これからの季節、インフルエンザや季節風邪など、様々な病気のリスクが極めて高まってくる時期です。受験生の皆さんは特に気をつけて欲しいと思います。
そんな中、インフルエンザをはじめほとんどの風邪は日本において死亡率が極めて低い病気であり、基本的に皆さんの年代で命を落とすことはほとんどありません。
しかし、世の中には致死率がなんと100%の病気が存在します。
今回は致死率100%!?恐怖の伝染病について解説していきます。
致死率100%の伝染病とは何か
その致死率100%の伝染病とは「狂犬病ウイルス」いわゆる狂犬病です。
では、狂犬病とは一体どのような病気なのでしょうか?
感染経路:噛まれた傷口から体内へ
まず狂犬病の感染経路から説明していきます。狂犬病の主な感染経路は、感染した唾液中にウイルスを持つ動物に噛まれたり、引っかかれたりすることです。
これは最も典型的な感染経路であり、簡単に言えば「噛まれた傷口に唾液が入ることで感染する」という仕組みです。
また、傷口以外にも、目・鼻・口などの粘膜や皮膚の傷に唾液が触れることで感染する可能性があります。
ただし、人から人への感染については、基本的に報告例はありません。
ウイルスが体内に入った後の流れ
では、ウイルスが体に入った後はどうなるのでしょうか。
狂犬病ウイルスは、次のような順序で体内を進行していきます。
侵入と初期増殖
ウイルスは傷口から侵入した後、周辺の筋肉や皮膚組織で初期増殖を繰り返します。
神経への侵入
その後、ウイルスは筋肉や皮膚組織から近隣の神経を介して中枢神経、つまり脊髄や脳へと移動していきます。
その際血流にはほとんど乗らず、神経を伝って移動していくのです。
潜伏期間
移動速度は神経伝達の速さに依存するため、噛まれた場所が脳に近いほど潜伏期間が短くなる傾向があります。
中枢神経での増殖と症状の発現
ウイルスは脳や脊髄にたどり着くと、そこで増殖し、炎症や神経細胞の破壊を引き起こします。
再分配(体内拡散)
さらに唾液腺、皮膚、肺などにも到達し、唾液などを通じて再び感染源となる可能性が生まれます。
死亡
最終的には、脳の障害によって呼吸や心臓の機能が停止し、死に至ります。
これが「致死率100%」といわれる理由です。
潜伏期間と発症までの時間
潜伏期間は一般的に1〜3か月とされていますが、例外的に数日で発症したり、逆に1年以上経ってから発症するケースも報告されています。
感染源:犬から人へ
では、この狂犬病はどこからやってくるのでしょうか。
名前の通り、主な感染源は犬です。
「うちにも犬を飼っているけど、狂犬病は大丈夫なの?」そう思う方もいるかもしれませんが安心してください。
日本で基本的には狂犬病の心配は必要ありません。
日本国内で狂犬病の心配がない訳
日本では戦後間もない頃に「狂犬病予防法」が制定され、犬の登録と年1回のワクチン接種が義務化されています。
そのおかげで、1957年以降、日本国内で犬由来の狂犬病は一切報告されていません。
実際、日本はWHOによって「狂犬病清浄国」として認定されています。
つまり、日本の犬は世界的にも安全といえるのです!
それでも油断は禁物?:海外での感染リスク
ただし、油断はできません。
この狂犬病は今もアフリカや東南アジアなどで野良犬を中心に多くの感染が発生しています。
つまり、そういった国々では狂犬病がまだ「浄化」されていないのです。
そのため、留学や旅行でフィリピンなどに行った際に、野良犬に噛まれてしまうと感染の危険があります。
実際に、
- 1970年:フィリピンで犬に噛まれた日本人が帰国後に発症・死亡
- 2006年:同じくフィリピン滞在中に犬に噛まれ、帰国後に死亡
という事例が報告されています。
ですので、旅行や留学などでフィリピンをはじめとする地域に行く際には、むやみに野良犬に近づいたり、触れたりしないことが重要です。
そしてその注意が、あなたの大切な命を守ることにつながります。
おわりに
致死率100%という恐ろしい狂犬病。
しかし、正しい知識と予防によって、感染を防ぐことは可能です。
日本が狂犬病ゼロを維持できているのは、国の制度と国民の意識による努力の結果です。
これからも皆さんの飼い犬もぜひ狂犬病のワクチン接種を徹底していきましょう!
最後までありがとうございました。




