突然ですが皆さん、リサイクルと聞くとどのようなイメージを持っていますか?
おそらく多くの人が「環境に優しい」「自然環境の保護」といったポジティブな印象を思い浮かべると思います。
確かにリサイクルはゴミの削減や資源の再利用などエコな側面もありますが、必ずしも「エコ」だとは限らないのです!
今回はリサイクルの現実について紹介していきます。
リサイクルの仕組みと隠れたコスト
まず初めにリサイクルについて簡単に説明をします。
リサイクルとは、一度使ったものを捨てるのではなく加工し直し、新しい製品として再び利用する仕組みのことです。しかし、この過程には多くのコストがかかっています。
ここでは紙のリサイクル(古紙リサイクル)を例に挙げて紹介していきますが、紙のリサイクルは、回収車による回収、分別、輸送、洗浄、漂白、加工など、膨大な工程が必要です。
またコピー用紙のような白い紙に再生する場合は、インク除去や漂白のために薬品やエネルギーが新紙以上に必要となることもあります。
そのため「環境に優しい」と思われがちな古紙リサイクルは、実際には新しく紙を作るよりも環境負荷が大きい場合もあるのです!
さらに、古紙の多くは都市部で発生します。しかし音や匂いなどの理由で都市部でのリサイクルはとても現実的ではありません。
実際、日本有数の製紙企業は都市部で出た大量の古紙を愛媛県などの製紙工場に運んでリサイクルを行っています。
そして輸送にも膨大な環境負荷とお金がかかってきます。加えて、古紙を処理する際には独特の悪臭や有害物質も発生するのです。
結果として、紙のリサイクルは「環境に良い」というイメージとは裏腹に、環境負荷も経済的なコストも決して小さくはないのが現状となっています。
製紙業界の実態___森林伐採を本当にしているのか?
とは言え「新しい紙を作るために木を伐採するのは環境破壊ではないか」という声もあるでしょう。
確かに海外の一部企業では森林伐採が問題視されるケースもあります。しかし、日本の大手製紙会社は事情が異なります。
実際には、自社やグループで管理している「植林地」でパルプ原料となる木を計画的に育て、10年前後のサイクルで伐採と植林を繰り返しています。
これは農業と同じ仕組みです。稲作が春に田植えを行い秋に収穫するのと同じように、製紙業界では10年単位で木を育てて収穫しているだけです。
もし「植林木の伐採」を環境破壊だと否定するなら、農業そのものも否定することになってしまいます。私たちが食べているお米や野菜も、同じく人の手で育て、収穫し、また植えているのです。
最後に:リサイクルをどう捉えるべきか
もちろんリサイクルには良い面もあります。資源の有効利用やゴミ削減など、社会にとってプラスになる側面も無視できません。
しかし、今回の例のようにリサイクルが100%善とは限りません。
リサイクルのために余分なコストがかかれば、その分は製品価格に転嫁され、私たち消費者が負担することになります。
また、環境に優しいと信じて進めていたはずのリサイクルが、逆に環境への負荷を高めてしまうと、不利益を被るのもまた私たちです
「リサイクルには良い面と悪い面がある」、そのことを忘れずに、今後の社会をどのようにしていくのか考えてほしいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。









