代謝(同化と異化) 高校生物基礎
5分17秒
説明
【 note : https://note.com/yaguchihappy 】
代謝(同化と異化)についてわかりやすく講義します。
語呂「高級イカ(呼吸は異化)」
語呂「こんなに複雑なもの作るなんてどうかしてるぜ(複雑なものを合成する反応が同化)」
●生体内で行われる物質変化を代謝といい、代謝は異化(分解反応の総称)と同化(合成反応の総称)に分けられる。
*異化の代表例は呼吸(酸素を用いて有機物を「分解」する)、同化の代表例は光合成(光エネルギーを用いて有機物を「合成」する)である。
●代謝(metabolism)という語は、「変化」「交換」を意味するギリシャ語に由来する。
●異化と同化はざっくりした概念である。全化学反応を、異化と同化に厳密に分類しているわけではない。
●すべての生物は代謝(異化と同化の両方)を行うことに注意。例外はない。動物は光合成はできないが、タンパク質の合成など、多くの合成反応(同化)を行っている。生物は、生きている限り、(ある意味)常に壊れながら、自らを作り上げ続けているのである。
「生物はたえずみずからをつくらねばならない、単に現状を維持するということさえもつくるということなくしては成り立たない。」今西錦司『生物の世界』より
「生物体というものがはなはだ不思議に見えるのは、急速に崩壊してもはや自分の力では動けない「平衡」の状態になることを免れているからです。」シュレーディンガー『生命とは何か』より
●生体の形態・成分が見かけ上一定に保たれている状態を動的平衡と呼ぶことがある(多くの生体分子の合成[同化]と分解[異化]の速度は、厳密に制御されている。全体としては、見かけ上、各分子の濃度は変化を示さず、定常状態[見かけ上、時間的に不変の状態]にある。しかし、分子のレベルでは、各分子は、合成と分解の結果、絶えず入れ代わっている[代謝回転])。家に例えてみよう。我々は常に外界から色々な物を家の中に運び込む。それと同時に、家から色々なゴミを出している。結果、「見かけ上」、家の中は変化していないように見える。しかし、半年前のシャンプーは現在のシャンプーではない。古いものが捨てられ、新しいものが補給されている。たとえメーカーが同じでも、そこには中身の回転が起きているのである。
*細胞や組織は、生体物質を合成すると同時に、同じ速度で分解している。これにより、古い分子が新しい分子と入れ替わっている。このような動的平衡状態を代謝回転(ターンオーバー)という。
●すべての生物は代謝を行う。
●生物体における「エネルギーの出入りや変換」をエネルギー代謝という。
*厳密には、代謝には物質代謝とエネルギー代謝がある。ふつう、単に代謝という時は、前者を指す(ただし両者は不可分である)。物質代謝は異化と同化を指し、エネルギー代謝は生命現象に伴うエネルギーの出入りや変換を指す(エネルギー代謝は、異化と同化をエネルギーの面から見たものであると言える)。いずれにしろ、代謝は大きな意味をもつ用語なので、高校生は厳密な定義については考えなくてよい。
●異化(分解反応)にはエネルギーの放出が伴う。同化(合成反応)はエネルギーを吸収して行う。
*あまり厳密なイメージではないが、ジェンガを考えると良い。高く積み上げられたジェンガは、手間をかけなくても、ちょっとしたきっかけで勝手に崩れる(この時、がしゃーん、と音が鳴るように、エネルギーが放出される)。一方、一からジェンガを高く積み上げる時は、膨大なエネルギーの投入が必要である(疲れるし、手間がかかる)。
●呼吸は有機物を『分解』して化学エネルギーを放出する反応で、異化のひとつ。
●光合成は光エネルギーを吸収して炭水化物(=糖)を『合成』する合成反応で、同化のひとつ。
●同化や異化と言わずに、ふつうに「単純な物質を複雑な物質に変える生合成反応」と「複雑な物質を単純な物質に変える分解反応」と言う場合も多い。(「化学的複雑さ」の定義はあいまいで、決まっていない)
●未だに解決していない生命の謎は、同化である。我々はエントロピー増大の法則という、宇宙の法則に反しているように見える。異化によって取り出したエネルギーで同化を行うのだ、という説明は教科書的である。どうして生物はそんなことができるのか。自動的に複雑化し、動き出し、喋りだす無生物がいるだろうか。物理学者シュレディンガーは、生物を「負のエントロピーを食べる」ものだと言った。われわれは負のエントロピーを取り入れている、秩序を吸い込んでいるというのだ。そうして平衡状態になるのを免れているのだという。
この問題は根本的に解決されていない。
問題:単純な物質をつなげて複雑な物質をつくる反応は、異化か、同化か?
答え:同化
問題:異化反応は、一般にエネルギーの放出を伴うか?エネルギーの吸収を伴うか?
答え:エネルギーの放出を伴う。
問題:動物の行う同化はどのようなものがあるか。
答え:アミノ酸をつなげてタンパク質を作る。
問題:二酸化炭素(無機物)を用いて炭水化物(有機物)を合成する反応は炭酸<?>とよばれる。<?>に入る語は、同化か?異化か?
答え:同化(無機物のほうが単純で、有機物の方が複雑。単純なものから複雑なものをつくる反応は一般に同化という)
問題:同化を行わない生物はいるか?また、異化を行わない生物はいるか?
答え:どちらもいない(全生物が代謝を行う)。
#生物基礎
#高校生物基礎
#代謝
代謝(同化と異化)についてわかりやすく講義します。
語呂「高級イカ(呼吸は異化)」
語呂「こんなに複雑なもの作るなんてどうかしてるぜ(複雑なものを合成する反応が同化)」
●生体内で行われる物質変化を代謝といい、代謝は異化(分解反応の総称)と同化(合成反応の総称)に分けられる。
*異化の代表例は呼吸(酸素を用いて有機物を「分解」する)、同化の代表例は光合成(光エネルギーを用いて有機物を「合成」する)である。
●代謝(metabolism)という語は、「変化」「交換」を意味するギリシャ語に由来する。
●異化と同化はざっくりした概念である。全化学反応を、異化と同化に厳密に分類しているわけではない。
●すべての生物は代謝(異化と同化の両方)を行うことに注意。例外はない。動物は光合成はできないが、タンパク質の合成など、多くの合成反応(同化)を行っている。生物は、生きている限り、(ある意味)常に壊れながら、自らを作り上げ続けているのである。
「生物はたえずみずからをつくらねばならない、単に現状を維持するということさえもつくるということなくしては成り立たない。」今西錦司『生物の世界』より
「生物体というものがはなはだ不思議に見えるのは、急速に崩壊してもはや自分の力では動けない「平衡」の状態になることを免れているからです。」シュレーディンガー『生命とは何か』より
●生体の形態・成分が見かけ上一定に保たれている状態を動的平衡と呼ぶことがある(多くの生体分子の合成[同化]と分解[異化]の速度は、厳密に制御されている。全体としては、見かけ上、各分子の濃度は変化を示さず、定常状態[見かけ上、時間的に不変の状態]にある。しかし、分子のレベルでは、各分子は、合成と分解の結果、絶えず入れ代わっている[代謝回転])。家に例えてみよう。我々は常に外界から色々な物を家の中に運び込む。それと同時に、家から色々なゴミを出している。結果、「見かけ上」、家の中は変化していないように見える。しかし、半年前のシャンプーは現在のシャンプーではない。古いものが捨てられ、新しいものが補給されている。たとえメーカーが同じでも、そこには中身の回転が起きているのである。
*細胞や組織は、生体物質を合成すると同時に、同じ速度で分解している。これにより、古い分子が新しい分子と入れ替わっている。このような動的平衡状態を代謝回転(ターンオーバー)という。
●すべての生物は代謝を行う。
●生物体における「エネルギーの出入りや変換」をエネルギー代謝という。
*厳密には、代謝には物質代謝とエネルギー代謝がある。ふつう、単に代謝という時は、前者を指す(ただし両者は不可分である)。物質代謝は異化と同化を指し、エネルギー代謝は生命現象に伴うエネルギーの出入りや変換を指す(エネルギー代謝は、異化と同化をエネルギーの面から見たものであると言える)。いずれにしろ、代謝は大きな意味をもつ用語なので、高校生は厳密な定義については考えなくてよい。
●異化(分解反応)にはエネルギーの放出が伴う。同化(合成反応)はエネルギーを吸収して行う。
*あまり厳密なイメージではないが、ジェンガを考えると良い。高く積み上げられたジェンガは、手間をかけなくても、ちょっとしたきっかけで勝手に崩れる(この時、がしゃーん、と音が鳴るように、エネルギーが放出される)。一方、一からジェンガを高く積み上げる時は、膨大なエネルギーの投入が必要である(疲れるし、手間がかかる)。
●呼吸は有機物を『分解』して化学エネルギーを放出する反応で、異化のひとつ。
●光合成は光エネルギーを吸収して炭水化物(=糖)を『合成』する合成反応で、同化のひとつ。
●同化や異化と言わずに、ふつうに「単純な物質を複雑な物質に変える生合成反応」と「複雑な物質を単純な物質に変える分解反応」と言う場合も多い。(「化学的複雑さ」の定義はあいまいで、決まっていない)
●未だに解決していない生命の謎は、同化である。我々はエントロピー増大の法則という、宇宙の法則に反しているように見える。異化によって取り出したエネルギーで同化を行うのだ、という説明は教科書的である。どうして生物はそんなことができるのか。自動的に複雑化し、動き出し、喋りだす無生物がいるだろうか。物理学者シュレディンガーは、生物を「負のエントロピーを食べる」ものだと言った。われわれは負のエントロピーを取り入れている、秩序を吸い込んでいるというのだ。そうして平衡状態になるのを免れているのだという。
この問題は根本的に解決されていない。
問題:単純な物質をつなげて複雑な物質をつくる反応は、異化か、同化か?
答え:同化
問題:異化反応は、一般にエネルギーの放出を伴うか?エネルギーの吸収を伴うか?
答え:エネルギーの放出を伴う。
問題:動物の行う同化はどのようなものがあるか。
答え:アミノ酸をつなげてタンパク質を作る。
問題:二酸化炭素(無機物)を用いて炭水化物(有機物)を合成する反応は炭酸<?>とよばれる。<?>に入る語は、同化か?異化か?
答え:同化(無機物のほうが単純で、有機物の方が複雑。単純なものから複雑なものをつくる反応は一般に同化という)
問題:同化を行わない生物はいるか?また、異化を行わない生物はいるか?
答え:どちらもいない(全生物が代謝を行う)。
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