永久機関、それは私たちが憧れを持っているものであり、もし実現すれば、世の中のエネルギー問題だったり、さまざまな社会問題を解決できる画期的な発明となります。しかしながら、永久機関というのはそんなに簡単なものではありません。
そこで今回は、永久機関とは何か、そしてなぜ作ることが難しいのかについて簡単に解説していきます。
永久機関とは
まず、永久機関について簡単に説明します。永久機関とは、ざっくりといえば、外部から一切のエネルギーを受け取っていないにもかかわらず、永久に運動を続けることができ、さらに仕事や発電などを行うことができる装置となっております。
ここで大事なのは、永久に動くだけでなく、外に役立つエネルギーを出せるかどうかということです。
例えば、ただ永久に回っているだけで発電が一切できないのであれば、発電等のエネルギーを生むことができないのであれば、人類の生活は何も変わりません。永久機関が夢の装置として扱われるのは、ズバリ、エネルギーを無限に取り出すことができる可能性があるからなんです。
そして、永久機関はよく2種類、場合によっては3種類に分類して説明されております。
第1種永久機関とは
まず最初に紹介するのは第1種永久機関です。こちらは外部からエネルギーを一切受け取らずに、仕事やエネルギーを生み出し続ける装置となっています。
例えばですが、何もしなくても発電が続けられる、燃料ゼロでもモーターが回り続ける、坂を下って出たエネルギー以上のエネルギーを取り出すなどのものです。これは高校物理等で習うエネルギー保存則に反してしまいます。
エネルギー保存則とは、エネルギーは勝手に増えない、作り出せないというルールです。
第2種永久機関とは
2つ目が第2種永久機関です。この第2種永久機関は少し先ほどより複雑ですが、めちゃくちゃ重要なものです。簡単に言うなら、熱を100%仕事や動力に変えることができるようなイメージです。
例えば、暑い空気から取り出すエネルギーをすべてモーターの回転に変えるような装置になります。
しかしこれも熱力学第二法則に反してしまいます。熱力学第二法則をざっくりというと、エネルギーはかなり散らばって使いにくい方向に進むということです。つまり、無駄をゼロにするのは不可能ということです。
そのようなことがある関係で、現実のエンジンやモーターでも必ずロスは発生してしまいます。どんなに高性能なエンジンでもエネルギーをすべて使い切ることができません。必ず熱などとして捨てられているのです。
なぜ永久機関は実現不可能なのか
なぜ永久機関が不可能なのか、それは先ほど言ったエネルギー保存則と熱力学第二法則が理由になります。
エネルギー保存則
まず1つ目の理由としては、永久機関が完成するとエネルギーが無から湧いてしまうということです。現実の世界ではそのようなことは起こりません。
現在の世界では、エネルギーは形を変えることはできますが、勝手に増やすことはできません。例えば、位置エネルギーを運動エネルギーに、電気エネルギーを熱や光に、化学エネルギーを熱や運動に変換することはできます。しかし、1のものを2に増やすことはできません。
高校物理だと振り子やバネ、滑り台などで学ぶものがそれだと言われております。高いところから落とせば落とすほどスピードは速くなりますが、その速さももともと高さとして持っていたエネルギーが変換されただけなんです。
熱力学第二法則
そしてもう一つが、熱力学第二法則です。こちらは、熱から100%仕事やエネルギーを取り出すという発想です。
ここで大切なのは、熱は勝手に広がる性質を持っているということです。
温かいコーヒーは、放っておくと冷めてしまいます。逆に、外から温めない限り、冷たい部屋が勝手に温まることはまずないですよね。
つまりエネルギーは自然に均一になろうとしているのです。
その流れに逆らって、すべてを仕事に変えるというのは不可能なんです。
損失をゼロにはできない
そして2つ目は、摩擦や抵抗などの損失をゼロにはできないということです。
物体が動けば何かしらエネルギーを奪われます。空気抵抗や軸の摩擦、材料の内部摩擦、電気抵抗、音。つまり、仮に永久に動くことができたとしても、少しずつ消耗していくんです。
例えば、最初1あったエネルギーは、1時間後には0.99になり、その次は0.98にと、ちょっとずつ減少してしまいます。
仮に真空にして摩擦を減らして超精密に作れば、かなり長く動かすことができるかもしれません。ただし、それは永久ではないので永久機関とは言えないでしょう。
永久機関に近づく技術はあるのか
永久機関というのは無理ですが近いものは、存在しないのでしょうか。
YouTubeなどでたまに永久機関っぽいものが出ていますが、あれは実は少しモーターで動かしていたり、何かしら補助をしていたりして、完全な永久機関ではありません。
ただ、ある意味では永久機関に似た思想のもと開発が進められている分野があります。
例えば、自動車に使われるエンジンを見てみましょう。実はエンジンはエネルギーを100%運動エネルギーに変えることは不可能なのです。
一般的なガソリンエンジン車では、熱効率はだいたい4割程度。良いエンジン、高性能なエンジンでも5割前後が限度です。残りの6程度は熱や音などとして捨てられているわけです。
ただ、この熱効率は昔に比べたら大きく向上しました。昔はもっと無駄が多かったのが、今は無駄がかなり減ってここまで来ました。
他にも、例えば電気自動車やハイブリッドカーに使用されるモーターの回生ブレーキもある意味では永久機関に近いイメージかもしれません。こちらは、下り坂やブレーキ時に減速する力というものを、今までのガソリンエンジン車であればすべて捨てたり抵抗にしていたものを、少しでも回収して加速時に使おうという発想になります。
これもまだまだ100%回収はできていませんし、それは不可能です。ただ、今まで捨てられていたエネルギーを回収できるようになったというのは、ある意味で言うと、こういった知見は永久機関の可能性に近づいているかもしれません。

(どんなに高性能なエンジンでもエネルギー効率が50%を超えることは難しい。画像は現在トヨタが開発中の新型エンジン搭載車両)
(現場にて筆者が撮影)
未来を創る超伝導
そして、現在最も近いとも言われているのが、超伝導という技術です。この超伝導というものは、ある条件、要するに多くの場合は非常に低温で電気抵抗がほぼゼロになる現象です。
抵抗がゼロなら電流が減らない、イコール、永久に流れるということになってしまいます。
最近でいえば、トヨタ自動車は各研究機関と協力した上で、水素エンジン車両に搭載する液体水素(約-253℃)の環境で超伝導モーターを用い、それでポンプを動かすという実験も行っております。
ただし、低温に保つためにはエネルギーが必要ですし、真空状態を維持するにも一定程度のエネルギーが必要です。そのため、超伝導を実現したとしても永久機関になるわけではありません。
ただ、こういった超伝導の技術は、ある意味では永久機関にすごく近いものであり、こういったものが進んでいけば、もしかしたら近い将来、永久機関に限りなく近いものができるかもしれません。
最後に
このように永久機関というものは、なかなか実現するのが難しいものではあります。ただ、日々技術者は一生懸命無駄をなくすために開発を進めております。
皆様、こういったことに興味があれば、ぜひ理系であったり、その工業大学的なところやエンジニア畑に進んでみるのもいいですし、ぜひ挑戦してみてほしいと思います!
最後までありがとうございました。









