先日、日本の坂口志文氏(生理学・医学賞)と北川進氏(化学賞)の2名がノーベル賞を受賞されたと発表がありました。
同じ日本人として、心から祝福申し上げます。
そんなノーベル賞ですが、言うまでもなく「世界で最も名誉ある賞」の一つです。
しかし、その中には“史上最悪”とまで言われるノーベル賞が存在することをご存じでしょうか?
今回は、史上最悪のノーベル賞について解説していきます。
史上最悪のノーベル賞とは?
ずばり史上最悪のノーベル賞は、エガス・モニス氏が受賞した1949年第50回ノーベル生理学・医学賞です。
彼がノーベル賞を受賞した理由は「精神疾患を持つ患者の前頭葉切断手術(ロボトミー)」という技術でした。
当時の時代背景
現在では「心の病」は薬や心理療法など、さまざまな方法で治療・軽減することができる時代です。
しかし、1949年当時はそうした薬がまったく存在しなかった時代でした。
そのため、医学ができることといえば、拘束・隔離、電気ショック、インスリン昏睡療法など、いわゆる“鎮静”しか方法がなかったのです。
そんな時代にモニス氏が行った「脳の一部を切れば症状が軽くなるかもしれない」という発想は、当時としては画期的な“生物学的治療”として受け止められてしまいました。
画期的に見えた理由
当時の精神医学は、「心の病を脳の機能として扱う」という方向へ進んでおり、“脳の配線異常を切断して治す”という考え方は、理論的に見えたのです。
実際、モニス氏はこの方法をもとに、多くの論文を発表し、実際に治療を重ねました。
その結果、ノーベル賞を受賞するまでの約15年の間、世界中で注目される存在になったのです。
「効果がある」と誤解された訳
受賞当時、彼の報告によると「20例中7例が完全に改善、7例が部分的に改善」つまり約7割が改善したと受け止められましたが、実際には長期的な追跡は行われていませんでした。
確かに前頭葉を切除すれば、一時的に症状が落ち着くこともありました。
しかし、それが大きな間違いの始まりだったのです。
栄光と暗黒
モニス氏がノーベル賞を受賞した後、研究が進むにつれて、この手術の“闇”が明らかになっていきます。
手術を受けた多くの患者が、人格喪失、無表情、社会生活の困難など、重度の後遺症を残したのです。
前頭葉を切断するということは、感情を司る部分を傷つけるということ。
つまり、「感情を失い、思考が鈍り、人間らしさを失う」結果を生んでしまったのです。
やがてモニス氏の理論は急速に信用を失っていきます。
その後、薬による治療が登場し、ロボトミーは“人を人でなくす治療法”として忌まれるようになりました。
医学史上最も暗い遺産
こうしてロボトミー手術は、医学史上最も暗い遺産の一つとなりました。
当時は技術や薬が未発達だったため、ある意味では仕方のない面もあります。
しかし結果的に、多くの人々を犠牲にしたこともまた事実です。
ノーベル賞が示す教訓
ノーベル賞は確かに世界最高の栄誉の一つです。
しかしその裏には、「当時は正しいと信じられていたが、後になって誤りと分かった」受賞も存在します。
今回紹介したエガス・モニス氏のノーベル賞はまさにその象徴です。
科学の進歩とは、常に正解と失敗を繰り返しながら成り立っているのです。
最後に
もしかしたら、この他にも「本当にこのノーベル賞は正しかったのか?」と疑問を持たざるを得ないノーベル賞があるかもしれません。
特に医学や平和賞などの分野では、時代が変われば評価も変わります。
ぜひ皆さんも、自分なりに過去のノーベル賞を調べてみてください。
その中には、今の私たちに大切な教訓を与えてくれる“間違いから学ぶ科学”があるかもしれません!
最後まで、ありがとうございました。










