細胞分画法と密度勾配遠心法 高校生物・生物基礎
11分14秒
説明
【 note : https://note.com/yaguchihappy 】
細胞分画法と密度勾配遠心法について講義します。
●細胞分画法:細胞を破壊して、核・葉緑体・ミトコンドリアなど細胞内のいろいろな細胞小器官や構造を、順番に沈降させることで、分離する方法。
*沈降する順番には、密度・大きさ・形などが関係する。
●細胞分画法により、密度や大きさの大きい細胞小器官から沈降させ、分離することができる。
沈降する順番:①核(や細胞壁の断片)→②葉緑体→③ミトコンドリア
(もちろん、もともと細胞が持っていない構造は分離できないので注意。たとえば動物細胞を使って細胞分画法を行っても葉緑体は分離できない。)
*核が含まれる分画の特徴:多量のDNAが含まれる。
*葉緑体が含まれる分画の特徴:光を当てると、酸素が放出される(光合成)。
*ミトコンドリアが含まれる分画の特徴:酸素を消費する(呼吸)。
*細胞質基質は最後まで沈殿しない(ミクロソーム分画の上清が細胞質基質の分画である)。
*核の含まれる分画には細胞骨格も含まれる
*ミトコンドリアの含まれる分画にはリソソームも含まれる。
リボソームの前に小胞体が沈降する(ただし、小胞体は分断されていることが多い)。
*リボソームの含まれる分画にはウイルスも含まれる。
●細胞分画法では、はじめに、ホモジェナイザーという器具で細胞をすりつぶす(細胞を壊して内容物を得るのだが、細胞小器官自体の構造は壊さないように、言ってみれば、荒くすりつぶす)。すりつぶしたものを遠心分離にかける。
●細胞分画法は等張か、やや高張液中で行う。→細胞小器官が吸水して破裂するのを防ぐため(低張液中のような濃度の低い溶液中に細胞を入れると、濃い細胞内液をもつ細胞内部に向かって水が移動する)。
●細胞分画法は低温で行う。→加水分解酵素による細胞小器官の分解を防ぐため(リソソームという細胞小器官には加水分解酵素が入っており、リソソームが壊れて外に放出された加水分解酵素は、細胞小器官を分解してしまう。そこで、温度を下げ、酵素の働きを遅くさせる)。
●細胞分画法により、ミトコンドリアが呼吸の場であることが解明された。
●密度勾配遠心法は、メセルソンらが案出し、15NのDNAと14NのDNAの分離に成功した。この結果によって、DNAの半保存的複製が証明された(メセルソンとスタールの実験:1958年)。
●高校生はまったく気にしなくてよいが、よく「遠心分離では、細胞の成分に遠心力がかかり、遠心力によって沈殿する」という説明がある。遠心力は、回転する座標系に観測者がいる場合にあらわれる慣性力の一種なので、あまり適切な表現ではない。
●密度勾配遠心法は密度勾配遠心分離法ともいう。
*高校では習わないので試験で書かない方がよいが、特殊な装置を使えば、スクロース溶液でも密度勾配をつくることができる。
0:00 細胞分画法(生物基礎)
7:51 密度勾配遠心法(発展生物)
半保存的複製の証明の動画はこちらです。
• 半保存的複製の証明(メセルソンとスタールの実験)高校生物
*動画のスライドの図はイメージです。核は染色しない限り赤くないし、ミトコンドリアは黄色ではありません。核とミトコンドリアは染色しない限り無色です。
#生物基礎
#密度勾配遠心法
#細胞分画法
細胞分画法と密度勾配遠心法について講義します。
●細胞分画法:細胞を破壊して、核・葉緑体・ミトコンドリアなど細胞内のいろいろな細胞小器官や構造を、順番に沈降させることで、分離する方法。
*沈降する順番には、密度・大きさ・形などが関係する。
●細胞分画法により、密度や大きさの大きい細胞小器官から沈降させ、分離することができる。
沈降する順番:①核(や細胞壁の断片)→②葉緑体→③ミトコンドリア
(もちろん、もともと細胞が持っていない構造は分離できないので注意。たとえば動物細胞を使って細胞分画法を行っても葉緑体は分離できない。)
*核が含まれる分画の特徴:多量のDNAが含まれる。
*葉緑体が含まれる分画の特徴:光を当てると、酸素が放出される(光合成)。
*ミトコンドリアが含まれる分画の特徴:酸素を消費する(呼吸)。
*細胞質基質は最後まで沈殿しない(ミクロソーム分画の上清が細胞質基質の分画である)。
*核の含まれる分画には細胞骨格も含まれる
*ミトコンドリアの含まれる分画にはリソソームも含まれる。
リボソームの前に小胞体が沈降する(ただし、小胞体は分断されていることが多い)。
*リボソームの含まれる分画にはウイルスも含まれる。
●細胞分画法では、はじめに、ホモジェナイザーという器具で細胞をすりつぶす(細胞を壊して内容物を得るのだが、細胞小器官自体の構造は壊さないように、言ってみれば、荒くすりつぶす)。すりつぶしたものを遠心分離にかける。
●細胞分画法は等張か、やや高張液中で行う。→細胞小器官が吸水して破裂するのを防ぐため(低張液中のような濃度の低い溶液中に細胞を入れると、濃い細胞内液をもつ細胞内部に向かって水が移動する)。
●細胞分画法は低温で行う。→加水分解酵素による細胞小器官の分解を防ぐため(リソソームという細胞小器官には加水分解酵素が入っており、リソソームが壊れて外に放出された加水分解酵素は、細胞小器官を分解してしまう。そこで、温度を下げ、酵素の働きを遅くさせる)。
●細胞分画法により、ミトコンドリアが呼吸の場であることが解明された。
●密度勾配遠心法は、メセルソンらが案出し、15NのDNAと14NのDNAの分離に成功した。この結果によって、DNAの半保存的複製が証明された(メセルソンとスタールの実験:1958年)。
●高校生はまったく気にしなくてよいが、よく「遠心分離では、細胞の成分に遠心力がかかり、遠心力によって沈殿する」という説明がある。遠心力は、回転する座標系に観測者がいる場合にあらわれる慣性力の一種なので、あまり適切な表現ではない。
●密度勾配遠心法は密度勾配遠心分離法ともいう。
*高校では習わないので試験で書かない方がよいが、特殊な装置を使えば、スクロース溶液でも密度勾配をつくることができる。
0:00 細胞分画法(生物基礎)
7:51 密度勾配遠心法(発展生物)
半保存的複製の証明の動画はこちらです。
• 半保存的複製の証明(メセルソンとスタールの実験)高校生物
*動画のスライドの図はイメージです。核は染色しない限り赤くないし、ミトコンドリアは黄色ではありません。核とミトコンドリアは染色しない限り無色です。
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