突然ですがみなさん、テスト勉強をしているときに、なぜかお掃除が捗った経験はありませんか?
テスト勉強以外のタイミングではお掃除が捗るわけでも無いのに、なぜか「テスト勉強中だけ」お掃除が捗る謎の現象。
そこで今回は、テスト勉強中にお掃除がはかどる理由について、心理学的な観点から4つに分けて解説していきます!
①先延ばし(プロクラステイネーション)
まず1つ目は先延ばし効果です。
ご存知の通りテスト勉強は成果が見えにくいタスク。
何時間も机に向かってもすぐに点数が上がるわけではなく、「やらなきゃいけない」と分かっていても取りかかるのが心理的に重たく、つい先延ばししやすいのです。
例えば「この作業をやったら1000円あげる」とか「1万円あげる」と言われたら成果が即座に分かるので取り組みやすいですよね。しかしテスト勉強は「1時間やったら10点上がる」といった単純な見返りではありません。
一方で掃除は成果が即座に見えます。机を拭けばピカピカになるし、ゴミを片付ければ床がスッキリします。この速攻性が脳に達成感を与え、勉強からの「逃げ道」として選ばれやすいのです。
②現実逃避と置き換え行動
2つ目は現実逃避と置き換え行動です。
テスト勉強はストレスが大きい作業の一つになります。人はそのストレスを避けたいとき、ただサボるのではなく「有益そうに見える別の行動」に置き換えることがあるのです。これを心理学では「置き換え行動」と呼びます。
例えば、テスト勉強から逃げてゲームやYouTubeに走ると「完全にサボっている」と罪悪感が大きくなります。ところが掃除なら「テスト勉強はしてないけど部屋がきれいになった」と自分を正当化できます。
その結果、「少しは意味があった」「無駄じゃなかった」と思えるので、罪悪感を減らす現実逃避として掃除が選ばれるのです。しかも掃除をすれば本当に部屋がきれいになるので、本人も満足感を得やすいという二重の効果があります。
③選択的注意
3つ目は選択的注意です。
意外かも知れませんが人間の脳は一度に処理できる情報量に限りがあります。もし机の上が散らかっていると、意識していなくても視覚的なノイズが入ってきて集中力を奪ってしまうのです。
そこで「片付けたい」という衝動が生まれ、掃除が捗ってしまうのです。そして机や部屋が片付くと視覚的な情報が減り、注意の対象が勉強に向きやすくなります。
結果として「掃除をしたほうが勉強が捗る」という感覚や錯覚が生まれやすくなり、掃除が自然と優先されるのです。
④ 認知的不調和
「認知的不調和」とは、自分の信念と実際の行動が食い違ったときに感じる不快感のことです。
例えば「勉強しなきゃ」と思っているのに、疲れて机に向かえていないと、その矛盾がストレスになってしまいます。このストレスを解消するために、人は「無駄ではない行動」を取ろうとします。その代表例が掃除です。
掃除なら「今は勉強していないけど環境を整えているから意味がある」と考えることができ、矛盾を正当化できるのです。これが掃除が妙にはかどる大きな理由の一つになっています。
最後に
このように、テスト勉強中に掃除がはかどる理由には「先延ばし」「現実逃避と置き換え行動」「選択的注意」「認知的不調和」といった心理的要因があります。
では、掃除に気を取られず勉強するにはどうしたらよいのでしょうか?
1つの方法は「勉強を始める前に掃除を済ませておく」ことです。テストの日程は前もって分かっているので、計画的に部屋を整えておけば、勉強中に掃除が捗ることを防げるかもしれません。
ただし、掃除をなくしても別の「逃げ道」が出てくることもあります。ですので、無理をせず自分のペースで勉強に向き合うことが大切です。
むしろ「掃除で気分転換しながら勉強を進める」と考えるのも一つの工夫。掃除も勉強の味方にしながら、上手に両立していきましょう!
最後までありがとうございました。












