例年に比べても猛威を振るっている熊による被害。
まずはじめに、熊による被害に遭われた方々にお見舞い申し上げます。また、残念ながら命を落とされた方々のご冥福を、心よりお祈りいたします。
そんな熊ですが、本州で唯一、熊が「絶滅」ではなく そもそも生息しない 都道府県があることをご存知でしょうか?
今回はその都道府県について簡単に説明していきます。
日本のクマ分布状況
まず日本における熊の分布について簡単に解説します。
まず北海道はツキノワグマではなくヒグマ。本州・四国は基本的にツキノワグマが生息しています。
なお九州は2012年に環境省が絶滅を宣言しており、現在は生息していません。
そんな中、なぜ 千葉だけが本州にもかかわらずツキノワグマがいないのでしょうか。
この謎を解くヒントは、千葉県の特殊な地形にありました。
巨大な河川が天然のバリアに?
千葉県に熊が生息していない要因として挙げられるのが利根川と江戸川からなる巨大な河川の存在です。
利根川は千葉県から見たとき、茨城県と埼玉県との境界、江戸川は東京都・埼玉県との境界を形成しています。
これらの川はどれも 非常に大きく、渡河が難しい川です。
そのため、まず熊がそれらを渡ることが難しいというのが一つ目の要因になります。
湿地と東京湾が島化を加速させた?
次に要因として挙げられるのが湿地帯と東京湾です。
巨大な河川を避け、本州(東京都・対岸の神奈川県方面)から東京湾を通じて千葉県に上陸するルートも考えられそうですが、
- 東京湾は流れが速く、熊が泳いで渡るには厳しい
- 手賀沼など、房総半島北部は昔から湿地帯が広がり、移動動物にとって非常に強い障壁となる
これらの理由により、千葉は本州側から動物が移動しづらくなり、半島というより“実質的に島”のような状態になったのです。
江戸時代の「利根川東遷」が隔離を決定づけた?
次の要因は、江戸時代に行われた 利根川東遷による人工的な隔離強化です。
これは徳川家康が、江戸湾(現在の東京湾)方面に流れていた利根川を、千葉側へ大きく流れるように大改造したもの。
これにより北側の川幅・水量が増加し、熊をはじめとする大型動物がさらに渡れなくなりました。
結果的に千葉は、より明確に 本州から切り離された状態に近づいたのです。
房総半島の山は熊が住みにくい地形?
次のポイントが千葉県の山地の特徴です。
ツキノワグマが本来生息を好む環境は
- 標高1000メートル級の山地
- どんぐりが豊富にある冷温帯林
- 広大な原生林
ですが、千葉県の房総半島の山は、標高400メートル前後と低く、どんぐりが豊富な冷温帯林もほとんどありません。
つまり、そもそも千葉県は熊が住みにくい地形になっているのです。
歴史的にも熊がいた記録がゼロという奇跡
千葉県のほか、九州も熊は生息していませんが、九州の場合は絶滅であり、過去には、確かに熊は生息していました。
一方で千葉県は珍しく、
熊が生息した痕跡が歴史的に一切確認されていない のです。
- 化石
- 歴史資料
- 伝承
- 漁師や猟師の記録
これらを調べても千葉に熊がいた記録は残っていないとされており、これは、極めて珍しいケースなのです。
結論
このように千葉県は、自然と人為的な要因が重なった結果、
- 巨大な川による天然バリア
- 湿地帯・東京湾による島化
- 江戸時代の利根川付け替えによる人工的隔離
- 低い山地で餌も少ない
- 歴史的に熊の侵入記録がない
こうした複数の理由から、本州にありながら唯一熊がいない県になったのです!
そして今後も千葉県に熊が侵入する可能性は極めて低いと考えられています。
とは言え、100%熊がいないとは言い切れません。もし千葉県にお住まいの方で熊のようなものを見かけても、好奇心で近づくのではなく、距離を取るなど適切な行動をとるようにしてください!
最後までありがとうございました。









