英文解釈に逃げるな
どうも、フジです。
今回は、「英文解釈」という言葉が今ではすっかり当たり前のように使われているものの、私が受験生だった2019年当時にはそんな概念自体がほとんど存在していなかった(はず)、という話をしたいと思います。
ちょっとトゲトゲしすぎかなあと思いながら、慎重に書き綴りました…(笑)
「英文解釈」という概念がなかった時代
高校生の頃の私は、受験英語の要素は「単語/文法/長文読解/和文英訳•自由英作文/リスニング」の5つだと思っていました。
「だからなんだよ」と思うかもしれませんが、この状況は非常に都合が良かったんです。ほら、受験英語の要素がこの5つであるならば、やるべきことが明確なんですよ。「覚えているか覚えていないか」の0か100、「覚えていないなら覚えればいいだけ」の英文法と英単語の2つが基礎項目として明確化されていて、まずはとにかくここを固めるべしとされていたわけです。
まあ、受験で扱われる英文法の範囲なんてかなり限定的なもので、正直NextStageやVintageを1冊きちんと仕上げておけば「網羅できた」と言って差し支えない。そう考えると、最も重要なのは英単語ですね。
話は逸れますが、英単語は明らかな基礎項目であるにもかかわらず、受験で必要な英単語知識を網羅することは非常に難しいんですよ。ターゲット1900を覚えようが、鉄壁を覚えようが、英検準1級EXを覚えようが、網羅したとは言い難い。なぜなら、英単語には「単語そのものの出現頻度」の軸に加えて、「その単語がもつ意味の出現頻度」というもう1つの軸があるからです。
つまり、“単語帳に載ってすらいないマイナーな単語が出てきた”というケースもあれば、“常識的すぎてもはや単語帳には載っていない単語のマイナーな意味が問われた”というケースもあるということ。
これがあるからこそ、受験英単語を完全に網羅するのは困難なのですが、裏を返せば、どこまでその網羅を達成できているかが、英語力を測る大きな指標になるわけです。
だから私は、英文法を早々に仕上げ、あとはひたすら英単語の学習に打ち込みました。鉄壁に載っている単語の意味を覚えるだけでなく、全ての単語を辞書で調べ、必要そうな意味はすべて追加で覚えました。長文で出てきた単語も、「またどこかで出そうだな」と思ったらノートに書き留め、暗記しました。
話を戻します。
とにかくですね、長文が読めない、英作文が書けないと思ったときは、まず真っ先に「自分の単語・文法知識の曖昧さや不足」をその原因として疑っていたんですよ。私もそうですし、私の周りの友人もそうしていたと思います。そして皆、なんだかんだで「自分の単語・文法知識の曖昧さや不足」が原因であると結論づけていました。
「英文解釈」の台頭
2020年を過ぎたあたりからでしょうか。誰が言い出したのかはわかりませんが、「英文解釈」という要素が、先に挙げた5つの要素に食い込むように台頭してきました。単語と文法、そして長文読解の橋渡しのような存在? いや、人によっては単語や文法と同じレベルの基礎項目だと捉えているかもしれません。
もちろん2019年当時も、今でいう英文解釈に相当する学習は存在していました。私自身も、学校の先生のすすめで「基礎英文精講」に取り組みましたしね(残念ながら最後までやり遂げたわけではありませんが)。確かに「文構造を理解するのが難しい文章を読む練習をしよう」という類の勉強はありはしましたが、それはあくまでも“長文読解の一部”として扱われていたように思います。「単語と文法が基礎項目である」という事実は揺らぐことはなかったのです。
それがここ最近、「文構造を理解するのが難しい文章を読む練習をしよう」という類の勉強に英文解釈という名前が与えられ、あたかも基礎事項であるかのような顔をするようになってきた…。
私はこれをあまりよく思っていません。
なぜか。
ズバリ、「長文が読めなかったときに、その原因を短絡的に“自分の英文解釈力の不足”に見出そうとする人が増えたから」です。
もちろん、本当に英文解釈力に原因があるケースもあるでしょう。しかし、多くの場合は「自分の単語・文法知識の曖昧さや不足」が根本的な原因だと私は思うわけですよ。
英文解釈に逃げるな
英語なんて所詮言語です。単語を知っていて文法も知っているのに読めないなんてことがあるはずがない。もしそうだとしたら、英語がここまで世界中で使われているわけがないでしょう。日本人が息をするように日本語を使いこなすのと同じように、英語を使っている人がいる。単語と文法を知ってさえいれば、「俺は人間に読まれたくない」と自らが読まれることを拒んでいるような文章でもない限りは、何だって読めるような気がしませんか?
私の経験上、長文が読めないのは、ほとんどの場合「自分の単語・文法の知識の曖昧さや不足」によるものです。「英単語を見た瞬間に日本語の意味が複数即答できる」「助動詞や前置詞を見た瞬間に関連する文法事項がすぐに思い浮かぶ」というような状態に達していれば、よっぽど読ませまいとしている文章でもない限り、読めないはずがないのです。
それなのに「英文解釈」というジャンルが生まれたせいで、長文が読めなかったときに「自分の英文解釈力が足りないんだ」と、短絡的にそう考えてしまう人が増えました。
理由?
そんなの単純です。英文解釈力というのは、単語や文法のように「覚えている/覚えていない」で測れない曖昧な力であり、勉強する際の負荷が軽いからですよ。取り組んでいるだけで「自分の力が伸びている」と錯覚できてしまう、そんな性質があるからです。だから無意識に、英文解釈に逃げてしまうんですよ。
「英文解釈に逃げるな」というのが私の結論です。
東大や京大、早慶レベルになれば話は別かもしれませんが、少なくとも共通テストレベルの長文は、単語と文法を知っていれば完璧に読めます。まずは自分の単語・文法知識の定着度を疑ってください。そして、それが盤石でないなら、「わざわざ問題として問われずとも、ひとつの単語・ひとつの言葉から、関連する情報を瞬時に引き出せる状態」を目指してほしいと思います。
というわけで今回は以上。







