森林破壊
森林破壊
森林が伐採されるなどして、回復しない状況になること。
樹木の伐採、山火事、気候変動によるものなどさまざまな原因がある。
温室効果ガスである二酸化炭素の吸収を減らし、排出を増加させて地球温暖化の大きな原因となる。
水源涵養、生物多様性の保全、国土保全、二酸化炭素の吸収などの森林の機能が失われ、地球環境に重大な影響を及ぼす。
冷帯林の破壊
原因
過剰な伐採が原因。
とはいえ、冷帯には先進国が多く、環境に配慮した計画的な林業が普及しているため冷帯林の破壊はそこまで深刻ではない。
影響
樹木が伐採されることで地面に直射日光が当たるようになり、地面が温められて永久凍土が融解することがある。
永久凍土が融解すると、土地が沼地のようになり、木の生育に適さなくなって森林の再生が困難になる。
また、永久凍土に閉じ込められていたメタンが放出されることで地球温暖化を加速させる懸念もある。
熱帯林の破壊
原因
不適切な林業による過伐採・不十分な植林
熱帯林にはいろいろな種類の木が生えており、用材として価値のある木は多くない。要は、いらない木が大量に生えていて邪魔になっている状態である。
必要な木だけ選んで伐採するのは効率が悪いので、いらない木も全部まとめて伐採してしまうことが多い(皆伐)。このため、必要以上に森林破壊が進んでしまう。
また、熱帯林は自然に回復する力が弱いため、伐採後に適切な植林がなされないと木が生えてこなくなり、裸地になってしまう。
プランテーション開発
農地を作るために森林を伐採する場合も多い。特にスマトラ島、ボルネオ島(カリマンタン島)で顕著。
両島では、熱帯雨林を伐採して油やしプランテーションを急速に拡大している。
牧草地への転換
森林を焼き払い、草原に変えて放牧地にし、家畜の放牧を行う場合。
特にアマゾン川流域で顕著で、放牧地では肉牛の企業的牧畜が行われている。
養殖池の造成
特に東南アジアで、えび養殖池の造成のためにマングローブを伐採・破壊する例がみられている。
日本への輸出向けのものも多く、我々の生活とも密接に関連する身近な環境問題といえる。
(マングローブ林を伐採して造成されたえび養殖池、wikimedia commons)
過剰な焼畑農業
人口爆発が起こっている地域では食料不足が深刻になっている。
焼畑農業地域では、食料を増産するために休耕期間を短縮した結果、地力が低下し、森林が回復しにくくなるという問題が発生している。
影響
- 生物多様性の毀損
- 二酸化炭素吸収量の減少
- 二酸化炭素の排出増
- 土砂災害・洪水の増加
などが主な影響。
特に、近年は山火事が頻発しており、野生生物の生息域を脅かしている。
対策
現在、条約などの森林破壊を抑制する国際的な法的枠組みはない。
発展途上国では経済成長を優先して森林の開拓を進めがちで、破壊に歯止めがかかっていない。
一方、中国のように大規模な植林を行って森林面積を増加させている国もある。
また、途上国の一部では林業を農業を組み合わせたアグロフォレストリーという取り組みも行われている。