【 note : https://note.com/yaguchihappy 】
クエン酸回路について講義します。クエン酸回路はマトリックスでおこる反応です。CO2が排出されます。
語呂「クエン酸蹴飛ばして怖くなり、踏まれたリンゴを置き去りに(クエン酸ーケトグルタル酸ーコハク酸ーフマル酸ーリンゴ酸ーオキサロ酢酸)」
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●クエン酸回路:ミトコンドリアのマトリックスで行われる反応。グルコース1分子当たり、2ATPが生成する。また、6CO2が発生する。
①ピルビン酸は、マトリックスに入り、アセチルCoAになる。(CO2が放出される)
②アセチルCoAは、オキサロ酢酸と結合して、クエン酸が生じる。
③クエン酸は、ケトグルタル酸になる。(CO2が放出される)
④ケトグルタル酸はコハク酸になる。(CO2が放出される)
⑤コハク酸は、様々な反応(→フマル酸→リンゴ酸→)を経て、オキサロ酢酸へと変化する。。
*1分子のグルコース当たり(2分子のピルビン酸当たり)6分子のCO2が放出される)
*CO2を放出させる(脱炭酸させる)反応は、脱炭酸酵素が触媒する。
●クエン酸回路でつくられるクエン酸は、生物に生産させる方法により、安全な酸味として大量に工業的に作られている。
●コハク酸→フマル酸のところで脱水素酵素(とFAD)がはたらくことは、ツンベルク管を学ぶところで再確認せよ。
●常に無秩序に向かっていく宇宙の中で細胞がその高度に秩序だった構造を維持するには、十分な量のATPの供給が常に必要である。ミトコンドリアはふつう、動物、植物、菌類の全細胞にあり、食物[グルコースなどの有機物]を燃やすようにしてATPを生産する(食物は酸化される)。
●ピルビン酸とオキサロ酢酸から酵素の働きでクエン酸が生じることを発見したのはクレブスという研究者である。彼はクエン酸回路の基礎となる考え方を提唱したので、クエン酸回路の発見者と言われている。
ナチスドイツを逃れてイギリスに渡り、生化学の研究を続け、クエン酸回路の発見でノーベル賞を受賞した。彼は他にも、肝臓でのオルニチン回路も発見している。
問題:クエン酸回路はどこで起こる反応か?また、クエン酸回路では何分子のATPがつくられるか?
答え:ミトコンドリアのマトリックス、2分子のATP
問題(発展):以下の?に入る語を埋めよ。なお、すべての?に同じ語が入る。
「ピルビン酸の酸化とクエン酸回路はミトコンドリアのマトリックスで行われる。ピルビン酸は酸化され補酵素Aと結合してアセチルCoAとなり、NADHとH+が生産され( ? )が放出される。アセチル基(C[炭素]を2個含む)とオキサロ酢酸(Cを4個含む)が結合してクエン酸(Cを6個含む)が生産される。その後、クエン酸がα-ケトグルタル酸(Cを5個含む)になる過程でNADHとH+および( ? )が生産される。また、α-ケトグルタル酸がコハク酸(Cを4個含む)になる過程でNADHとH+および( ? )が生産される」
答え:二酸化炭素
●推理小説によく出てくる毒、ヒ素は、アセチルCoAの産生を触媒する酵素(ピルビン酸デヒドロゲナーゼ)を阻害する。結果、クエン酸回路は停止し、ATPの欠乏のため、餓死してしまう。)
●水の出入りの数が教科書と資料集で違っているように思えるのは、ATPが生成する時に生じる水、すなわちADPとリン酸が脱水縮合する時に生じる水(ADP+リン酸→ATP+H2O)を勘定に入れるか入れないかの違いがあるからである。高校生は気にする必要はないが、混乱してしまう人は、ADPとリン酸の脱水縮合に注目してみてほしい。
●(クエン酸回路の構成成分は普通マトリックスに溶け込んでいるのに対して、)コハク酸脱水素酵素はミトコンドリアの内膜に埋め込まれている。また、NADHが脱水素酵素から外れて様々な場所で使用されるのに対して、FADはコハク酸脱水素酵素から外れず(無理矢理外すとコハク酸脱水素酵素は活性を失う)、その場で電子伝達に関わる。
●高校では、ピルビン酸がアセチルCoAに変化する反応もクエン酸回路の反応の一部としている。一般には、クエン酸回路は、アセチルCoAが酸化される代謝経路を指す。つまり、呼吸には、厳密には「解糖系」「ピルビン酸の酸化(アセチルCoAの生成)」「クエン酸回路」「電子伝達系」の4つの過程があることになる。高校生はあまり気にせず、ざっくり何が起きているかをつかめばよい。
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