この世の中にはインターネットや電子レンジ、GPS、高速道路、運転アシスト付きモビリティなど、さまざまな便利なもので溢れています。
ところで、戦争といえば悲しい出来事ですよね。
ただ、この皆さんが普段使っている便利なグッズの一部は、実は戦争があったからこそ生まれたアイテムだったこと知っていましたか?
今回は、戦争がきっかけで生まれた技術革新について解説していきます。
インターネットの始まり
まずはインターネットからです。
インターネットの発端は、1950年代〜60年代の第二次世界大戦後、アメリカとソ連が冷戦状態にあった時期にさかのぼります。
当時の懸念として、「攻撃で通信網が破壊されたら軍が指令を出せなくなる」という問題がありました。
従来の通信は有線でつながっていたため、一部が壊れると全体が機能しなくなるリスクがあったのです。
この問題を解決するために、アメリカ国防総省の研究機関が研究を開始しました。
もし一箇所が破壊されても全体に情報を出せるようにする。つまり、分散型通信ネットワークを作ろうとしたのです。
そして1969年、世界初のネットワーク「アーパーネット」が誕生しました。
最初はわずか4台のコンピューターを接続してスタートしましたが、やがて通信ルールが整備され、世界中の研究機関や大学へと広がっていきます。
その後、1980年代から1990年代には民間企業にも開放され、私たち一般人でもインターネットという便利なツールを使えるようになりました。
もともとは「戦争で通信を守るための手段」だったインターネットが、今では「世界をつなぐ技術」になったのです。
メール、クラウド、AI、スマートフォンなど、現代の多くの技術はこの延長線上にあります。
ある意味では戦争があったからこそ、私たちは今インターネットを快適に使うことができるのです。
電子レンジの誕生
続いては私たちがお弁当などを温める際に使用する電子レンジです。
時は第二次世界大戦中、イギリスやアメリカはレーダー開発競争を繰り広げていました。
その中で重要だったのが、マイクロ波を発生させる「マグネトロン」という装置です。
簡単に言うと、これは戦時中にイギリスやアメリカが開発したもので、飛行機のレーダーとして遠くから敵機を感知するための技術でした。
一見、電子レンジとは関係がなさそうですが、戦後、このレーダー研究に関わっていた技術者パーシー・スペンサーが、研究中にポケットの中のチョコレートが溶けていることに気づきます。
そこから「マイクロ波で食品が温まる」ことを発見したのです。
これが電子レンジの始まりです。
その後、世界初の電子レンジが開発され、どんどん世界中に普及していきました。
私たちが冷凍食品やお弁当を温めるのに使っている、あの便利な電子レンジも、実は戦争があったからこそ生まれたものなんです。
GPSの誕生
そして3つ目はGPSです。
GPSと聞くと少し難しく感じるかもしれませんが、スマートフォンのマップアプリ(Googleマップなど)で自分の位置が分かったり、道案内をしてくれたりしますよね。
これらは、宇宙にある多数のGPS衛星とスマホの位置情報を組み合わせて計算し、現在地を割り出す技術です。
しかし、このGPSはもともと軍事用として開発されたものでした。
冷戦時代、アメリカとソ連は宇宙・軍事分野で激しく競争していました。
1957年、ソ連が人工衛星スプートニク1号を打ち上げたことで、「敵の位置を正確に知ること」の重要性が一気に高まりました。
それを受けてアメリカは、人工衛星を使って位置を測定・特定するシステムの開発を進めることになります。
これが後のGPSです。
本来の目的は、戦場やミサイルの正確な位置を把握することでした。
その後、1978年に最初のGPS衛星が打ち上げられ、軍事運用が開始されます。
さらに1990年代に入ると、アメリカ政府が民間利用を一部解禁。
これにより、カーナビやスマートフォンなどに応用されるようになりました。
現在では自動運転、物流、災害救助など、幅広い分野で使われています。
結論:戦争がもたらした「技術の進歩」
今回例に挙げた3つの技術、どれも非常に便利で、戦争とは関係がなさそうに見えますが、実は戦争があったからこそ生まれた技術革新だったのです。
もちろん、戦争はないに越したことはありません。
しかし事実として、戦争があったからこそ技術革新が進んだのもまた事実。
なぜかというと、技術革新がなければ相手に勝てないからです。
そして現代では、物理的な戦争だけでなく、自動車やITなど民間分野でも「知的な競争」が起きています。
この競争の中で、より良い製品を作り、世の中が笑顔にあふれるような技術が次々と生まれているのです。
戦争というものは悲しい出来事ではありますが、「競争が技術を進化させる」という点では、現代の平和的な産業競争にも共通しています。
戦争が生んだ技術革新、それは今の民間社会にも受け継がれているということを、ぜひ知っておいてほしいと思います。
最後までありがとうございました。




