4月13日、住宅設備大手でトイレやバスタブなどを製造・販売しているTOTOが、ナフサを利用しているバスタブなどの新規受注を停止したと発表しました。
この受注停止については、4月20日頃から順次、新規受注に対応する方針が後日発表されていますが、バスタブのような一見、原油とは関係なさそうな製品にも、今回のイラン情勢が関わっているのです。
今回は、ナフサ不足について解説していきます。
ナフサとは何か
まず、ナフサについて簡単に解説していきます。
ナフサとは、原油の精製過程において、ガソリンや軽油などと共に抽出される軽質の石油製品です。
特性としては揮発性が高く、燃料としてではなく、原料として使われることが多い物質となっています。
そしてここからが、今回の問題の本質です。
ナフサが多岐にわたる分野に影響を与える理由は、ガソリンのように燃やして使うものではなく、プラスチック製品や化学製品を作るための原料として使われるからです。
具体的には、ナフサを出発点としてエチレンやプロピレンといった基礎化学原料が作られ、そこからポリエチレンやポリプロピレン、塩化ビニルなど、私たちがよく使うプラスチック製品が生まれます。
つまり、ナフサはあらゆるプラスチック工業製品のスタート地点にあたるということです。
なぜイラン情勢の影響を受けるのか
では、なぜイラン情勢の影響を受けているのでしょうか。
これは報道でもされている通り、現在イラン情勢が非常に緊迫しており、イランによるホルムズ海峡の閉鎖などが続いています。
このホルムズ海峡が閉鎖されると、多くの国が輸入できる原油の量が減少してしまいます。
簡単に言うと、世界中の多くの原油や石油がこの海峡を経由して輸送されているためです。
その結果、原油の供給量が減り、最終的にナフサも不足します。
さらにその影響は、一見エネルギー情勢と関係なさそうなバスタブや医療機器、さらにはバナナといった、多くの分野に広がっているのです。
バスタブに影響が出る理由
では、なぜバスタブの供給にも影響が出ているのでしょうか。
先ほど説明した通り、ナフサはあらゆるプラスチック製品の出発点です。
それがなければ、多くのプラスチック製品を作ることができなくなってしまいます。
バスタブには、ナフサを原料とする素材が浴槽本体や接着剤、コーティング剤などに使われています。
流れとしては
中東情勢の悪化
↓
原油の供給量の減少
↓
ナフサ不足
↓
化学原料不足
↓
接着剤・樹脂不足
↓
バスタブ製造停止
↓
受注停止
といった形になります。
医療機器への影響
次に医療機器です。
例えば
- 点滴バッグ
- 輸液チューブ
- 注射器
- カテーテル
- 透析回路
これらはすべて
中東情勢の悪化
↓
原油の供給量の減少
↓
ナフサ不足
↓
プラスチック不足
↓
医療機器の不足
という流れになっています。
また医療現場では、今回紹介しきれませんでしたが、ゴム手袋やビニール手袋なども重要な資材です。
一部では国内備蓄されているビニール手袋やゴム手袋を放出するなどの対策が予定されています。
バナナにも影響が出る理由
そして、ここで多くの人が疑問に思うのがバナナです。
バナナはプラスチック製品ではなく食べ物なので、一見すると関係がないように見えます。
しかし、バナナに影響が出る理由は「輸送と販売」にあるのです。
バナナは収穫時、フィリピンなどではまだ青く、輸送中や到着後に熟成させることで販売されます。
その際に使われるのが
- 梱包フィルム
- 鮮度保持袋
- ガス調整技術
です。
ここで使われるフィルムは、ナフサ由来のプラスチック製品です。
そのためナフサが不足すると
- 梱包資材の不足
- 輸送中の品質管理の難易度上昇
- 廃棄ロスの増加
結果として
- 供給量の減少
- 価格上昇
につながる可能性があるのです。
影響はバナナだけではなく食料品全体に広がる?
さらにこの問題はバナナに限った話ではありません。
- 魚や肉の真空パック
- カット野菜
- ペットボトル飲料
など、プラスチックを使って梱包されているすべての製品に影響が出てきます。
ナフサ不足の本質
このようにナフサというものは、一見すると何も共通点がないような産業にも影響が出ているように見えますが、実際にはすべて原材料レベルでつながっています。
こうした事態が長期化すると、
- 家電製品
- 電子機器
- ボールペンやシャープペンシル
といった、身の回りにあるほぼすべてのプラスチック製品に影響が広がります。
私たちが取るべき行動
今回のナフサ不足については、もちろん政府も対策を進めていますし、こうした問題を私たち個人の力だけで解決することは難しいです。
ただ、「不足している」と聞いて自分には関係ないと思うのではなく、自分ごととして捉え、しっかりと情報を注視することが重要です。
そして、現時点ですぐに無くなるわけではないからこそ、買い占めなどによって市場を混乱させる行為は絶対にしないようにしましょう!
最後までありがとうございました。









