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純文学入門におすすめの小説5選


その他
2025年6月22日
涼椎街
涼椎街

みなさんこんにちは。涼椎街です。
 
 
すっかり夏になりましたね。6月なのに38度ってまじかよ、って感じです。
 
 
体力がなさすぎて今年も心配ですが、水分を摂ってがんばろうと思います。喉が渇いたときに飲むのでは遅いらしいです。とりあえず飲みまくっとけばいいんですかね。
 
 
今回は純文学を読んでみたい方に向けて、またしても小説を紹介していきます。既に好きな方にもお楽しみいただけると思うので、ぜひ。
 
 

1.梶井基次郎『檸檬』

あらすじ

「えたいの知れない不吉な塊が私の心を始終圧(おさ)えつけていた」──急に訪れた正体不明の憂鬱を極彩色の詩的文体で描いた、日本近代文学における短編小説の奇跡。丸善京都本店内で今もなお輝き続ける、瑞々しい檸檬のメタファーがここに。
 
 

おすすめポイント

近代文学は独特の堅苦しい文体が苦手なのですが、そんな私でも『檸檬』は読みやすかったです。文字数も少なく、通学時間でも読み切れるくらいです。
 
 
教科書で馴染み深い方もいるかもしれませんね(今でも載ってると信じたい)。ちなみに私の学校ではやらなかったです。
 
 
「『檸檬』が好きな人は不健康な人だ」と聞いたことがありますが、それでも私は大好きです。鬱や精神疾患に近い描写が続くのに、読み終えたとき、スカッと爽やかな風が辺りを吹き抜けていくかのようです。
 
 
無料で読める青空文庫の『檸檬』からぜひご一読ください↓
梶井基次郎『檸檬』,青空文庫
 
 

2.村田沙耶香『コンビニ人間』

あらすじ

36歳未婚、恋愛経験なし、職歴はコンビニのみ。これは、「異常」なのだろうか? 大学時代から18年間、コンビニのアルバイトを淡々とこなし続けることで、「普通」の人間になりきっていた古倉恵子。ある日、彼女は元バイト仲間の白羽という男と再会し、奇妙な同棲生活をスタートする……。第155回芥川賞を異例の(ほぼ)満場一致で受賞した、180万部突破のベストセラー。
 

おすすめポイント

みなさんは、「普通」とは一体何なのか、考えたことはありますか?
 
 
学生時代に恋愛経験があること? 定職に就いていること? 結婚していること? 仮にこれらが「普通」の基準だとしたら、該当しない人たちは人格異常者にでもなってしまうのでしょうか。
 
 
本作は、そういった、凝り固まった常識に対する追求を行い、世間に疑問を呈した作品です。私も大学に入ってから割とすぐにコンビニバイトを始めたので、コンビニ特有の決められた業務をただ事務的にこなし続けることに対する主人公の安堵は、共感とまではいきませんが、親近感のようなものを抱きました。
 
 
ページ数も短く、文体も軽いのでおすすめです。
 
 

3.小川洋子『まぶた』

あらすじ

わたしの弟は背泳ぎの水泳選手だった。オリンピックの強化選手にも選ばれたが、そのとき、弟は左手を上にあげたまま下ろさなくなってしまった。やがて弟の片腕は腐り始めて……(「バックストローク」)。ウィーン行きの飛行機内で、隣の男が飛行機に関する思い出話を語りかけてくる。「飛行機で眠るのは難しいと思いませんか?」と問いながら……(『飛行機で眠るのは難しい』)。眠りと死をもたらしてくれる「まぶた」の行方が、現実と虚構の狭間で揺れる、切なさ溢れる短編集。
 

おすすめポイント

正直、あらすじを起こそうとして起こせる小説ではないんですね。
 
 
ストーリーもはっきりしなければ、結末も曖昧なものが多いです。でも、これは純文学の特徴の一つで、『檸檬』や『コンビニ人間』も、本当はあらすじを書くなんて野暮だと私は思っています。
 
 
そこが翻って純文学の魅力になります。筋そのものじゃなくて、余白を読む(=解釈する)楽しさがあるんですよね。作者が意図的に書かなかった、ぼんやりとした部分を考察する感じです。
 
 
なので、あらすじなんてものは取っ払って、とりあえず読んでみてほしい。切実にそう思います(というか、純文学のあらすじって面白くなさそうですよね……)。
 
 
時間が取れれば、別の記事でなぜ純文学にストーリーが無いことが多いのかも解説しますね。簡単に言うと、あくまで私の考えですが、ストーリー以外のものに読者の意識を向けるため、というのがあると思っています。たとえば、ミステリーみたいに人が立て続けに殺されたら、読者はそっちのほうばっかり追っちゃう、って感じです。
 
 
あらすじで挙げた二つの小説は、高校国語の教科書にも採用されたことがあるみたいです。他の短編も、沈んだ終わり方が癖になります。
 
 
8編も収録しているのに、ページ数はなんと221ページ。30ページにも満たない読みやすい長さの作品ばかりなので、もし選書に迷ったらこの作品から読んでみてもいいかもしれません。ほんのりと漂う死の匂いに惹きつけられます。
 
 

4.堀辰雄『燃ゆる頬』

あらすじ

主人公の「私」は、高校生になったばかりの男子生徒で、寄宿舎で暮らしている。ある時、三枝(さえぐさ)という同級生が部屋にやってきた。彼は、瘦せているが白い皮膚やばら色の頬を備えた美しい少年だった。二人は次第に親密になっていき、友達以上の関係になった。しかし、夏休みに行った旅行先で出会った一人の少女をきっかけに、「私」と三枝の関係は大きく揺らいでしまう。穢れなき同性愛と、それを崩壊に導く異性への目覚めを描いた、官能的な少年愛の美学。
 

おすすめポイント

BL好きのみなさん、お待たせしました。最高のBL、『燃ゆる頬』がついに登場です(堀辰雄ファンに怒られる、すみません)。
 
 
さて、本作は、主人公がある病気になった三枝の背中にできた突起を発見し、「ちょっといじらせない?」と言って裸にして撫でたり、雌蕊(めしべ)をくねらせて蜜蜂を呼び寄せ、受精を終えた花を見つけて揉みくちゃにしたりといった、性の気配が色づいた官能的な小説です。
 
 
ちなみに、三枝のしこりを主人公がいじるこのシーンは、2004年度千葉大学の国語第2問で出題されています。同性愛の文学を入試で取り入れたことが反響を呼びました。
 
 
思春期の哀しくも淡い葛藤が感じられる『燃ゆる頬』。ぜひ読んでみてください。
 
 
青空文庫の『燃ゆる頬』はこちら↓
堀辰雄『燃ゆる頬』,青空文庫
 
 

5.宇佐見りん『推し、燃ゆ』

あらすじ

高校生のあかりは、アイドルの上野真幸を自身の「背骨」のように大切な存在として推している。しかしある日、真幸がファンを殴ったことで炎上した。あかりの心には暗い影が差し込む。医者から複数の診断名を言い渡されるくらい、彼女は生きづらさを抱えていた。学業も家族関係も上手くいっていないあかりにとって、推しだけが支えだった……。第164回芥川賞を受賞し、まもなく100万部に迫る若き作家のベストセラー。
 
 

おすすめポイント

今が旬の小説だと思います。
 
 
みなさんの中にも、誰かを推している方はいらっしゃるのではないでしょうか。
 
 
推し活ブームが大流行している今だからこそ、推しが心の拠り所となっている若者を主人公に据えた本作は、タイムリーで、面白さを増しているでしょう。
 
 
「波に乗っている推し活を小説にしました~」みたいな単なる風俗小説で終わらせるのではなく、障害や生きづらさと戦いながら、なんとか毎日を乗り越えている若者を描いているので、読んでいて苦しい部分もあるかと思いますが、そういう読書体験が私は好きです。
 
 
文庫で160pと短いので、ぜひ。
 
 

まとめ

今回は純文学入門にうってつけの5冊を紹介しました。後半はやや燃えぎみでしたね(?)
 
 
純文学はページ数が短めなところが良いです。私は、次に読む大衆小説が少ししんどく感じることもあります笑。
 
 
結末が曖昧だったり、ストーリーがよくわからないことも多いですが、「どういう意味だったんだろうなあ」「わからないなあ」と考えている時間が幸せです。だから私は詩も好きなのかもしれませんね。わからなさを楽しむ、という感じでしょうか。
 
 
ああだこうだ言っていますが、私もまだまだ初心者です。周りにはすごく詳しい方がいらっしゃるので、教えていただきながら精進しています。なのでみなさんもご一緒によくわからない純文学を楽しみましょう~!
 
 
色々語ってしまって、大学の小課題で出す小説くらいの長さになってしまいました……。最後まで読んでいただきありがとうございました!

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涼椎街

物を書く大学生です。短い文章を載せます。