昨今、一部メディア報道やSNS上で「徴兵制」という言葉を目にする機会が増えています。今回はこの徴兵制について、
- そもそも徴兵制とは何か
- 日本で導入するとどうなるのか
- 憲法との関係性
などについて、解説していきます。
徴兵制とは何か?
まず初めに徴兵制について簡単に説明をします。
徴兵制とは、簡単に言えば国民に対して一定期間「兵役」に就くことを強制的に義務付ける制度です。
主に戦争時に兵士を確保することを目的として、20世紀の多くの国家で採用されていました。特に男性に限定される場合が多く、国家の防衛や戦争遂行のための「人的資源」とみなされ、活用されてきました。
現代では韓国、イスラエル、スイスなどの限られた国に残っていますが、多くの民主主義国家では徴兵制は廃止され、「志願制」へと移行しています。
日本で徴兵制を導入したらどうなるか?
もし仮に日本で徴兵制を導入しようとした場合、現行憲法に明確に違反するとされています。
ここでは特に問題となる憲法の条文を2つ紹介します(他の条文にも抵触する可能性があります)。
①憲法第18条「奴隷的拘束及び苦役の禁止」
憲法第18条には「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない」と定められています。
そして徴兵制は犯罪を犯していない一般国民に対して強制的な勤務(苦役)を課すものであり、この条文に明確に反するものと解釈されています
②憲法第22条「職業選択の自由」
憲法第22条では「居住、移転、及び職業選択の自由を保障」しています。
しかし、もし徴兵制が実施されれば、たとえ大学進学や就職を希望していても、一定期間は「軍人」として過ごさなければならず、これは職業選択の自由の重大な侵害となる可能性があります。
憲法9条で国民の生命と財産を守れるのか?
一方で、「憲法9条を守れば国民の生命と財産を守れる」と無条件に信じ、憲法改正の議論をタブー視する現状には疑問が残ります。
ロシアとウクライナの例
例えば2022年、平和を掲げていたウクライナに対して、ロシアは一方的に軍事侵略を開始しました。
たとえ自国が戦争を望まず、平和憲法を掲げていたとしても、相手が攻めてくるなら、戦力がなければ守れません。
どれだけ憲法で平和を訴えても、現実には脅威が存在しますし、その脅威から国民の生命と財産を守るための武力は間違いなく必要となります。
だからこそ、現実を見据えた議論や憲法改正の議論も必要ではないでしょうか?
まとめ
徴兵制とは、国民に対して一定期間の兵役を義務付ける制度であり、かつては多くの国家で採用されていました。しかし現在では、志願制へ移行する国が増えており、徴兵制を維持している国は限られています。また、日本において徴兵制を導入することは、現行憲法に反しているという指摘が中心です。
一方で、現実を直視した安全保障の在り方や、憲法のあり方について冷静に議論することに関しては、今後の私たちに求められることなのではないでしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございました。









