表皮・真皮・肢芽【発生】 高校生物発展
10分12秒
説明
【 note : https://note.com/yaguchihappy 】
主にニワトリを例に、表皮と真皮の相互作用及び肢芽(AER・ZPA)について説明します。すべて発展内容です。入試では、試験中に、予想外の実験結果から、新たな知見を考察させることも多いので、内容を丸暗記しないように。
noteでも発生について解説しています。
https://note.com/yaguchihappy/n/n0e70c6213daf
●将来、四肢を形成する隆起を肢芽(しが)という。
●肢の形成には、ソニックヘッジホッグと呼ばれるモルフォゲンの濃度勾配が関わっていることがわかっている。
*肢芽は、側板中胚葉の予定領域(肢の骨の前駆細胞になる)と、体節中胚葉(肢の筋肉の前駆細胞)から細胞が移動・増殖することで形成される。
*肢芽において見られる上皮の肥厚構造をAER(外胚葉性頂堤)という。AERからは、肢の伸長に関わる因子など、様々な因子が分泌されることがわかっている。
AER直下にある肢芽の細胞を進行帯(PZ:progress zone)という。肢芽の伸長と分化は、AERと進行帯の相互作用によって引き起こされることがわかっている(進行帯では、中胚葉の盛んな細胞増殖が引き起こされ、結果として肢芽が伸長する。下図ではAERから進行帯への働きかけしか描いていないが、実際は進行帯側からもタンパク質が分泌されている)。
●初期の肢芽と体壁後方境界に近い中胚葉性の領域を極性化活性帯(ZPA:zone of polarizing activity )という。極性化活性帯はモルフォゲンとして機能するShh(ソニックヘッジホッグ)というタンパク質を分泌し、発生中の肢の前後軸を決めている。肢の前後軸には、Shhの濃度勾配だけでなく、Shhに曝されている時間も影響するらしいことがわかっている。
●ニワトリの羽毛やうろこは表皮から分化するが、どちらに分化するかは真皮の誘導によって決まることが知られている。
*皮膚は主に表皮(外胚葉由来)と真皮(中胚葉由来)からできている。
*ニワトリにおいて、背中には羽毛が形成される。肢にはうろこが形成される。
*真皮が皮膚構造をつくる司令塔となることが知られている(真皮からタンパク質[誘導物質]が分泌される)。
*真皮が由来する領域に対応した皮膚構造ができる。
①背中の真皮→表皮は羽毛を形成
②肢の真皮→表皮はうろこ等を形成
*たとえば、背中の表皮と肢の真皮を人為的にあわせると、うろこが形成される(真皮が由来する領域に対応した皮膚構造ができる)。
●羽毛は、保温、防水、外傷からの保護の他、時に装飾として発達し、同種の認識や他者に対する威嚇、異性の勧誘に機能する。
●羽毛の無い翼はイメージしにくいかもしれない。手羽先をイメージすればよい。
●ニワトリの肢には、うろこの他、爪なども生じる。
●羽毛にも部位によって違いがある。
●鳥の指はマウスやヒトの第2,3,4指に相当すると考えられてきたが、正しくは第1,2,3指に相当するらしいことがわかっている。
●表皮は、真皮を集合させるシグナルを発する。
●誘導を受ける能力を「応答能」と言うが、発生のステージが進むにつれて表皮の応答能はなくなっていく(当然である。たとえば、分化の進んだ表皮に、後から真皮をくっつけたところで何も起きるはずもないことはイメージできるだろう)。
●マウスでは、Hox遺伝子のHoxb9、Hoxc9、Hoxd9の発現パターンによってTbx5(前肢)とTbx4(後肢)が側板領域で発現する。ニワトリでは、前肢のところ(Tbx5発現領域)には翼が形成される。
●ZPAと進行帯は一部領域が重複しているとされるが、研究中である。
●肢の前後軸は、Shh(ソニックヘッジホッグ)の濃度勾配だけでなく、Shhに曝されている時間も影響するようである。
●肢芽の伸長においては、中胚葉と外肺胚葉がお互いにタンパク質を分泌し、刺激しあっている(一種の正のフィードバックがある)。
●ソニックはセガのキャラクターである。Shhの発見者がそのゲームのファンであった。
●外胚葉性頂堤=apical ectodermal ridge(AER):肢芽の先端に形成される。AERの下の間充織細胞を未分化な増殖できる状態に保ち、肢を伸長させるなどの機能をもつ。
●極性化活性帯=zone of polarizing activity(ZPA):初期の肢芽の後方部と体壁との境界に近い中胚葉性の組織の領域。ソニックヘッジホッグの作用を介して発生中の肢の前後軸を特定化する。
●進行帯=progress zone(PZ) :AERの直下にある肢芽の間充織細胞。肢芽の伸長と分化は、AERとPZの一連の相互作用によって引き起こされる。
0:00 表皮と真皮
2:09 肢芽
3:34 AER
5:39 ZPA
#生物
#発生
#肢芽
主にニワトリを例に、表皮と真皮の相互作用及び肢芽(AER・ZPA)について説明します。すべて発展内容です。入試では、試験中に、予想外の実験結果から、新たな知見を考察させることも多いので、内容を丸暗記しないように。
noteでも発生について解説しています。
https://note.com/yaguchihappy/n/n0e70c6213daf
●将来、四肢を形成する隆起を肢芽(しが)という。
●肢の形成には、ソニックヘッジホッグと呼ばれるモルフォゲンの濃度勾配が関わっていることがわかっている。
*肢芽は、側板中胚葉の予定領域(肢の骨の前駆細胞になる)と、体節中胚葉(肢の筋肉の前駆細胞)から細胞が移動・増殖することで形成される。
*肢芽において見られる上皮の肥厚構造をAER(外胚葉性頂堤)という。AERからは、肢の伸長に関わる因子など、様々な因子が分泌されることがわかっている。
AER直下にある肢芽の細胞を進行帯(PZ:progress zone)という。肢芽の伸長と分化は、AERと進行帯の相互作用によって引き起こされることがわかっている(進行帯では、中胚葉の盛んな細胞増殖が引き起こされ、結果として肢芽が伸長する。下図ではAERから進行帯への働きかけしか描いていないが、実際は進行帯側からもタンパク質が分泌されている)。
●初期の肢芽と体壁後方境界に近い中胚葉性の領域を極性化活性帯(ZPA:zone of polarizing activity )という。極性化活性帯はモルフォゲンとして機能するShh(ソニックヘッジホッグ)というタンパク質を分泌し、発生中の肢の前後軸を決めている。肢の前後軸には、Shhの濃度勾配だけでなく、Shhに曝されている時間も影響するらしいことがわかっている。
●ニワトリの羽毛やうろこは表皮から分化するが、どちらに分化するかは真皮の誘導によって決まることが知られている。
*皮膚は主に表皮(外胚葉由来)と真皮(中胚葉由来)からできている。
*ニワトリにおいて、背中には羽毛が形成される。肢にはうろこが形成される。
*真皮が皮膚構造をつくる司令塔となることが知られている(真皮からタンパク質[誘導物質]が分泌される)。
*真皮が由来する領域に対応した皮膚構造ができる。
①背中の真皮→表皮は羽毛を形成
②肢の真皮→表皮はうろこ等を形成
*たとえば、背中の表皮と肢の真皮を人為的にあわせると、うろこが形成される(真皮が由来する領域に対応した皮膚構造ができる)。
●羽毛は、保温、防水、外傷からの保護の他、時に装飾として発達し、同種の認識や他者に対する威嚇、異性の勧誘に機能する。
●羽毛の無い翼はイメージしにくいかもしれない。手羽先をイメージすればよい。
●ニワトリの肢には、うろこの他、爪なども生じる。
●羽毛にも部位によって違いがある。
●鳥の指はマウスやヒトの第2,3,4指に相当すると考えられてきたが、正しくは第1,2,3指に相当するらしいことがわかっている。
●表皮は、真皮を集合させるシグナルを発する。
●誘導を受ける能力を「応答能」と言うが、発生のステージが進むにつれて表皮の応答能はなくなっていく(当然である。たとえば、分化の進んだ表皮に、後から真皮をくっつけたところで何も起きるはずもないことはイメージできるだろう)。
●マウスでは、Hox遺伝子のHoxb9、Hoxc9、Hoxd9の発現パターンによってTbx5(前肢)とTbx4(後肢)が側板領域で発現する。ニワトリでは、前肢のところ(Tbx5発現領域)には翼が形成される。
●ZPAと進行帯は一部領域が重複しているとされるが、研究中である。
●肢の前後軸は、Shh(ソニックヘッジホッグ)の濃度勾配だけでなく、Shhに曝されている時間も影響するようである。
●肢芽の伸長においては、中胚葉と外肺胚葉がお互いにタンパク質を分泌し、刺激しあっている(一種の正のフィードバックがある)。
●ソニックはセガのキャラクターである。Shhの発見者がそのゲームのファンであった。
●外胚葉性頂堤=apical ectodermal ridge(AER):肢芽の先端に形成される。AERの下の間充織細胞を未分化な増殖できる状態に保ち、肢を伸長させるなどの機能をもつ。
●極性化活性帯=zone of polarizing activity(ZPA):初期の肢芽の後方部と体壁との境界に近い中胚葉性の組織の領域。ソニックヘッジホッグの作用を介して発生中の肢の前後軸を特定化する。
●進行帯=progress zone(PZ) :AERの直下にある肢芽の間充織細胞。肢芽の伸長と分化は、AERとPZの一連の相互作用によって引き起こされる。
0:00 表皮と真皮
2:09 肢芽
3:34 AER
5:39 ZPA
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