こんにちは。世界で最も季節の真逆を行く名前の物書き、涼椎街です。
この字面気に入っているんですけど、最近全然涼しくないじゃん! って感じです(当たり前)。
しかし、たまには夏の暑さを和らげる涼しさに遭遇してみたいものです。と、いうことで。
今回は夏におすすめの小説を4作、ご紹介します(涼しくなるのかは不明ですが)。
読書が含む効果として、季節をもたらしてくれるというのは確実にあると思うんですよ。ぜひ夏を摂取してみてください。
1.乙一『夏と花火と私の死体』
あらすじ
主人公のわたしは、友だちの弥生ちゃんに木から落とされ、殺害される。弥生ちゃんは兄の健くんに嘘を伝え、結果として二人は、わたしの死体を警察の目が届かない場所に移動させていく。兄弟が絶対にバレてはいけない冒険を繰り広げる様を、死んだわたしの視点で淡々と描写した、サスペンスホラー。
推しポイント
やっぱり最初はこれですよ。前にもチラっと触れましたが、私の高校時代を暗黒色に染め上げるきっかけとなった小説です。本作を読んでホラーに憧れ、手始めに角川ホラー文庫を読み漁ることになり(※本作は集英社文庫)、なんなら高二のときにホラーを書き始めました。影響されすぎですね。
文章も洗練されていますし、ひやっとさせられる展開の連続が面白いのでおすすめです。16歳で書き上げて、17歳でデビューですよ……みなさんと同年代の青年が書いた、田舎の死体処理物語。その瑞々しい感性を味わってみてください。
2.長野まゆみ『少年アリス』
あらすじ
蜜蜂は、兄に借りた色鉛筆を教室に忘れてきてしまう。友人のアリスを誘って夜の学校に向かうが、そこでは人ならざる者たちによる秘密の授業が行われていた。幻想的な少年、翠緑色で満たされた曹達水、螢のように光る鉱物……流麗な日本語を巧みに操り、和風メルヘンの世界観を独自の文体で確立した、夏の夜のファンタジー。
推しポイント
純文学の賞である文藝賞を受賞していますが、読みにくいなんてことは全くありません。あらすじからもわかる通り、和風な、古き良き文章表現が特徴的な小説です。萌黄色、群青色、朱鷺色、蜜色などの味わい深い色彩表現や、長野自身が創作した鉱物である「螢星(ほたるぼし)など、とても綺麗な日本語がたくさん登場する小説です。アリス、蜜蜂というネーミングセンスも素敵ですね。耳丸という犬も出てきます。かわいいです。夏の夜に、現実ではない、どこか異界の幻想を冒険したような心地に浸れますよ。
3.村上春樹『風の歌を聴け』
あらすじ
1970年の夏。主人公の僕は、東京からはるばる神戸の故郷まで帰省する。そして、バーで友人の鼠とビールを飲みながら、他愛もない会話を交わし続ける。バーの洗面台で女の子を助け、その後、一緒に過ごすほどの仲になる。少ない文字数の中で繊細な章分けを行い、孤独や喪失、人間関係の儚さを描いた青春小説。
推しポイント
冒頭の文章から惹きつけられます。
完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。
こんなに潔い表現があるでしょうか。今もなお語り継がれる、名文です。
ちなみに、内容は時間が錯綜している感じがあり、癖になります。しかし、到底、一度読んだだけで理解できるものではありません。『少年アリス』と対極にある小説ですね。『少年アリス』は、単純なストーリーを高潔な日本語表現で書いていますが、『風の歌を聴け』は難解なストーリーを平易な文章で展開しています。これは、後者を文章的に劣っていると見なすことには繋がりません。文学性に富んだ、十分に夏を摂取できる叙情性を含んだ文体でした。初めての村上春樹入門としてもおすすめです。
4. Shakespeare『A Midsummer Night's Dream』(シェイクスピア『夏の夜の夢』, 福田恆存訳)
あらすじ
舞台はアテネ。ハーミアは青年ライサンダーと駆け落ちをして、ある森の中へ逃げることを計画する。ハーミアはヘレナという友人にその旨を打ち明けるが、ヘレナはそれをディミートリアスという男性に伝えてしまう。実はディミートリアスはハーミアが好きであり、駆け落ちを阻止するため、森を目指すことに。結局四人が全員森に赴くが、妖精のパックによる惚れ薬に翻弄されまくり、めちゃくちゃな恋の喜劇を繰り広げる。悲劇を描く天才が、格調高い文体で人が死なない戯曲に仕上げた、英国が誇る屈指のドタバタラブコメディ。
推しポイント
小説じゃなくて申し訳ありません。しかし面白いので紹介させてください。
読んだら必ずにやけます。口角上がります。シェイクスピアと聞くと難しい印象を持たれる方も多いと思いますが、本作に関しては本当にただただ面白いという作品ですので、ご安心を。あらすじの通り、パックが誤って、惚れ薬を登場人物たちにひたすら撒きます。まじでなにやってんねーーん、って感じですね笑。惚れ薬を塗られると、一瞬で目の前にいる人を好きになってしまうので……はい。あとはもう読んでお確かめください。
まとめ
今回は、夏におすすめの小説を紹介させていただきました。
夏休みはみなさんお忙しいとは思いますが、ぜひ、一冊でもいいので本を読んでみてください。
ここに挙げた作品でなくても構いません。先人が紡いできた数々の文学から、ぴんときたものを選び、自分だけの夏に彩ってみてください。









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