Hox遺伝子
Hox(ホックス)遺伝子とは
発生時に胚の前方から後方にわたる様々な部位で発現して、それぞれの部位の形の決定に関わる遺伝子のことをまとめてHox遺伝子という。 発現した結果分化する形態は種により異なるものの、Hox遺伝子は多くの多細胞生物に共通して存在する。
Hox遺伝子の特徴
①胚の場所によってHox遺伝子の発現部分が異なる
②Hox遺伝子の発現部分によって、形成される器官が異なる
③Hox遺伝子群の各遺伝子には「ホメオボックス」という共通の塩基配列が存在する。
Hox遺伝子の詳細
上の説明ではピンとこない人も多いと思うので,
もう少し丁寧に上で挙げた特徴を解説しよう。
例えば、Hox遺伝子にa,b,c3つの遺伝子をもつ生物がいたとする。(あくまで架空の生物)
この種では、胚発生時、遺伝子の発現場所が以下のように場所によって異なる。(これが特徴①)
また、このa~cの発現により、以下のように異なる部位への分化が促進される。(これが特徴②)
- a発現⇒頭部
- b発現⇒首
- bとc発現⇒背中
- c発現⇒尾部
この場合、以下のようにHox遺伝子が発現した場所でそれぞれの部位への分化が促進されることになる。 このようにして、Hox遺伝子は発生初期の胚の様々な場所で発現し、体の形態決定に関わっているのである。
Hox遺伝子群の例
哺乳類の場合
4つのHox遺伝子群が存在する。 染色体に存在する順と同じ順序で前から後ろにかけて発現することが多い。
ショウジョウバエの場合
1本の染色体に8つの遺伝子がある。 哺乳類同様、染色体に存在する順と同じ順序で前から後ろにかけて発現する。
ちなみに
Hox遺伝子が一番最初に発見されたのはショウジョウバエだと言われている。
あるときショウジョウバエで、触覚が脚になったり翅が2本から4本になるなどのホメオティック突然変異の突然変異体を解析した結果、原因遺伝子として同定されたのが、ホメオティック遺伝子である。ホメオティック遺伝子は、体節構造の決定に関わるとわかった。その後、ホメオティック遺伝子と同じようなはたらきの遺伝子群はほとんどの多細胞生物に共通して存在することがわかり、これをHox遺伝子と総称するようになったそう。
※ホメオティック遺伝子とHox遺伝子のちがいを以下にまとめたので、違いを把握しておこう!
Hox遺伝子やホメオティック遺伝子について、動画で学びたい人は、「おうち生物 ショウジョウバエの体節決定」をチェック!