易の拠点として繫栄しました。
香港も自由港であったこと、また中国という巨大市場を背景に貿易額が非常に多くなっています。
ライン川河口のロッテルダムは、北海とライン川の内陸水運を繋ぐ中継貿易港として発展しました。ロッテルダムはヨーロッパ最大の貿易港で、1960年代に建設されたユーロポートはヨーロッパの玄関口として貿易の中心地となっています。