受験勉強とは「課題解決思考」の練習である
どうも、フジです。
今回は「受験勉強とは何か」というテーマについて、私がずっと感じてきたことを整理して話したいと思います。
「志望校合格のために勉強しているだけで、受験勉強自体に意味はない」と言う高校生は多いです。確かにそれは一理あります。数学なんて勉強しても社会に出てから使うことは少ないですし、古文や漢文なんて受験勉強の中でしか使いません。私は受験生当時世界史の勉強をめちゃくちゃ頑張りましたが、海外旅行に行った時に歴史的建造物の見え方がちょっと変わるくらいですよ(笑)
でも、私はいつもこう思うんです。
受験勉強って、ただの知識習得の場じゃなくて、“課題解決の思考力”を身につける練習台なんじゃないかと。
「課題の構造化→仮説構築→検証→再設計」こそが受験勉強の本質
受験勉強の中でやっていることを冷静に見てみてください。
まず①「どういう状態を目指すのか」を明確化し(=志望校を決めてそこで求められている状態を分析)、次に②「今の自分の状態」を把握し(=模試や過去問で現状分析)、そこから③「自分には何が足りていないのか」を特定し、④足りない部分を埋めるためのアプローチを考えて実行する、そして結果を見て修正する。
これ、完全にPDCAサイクルそのものなんですよ。PDCAサイクルというのは、「課題の構造化(Plan)→仮説構築(Do)→検証(Check)→再設計(Act)」という、社会に出てから必要になってくる思考法。受験勉強というのは、このサイクルを自分一人で回しきる練習になっているんです。
勉強というのは「やみくもに頑張る」ものではありません。やるべきことは、課題を構造的に捉え、何をすれば改善するのかを自分の頭で考え、試して、修正すること。たとえば英語の長文で点が取れないとき、普通の人は「語彙力が足りない」「文法が弱い」と表面的に考えがちです。でも本当にそうなのか?もしかしたら「文構造の把握に時間がかかりすぎて、内容理解まで到達できていない」のかもしれないし、「問題文を読む前に設問分析をしていないせいで、無駄な読み方をしている」のかもしれない。つまり、できない理由を何段も何段も深く掘り下げて構造的に整理し、そこに対して最適な仮説を立てていくことが、何より大事なんです。
この「課題の構造化→仮説構築→検証→再設計」というプロセスは、受験勉強の根幹であり、そして先ほども述べた通り、社会に出てからも全く同じ構造で求められる思考法です。どんな仕事をしていても、成果を出す人って結局このサイクルを自然に回せている人なんですよね(まあ私はまだ学生なんですけど笑)。課題を見極め、仮説を立て、試し、修正する。この繰り返しができる人は、どんな分野でも通用します(と言われているんです)。
逆に、これができない人は「与えられた問題」には強くても、「自分で課題を見つけて解決する」ことができません。
だから受験勉強の本質は、単なる学力養成ではなく思考法の訓練なんです。
このフローを自分で意識的に回せるようになったとき、勉強の密度が一気に変わるでしょう。勉強が「やらされるもの」から「自分で設計するもの」に変わる瞬間が訪れる。私はそれが、受験勉強が本当に面白くなる瞬間だと思っています。
大事だからこそ難しい
さて、この「課題の構造化→仮説構築→検証→再設計」という思考フロー。これだけ聞くと「そりゃそうだよね」と思うかもしれませんが、実際にこれを自力でやるのはめちゃくちゃ難しいんですよね。だからこそ、近年いわゆる「受験コンサル」や「学習管理専門塾」が急増しているわけです。
近年のオンライン環境の普及もあって、授業をせずに勉強のマネジメントだけを行う塾がグッと増えたなあと感じます。週に一度Zoomで進捗を確認し、課題を設定し、勉強の仕方を指導するみたいな。いわば「勉強のPDCAを一緒に回してくれる存在」としての需要が爆発的に増えているんですね。
この流れ自体を、私は全く否定しません。というのも、私もまた「自分自身の現状を客観的に分析するのが最も難しい」という現実を痛感しているからです。「自分ではちゃんとやっているつもりでも、外から見ればまるで方向がズレている」なんてことはいくらでもありますし、だからこそ、第三者が俯瞰の視点からアドバイスをくれる意義は確かにあるんですよ。
「受験勉強を思考法の訓練だとするなら、それを外部に頼るのは違うのでは?」と思いました? まあそりゃそうなんですけど、そんな正論を振りかざして志望校に落ちるくらいなら、使える手は全部使って合格した方がいいじゃないですか。結局のところ、合格という結果を手にすることが第一目的ですから。
今回私が本当に言いたいのはそこではありません。
受験コンサルや学習マネジメント塾を利用するのは構わないし、むしろ賢い選択です。ただし「課題の構造化と仮説検証を、他人が完璧に代行することはできない」という事実を忘れないでくれということ、これを今回は伝えたいんですよ。
最も正確に課題を特定できるのは自分自身
私は現役で東大に合格した身で、教えることは大の得意分野、塾講師としては今年で6年目、“受験コンサル型の塾”に関わってきて今年で4年目。そんな私でも、生徒の課題を完璧に特定することは不可能に近いんですよ。
そりゃそうなんです。
だって、講師に見えているのは常に「断片的な情報」でしかないんですから。
模試の点数、偏差値、志望校判定、答案、そして生徒との会話。これらはどれも貴重な手がかりではありますが、その生徒の「本当の課題」を100%把握するには圧倒的に情報が足りません。講師と生徒の間には常に情報の非対称性が存在していて、どう頑張っても完全には埋まり得ないんです。
もちろん初歩的なつまずきなら、すぐに気づけますよ。「この文法理解してないな」「ここで詰まってるな」というレベルなら簡単に見抜けます。でも、ある程度できるようになった生徒が抱えている“深い課題”は、外部から見てもなかなか見えないんですよ。たとえば、「理解はしているけど思考の順番が整理できていない」とか、「根本の概念がズレたまま暗記で補っている」とか、そういう領域になると、講師側はもう仮説を立てながら手探りでアドバイスするしかないわけです。
だから、どれだけ優秀な講師がついても、「課題の構造化」を完全に代わりにやってもらうことはできません。勉強のペース管理や勉強法のアドバイスは役に立つかもしれませんが、でも、本当の意味で「なぜ自分は伸びていないのか」を突き止められるのは、結局自分自身しかいないんです。ここを完全に他人任せにしている限り、どこかで必ず伸び悩む瞬間がやってくるでしょう。
自分の頭でサイクルを回す者が理想を実現する
改めて言いますが、私は、受験コンサルを使うこと自体は全くもって否定してはいません(私自身も働いていますしね…笑)。むしろ使えるなら使えばいいと思います。
でも、そこで「全部お任せ」になってしまうのは違う。どんなに優れたアドバイザーがいても、最後の最後に結果を左右するのは自分自身が思考のサイクルを自分の頭で回しているかどうかです。
受験コンサルができるのは、「方向性の補助」と「視点の提供」までです。最終的な意思決定と仮説検証の実行は、必ず自分でやる必要があると思います。だから、もし今あなたがどんな塾に通っていようと、必ず意識してほしいのは「自分で考える習慣を失わないこと」です。なぜこの勉強をしているのか。この方法で何を得ようとしているのか。結果を見て、何を変えるべきなのか。そのひとつひとつを、自分の頭で考え続けてください。
この「自分で考え、設計し、修正する」という感覚を掴んだ人だけが、受験勉強を通して本当の意味で成長します。合格はあくまで結果論。その過程で身につけた“課題解決思考”こそが、大学に入ってからも、社会に出てからも、一生使える武器になるんです。
受験は人生の縮図だとよく言われますが、まさにその通りだと思います。結局、やるべきことを整理し、課題を特定し、試して、改善していく。その連続の中で人は成長していくんです。だから、受験勉強を単なる「試験対策」だと思ってしまうのは本当にもったいないですよ。
自分という人間をアップデートしていくための最高の訓練の場、そう思って受験勉強を眺めてみるとなんだかやる気も出てきませんか?
というわけで今回は以上。







