最近、日本でも大人気の韓国ドラマ。
そんな韓国ドラマを見ていると、「半地下」と呼ばれる住宅がよく登場すると思います。
ところで、あの半地下とは一体何なのか、そしてなぜそのような住居ができたのか、疑問に思ったことはありませんか?
当然、半地下とは日本ではあまり見られない構造です。
そこで今回は、韓国ドラマでよく見る半地下について解説していきます。
半地下とは?
まず、半地下がどのようなものなのか説明していきます。
半地下とは建物の一部が地面よりも低い位置にあり、完全な地下室ではない構造を指します。
つまり「地上と地下の中間」にある構造です。
通常、半地下には窓がありますが、その窓の高さは通行人の足元や腰のあたりにあり、採光や換気が十分に取れない構造になっています。
とある大学の研究によると、半地下という居住空間は、「地下性を帯びた住宅空間が、居住者の生活アイデンティティに影響を与える」とも指摘されています。
つまり、地下と地上の中間という位置づけが、社会的な区別や境界の象徴としても扱われるのです。
したがって、半地下とは、完全に地下ではないものの地上より低い位置にある住宅空間であり、採光や通気性に制限がある構造的特徴を持っています。
なぜ半地下が生まれたのか
ではどうして半地下が韓国で生まれたのでしょうか?この半地下の起源には、朝鮮戦争が深く関係しています。
ご存じの通り、1950年に発生した朝鮮戦争、その後も朝鮮では南北の対立が続きました。
当時、韓国政府は戦時に備えて都市部の建築物に地下空間や避難施設を設けるよう政策的に求めたといわれています。
その影響で、多くの建物に地下層が設けられるようになりました。
もともとこうした地下空間は、倉庫・防空壕・避難所などの用途に使われており、人が住むための設計ではありません。
しかし、1960年代〜70年代にかけてソウルでは急激な都市化と人口集中が進み、深刻な住宅不足に陥りました。
その結果、政府が建築法を緩和し、地下・半地下空間を住居として使うことが増えてしまったのです。
こうして、かつては防空や倉庫のために作られていた空間が、徐々に「庶民の生活の場」へと変わっていきました。
庶民が多く住む理由
韓国ドラマで半地下がよく登場する理由は、そこに庶民のリアルな暮らしがあるからです。
もちろんドラマの中には財閥や富裕層を描く作品もありますが、視聴者が共感しやすいのは、やはり一般庶民の生活です。
実際、ソウルでは経済的に余裕のない人たちが半地下に多く住んでおり、ドラマでもそのような現実がリアルに反映されています。
また、半地下住宅は家賃が比較的安いため、若者や低所得層が選ぶケースが多いのも事実です。
しかしその一方で、地盤が低く豪雨時に浸水被害を受けやすいという欠点もあります。
それでも半地下を離れられないのは、地価の高さと生活コストの高さが大きな理由です。
ソウルの住宅事情と半地下の現状
現在、韓国の首都ソウルは、極端な一極集中が進む都市です。
例えるなら日本の東京の比ではないほど人口が集中しており、マンションやアパートの価格も非常に高額になっています。
そのため、一般庶民が簡単に地上の住宅に引っ越すことは容易ではありません。
結果として、半地下という形態は今もなお残っており、すぐに半地下をなくすことは難しいのが現状なのです。
まとめ
韓国ドラマによく登場する「半地下」は、もともと戦争後の防空・避難用施設が、住宅不足によって庶民の住まいとして使われるようになったものです。
庶民の生活をリアルに描くうえで、韓国ドラマに半地下が頻繁に登場するのは自然なことといえます。
しかしその生活には、湿気や浸水などのリスクが伴い、社会的な階層や都市問題の象徴ともなっています。
日本も東京への一極集中が進んでいますが、幸いにも半地下に住まざるを得ない状況にはなっていません。
韓国ドラマの半地下を見るときは、その裏にある戦争の歴史・都市化・格差社会の現実を少し意識して見ると、より作品を楽しめるかもしれませんね!
最後までありがとうございました。




