国際分業
簡単なまとめ
国ごとに得意なものをつくって互いに貿易し、相互に依存するようになること。
利点→全体で見ると生産性が向上する
欠点→政治的リスクの発生、経済格差の固定化
がある。
国際分業には垂直分業と水平分業がある。
垂直分業と水平分業
垂直分業
先進国と発展途上国の間で行われることが多い貿易です。
発展途上国は一次産品を輸出し、先進国は工業製品などを輸出します。
(ちとにとせさんより引用)
工業製品の方が利益率が高いので、経済格差が拡大するという問題があります。
また、一次産品は価格が不安定ですから、発展途上国にとっては経済が安定せず不利ということになります。
水平分業
主に先進国同士で行われる貿易です。お互いの得意な工業製品を輸出入します。
(ちとにとせさんより引用)
たとえば、日本はアメリカにレクサスを輸出し、iPhoneをアメリカから輸入する、みたいな感じです。iphoneの生産は中国ですけど。ごめんなさい良い例が思いつきませんでした。
ただし、近年は途上国でも工業生産が伸び、先進国と途上国の間でも水平分業が行われるようになっています。
国際分業をもっとくわしく
たとえばなし
試しに、学校で仲のいい二人に例えて考えてみましょう。
二人には、それぞれ得意分野があります。
- Aくん→現代文・古典
- Bくん→数学
逆に、Aくんは数学が苦手で、Bくんは国語が全然わかりません。
A「数学がわからなすぎて何時間勉強しても全然点数が上がらない…」
B「国語のコツが全然わからん!!! 数学勉強したいのに時間ない(泣)」
そこで、二人は話し合って作戦を考えました。
Aくんは数学を捨てて国語を極め、Bくんは国語を捨てて数学を極める。そして、極めた教科を互いに教える、というものです。
Aくんは国語を極めたことで国語の点数がさらに上がり、数学の神になったBくんが超分かりやすく数学を教えてくれる。
Bくんは数学を極めたことで数学の点数がさらに上がり、現代文の極意をマスターしたAくんが現代文の解き方を教えてくれる。
なんか、お互いに国・数の合計点が上がりそうな気がしませんか?
国家間にあてはめると
さっきの例では、お互いが自分の苦手分野を切り捨て、得意分野に集中して、得意分野を互いに教える、ということがおこなわれました。
これを実際の国どうしの関係に当てはめると、教科=産業、教えること=輸出 につながるわけです。
日本は自動車や一般機械が得意で、農業は苦手。
アメリカは農業が得意で、自動車は日本には負ける。
じゃあ、アメリカは農業に全集中して、日本は自動車に全集中すればいいじゃん、というのが国際分業の考え方です。
利点・欠点
国際分業を進めることには、利点も大きいですが当然欠点もあります。
さっきのAくんとBくんの例で考えてみましょう。
二人とも、自分の得意科目に集中でき、苦手科目は相手に任せることで、点数が上がる=生産性が向上しますよね。
一方で、相手に完全に頼るのはリスクでもあります。
テスト4日前になって、二人は喧嘩してしまいました。お互い口もききません。
さあ大変。苦手科目はどうするのでしょうか? 今から勉強しても間に合わない。このままだと点数ダダ下がりでお小遣いも減らされちゃうかもしれませんね。
このように、国際分業を極端に推し進めると、国同士の政治的リスクも生じることになります。
特に、食料を頼っていた場合は最悪です。日本とアメリカが戦争になって、アメリカが「はあ日本には食料売らない」といったら日本人は餓死してしまいます。政府はそんなことはできませんから、アメリカの言いなりになるしかなくなりますよね。
また、別の問題もあります。
実は、国語は100点満点の教科で、数学は200点満点の教科だったとしましょう。
これだと、数学が得意なBくんが圧倒的に有利になりますよね。Aくんは国語をどれだけ頑張っても100点は超えられないのに、Bくんは数学を極めたら200点も狙えて、先生の評価も上々です。
国同士の貿易でも同じことで、例えば車の値段はお米の値段より圧倒的に高いじゃないですか。そうしたら、車の生産に集中した国はどんどんお金持ちになって、お米の輸出に特化した国はいつまで経ってもお金が貯まらない、という状態になります。
まとめると、国際分業には、
利点→全体で見ると生産性が向上する
欠点→政治的リスクの発生、経済格差の固定化
がある、ということになります。