【高校地理】5-6. 世界の三大穀物(コメ、小麦、トウモロコシ) | 5. 世界の農林水産業【解説動画】
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高校地理の解説授業動画「5. 世界の農林水産業」、第6回は「世界の三大穀物」です。コメ、小麦、トウモロコシという農業分野の最重要作物を攻略するポイントを分かりやすく解説しています。
このチャンネルでは、現役の高校教員が、大学入試に必要な高校地理の知識を、1授業10分で発信しています。気に入っていただけたらチャンネル登録お願いします!
#高校地理 #共通テスト #農業
【練習問題へのリンク】
https://forms.gle/jXcwDDsYmGZWdrra8
【文字と画像で読みたい方はこちらのブログへ】
https://www.geography-lesson.com/world-grain-top3/
【目次】
00:00 世界の三大穀物とは何か?
00:22 米の生産
01:40 米の貿易
02:52 緑の革命
03:46 小麦の生産
04:21 小麦の貿易
05:20 小麦カレンダー
06:55 トウモロコシの生産
07:22 トウモロコシの用途
08:35 トウモロコシの貿易
【世界の三大穀物に関連する映画や書籍へのリンク】
・『人間の営みがわかる地理学入門』https://amzn.to/3QCfV8G
特に農業分野について詳しく解説されている入試レベル+αの本です。本動画の気候と農作物の栽培条件の図は、この本をもとに作成しました。
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共通テストではセンター試験以上に、初見のデータから考察するという問題が増えています。読み取り考察に焦点をあてたこちらの問題集は練習にぴったりです。
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高校地理の参考書の一つですが、写真がとにかくたくさん載っていて、パラパラと眺めているだけでも楽しい一冊です。
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基礎からかみ砕いて丁寧に説明されており、図表も分かりやすいです。この動画を作るときにも参考にしています。やや分厚いので、困った時に調べるために使うと良いと思います。
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上記の本と並んで、非常に詳しく網羅的な解説がされている参考書です。上よりもやや専門的な解説も含まれているので、地理をさらに得意にしたい人におすすめです。
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現代農業の問題点に迫ったドキュメンタリーです。大量の安い食料を作り出すために、どのような人々や環境が犠牲になっている可能性がるのかを描いています。
・「キング・コーン」
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同じく、現代農業の問題点に迫ったドキュメンタリーですが、その中でも三大穀物の一つであるトウモロコシに注目しています。世界で一番利用されている穀物であるトウモロコシが、食品に限らず、世界のあらゆる場所で使われている背景を描いています。
【関連動画へのリンク】
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・5-4 商業的農業
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・5-3 自給的農業
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・5-2 農業の生産性と集約度
• 【高校地理】5-2. 農業の生産性と集約度 | 5. 世界の農林水産業
・5-1 農業の成立条件と起源
• 【高校地理】5-1. 農業の成立条件と起源 | 5. 世界の農林水産業
・[再生リスト] 4.世界の環境問題
• 【高校地理】世界の環境問題
・[再生リスト] 3.世界の気候
• 【高校地理】世界の気候
・[再生リスト] 2.世界の地形
• 【高校地理】世界の地形
・[再生リスト] 1.さまざまな地図と地理的技能
• 【高校地理】さまざまな地図と地理的技能
【動画本文全文】
三大穀物というのは、世界の主食で、生産量も多い、米、小麦、トウモロコシの3つを指します。農業分野で非常に重要なこの3つの作物について、
・生産(どこで、どんな風に作っているのか)
・貿易(輸出、輸入している国はどこか)
・消費(何に使っているのか)
という点から整理していきましょう。
先ずは三大穀物の一つ目、米の生産から。
早速ですが、コメの生産量ランキング、1位と2位の国はどこだと思いますか?
答えは、中国とインド。
世界全体でのコメの生産量は約8億トンですが、人口の多い中国とインドは、それだけお米を食べる量も多いので、この2か国で世界の生産の約半分を占めます。
3位以降は、バングラデッシュ、インドネシア、ベトナム、タイと、アジアの国ばかりが並ぶのが特徴です。基本的には、人口の多い国ほど、生産量が多くなっています。
世界地図で見るともっと分かりやすくて、世界の米の9割は、この丸で囲った地域に集中して作られています。
この地域は、モンスーンアジアと呼ばれ、季節風(モンスーン)の影響を強く受ける場所です。気温の高い夏に、海からの湿った季節風で降水量が多くなる、という地域です。この自然環境のおかげで、モンスーンアジアは世界のコメ生産の中心になり、たくさんの人間が住むエリアになりました。
このあたりは、「自給的農業」の動画で詳しく説明してるので、よろしければご覧ください。
生産の次は貿易。米の輸出統計を確認しましょう。
世界全体の米の輸出量は約5000万トン。
生産量は約8億トンでしたので、生産量全体の1割以下しか輸出されていないことになります。
つまり米は、輸出のためではなく、自分たちの国で食べるために作られる割合が大きいということです。これを、米は自給的な性格が強い作物である、と表現します。
輸出国ランキングを見ると、第1位はインドです。
インドは14億人もの人口がいるのに、自分たちが食べる分を作ってさらに輸出に回せるくらい米をたくさん作っているということですね。
米の輸出国ランキング、実は10年くらい前まで、1位はインドではなくタイでした。
タイは今でもたくさんお米を作って輸出していますが、インドの伸びがすごいペースで、タイを抜いて今では世界一の米の輸出国になりました。
なぜインドで米生産が大幅に増えたのか?
背景にあるのが、「緑の革命」という出来事です。
「緑の革命」とは、1960年代から70年代に起こった農業に技術革新のことです、
稲の品種改良によって、同じ面積でもそれまでよりたくさんの米を収穫できるようになりました。この新しい品種のお陰で、インドを含むアジアの途上国では米の生産量が大きく増加しました。結果、インドは米の自給を達成し、さらに余った米を海外に売れるようになったのです。
ただし、この「緑の革命」には、デメリットもありました。
開発された新しい品種は、たくさんの農薬や肥料、そして水が必要でした。
そのため、農薬や肥料によって土や水が汚染されたほか、近代的な設備を導入できる農家とそうで無い農家との間で、貧富の格差を拡大させた、という問題点もありました。
小麦
三大穀物の2つ目は小麦です。
小麦の生産量は世界全体で約8億トン。
生産量1位と2位が中国とインド、というのは米と同じですが、3位以下はロシア、アメリカ、オーストラリア、フランスと続きます。
生産地域を地図で見ると、ヨーロッパを中心に幅広い地域に広がっていることが分かります。
小麦は涼しくてやや乾燥した気候が向いている作物なので、米の生産は低緯度地域に集中していたのに対して、小麦は中緯度の広い地域で生産されています。
生産の次は、小麦の輸出。
小麦の世界全体での輸出量は約2億トンで、生産量の2割くらいは輸出に回されます。
そのため小麦は、ほとんどが自国で消費される米とは反対に、「商業的な性格の強い作物である」と呼ばれます。
輸出上位国は、ロシア、オーストラリア、カナダ、アメリカ、ウクライナなどです。そして、ヨーロッパでは、フランスが小麦の生産大国です。この順位は年によって若干変わりますが、広い土地を持っていて、機械化の進んだ企業的農業を行っているという共通点があります。企業的農業の詳しい解説は、一つ前の動画でご覧ください。
さて、小麦の輸出を理解する際に重要なのが、この小麦カレンダーという図です。
国ごとの小麦の収穫時期を違いを表しており、緑の時期に種をまいて、オレンジの時期に収穫します。
日本もそうなのですが、中国でもEUでも、小麦は9月から10月頃に種を撒いて、冬を越えて、翌年の6月とか7月とかに収穫するパターンが一般的です。このように冬を越す小麦を、冬小麦と言います。
オーストラリアは、4月から7月頃に種をまいて、10月から2月頃に小麦が収穫されていますが、南半球で季節が逆なので、これも、秋に種をまいて、冬を越している冬小麦ということになります。
季節が逆になっているお陰で、オーストラリアは、北半球の国々が小麦を収穫していない時期に小麦を輸出できる強みがあります。このように、他の国では作物が収穫できない時期を、端境期といいます。
一方、ロシアやカナダなどの寒い地域や、アメリカの高緯度地域では、冬が寒すぎて小麦が冬を越せないため、春になってから小麦の種を撒いて、8〜9月頃に収穫します。このような小麦は、春小麦と呼ばれます。
最後の三大穀物は、とうもろこしです。
とうもろこしは、栽培可能な気温や降水量の幅が広いため、世界中で広く栽培されています。
とは言え、生産上位国は偏っており、アメリカと中国の上位2カ国で、世界のトウモロコシの半分以上を生産しています。
でも、どうしてアメリカや中国でとうもろこしの生産が多いのでしょうか?
トウモロコシを主食にしているのは、メキシコなどの中南米の国々や、アフリカの国々です。アメリカや中国では、とうもろこしを食べる量はそんなに多くありません。
実は、トウモロコシというのは、人間が食べる以上に、家畜のエサ、飼料としての需要が多い作物なのです。
アメリカや中国では肉類の生産が盛んで、アメリカでは特に肉牛、中国では豚や鶏の飼料として、トウモロコシが大量に生産されています。
さらに、トウモロコシはバイオエタノールを作る材料としても重要です。バイオエタノールというのは、トウモロコシから作る燃料のことで、アメリカや中国だけでなく多くの国で、ガソリンとバイオエタノールを混ぜたものが、ガソリンスタンドで売られています。
こちらのグラフから分かるように、アメリカでは、トウモロコシの使い道の大半は家畜の飼料とバイオエタノールで、食用になる比率はわずか1割程度です。
飼料とバイオエタノール。これが、アメリカや中国でトウモロコシの生産が多い理由です。
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【目次】
00:00 世界の三大穀物とは何か?
00:22 米の生産
01:40 米の貿易
02:52 緑の革命
03:46 小麦の生産
04:21 小麦の貿易
05:20 小麦カレンダー
06:55 トウモロコシの生産
07:22 トウモロコシの用途
08:35 トウモロコシの貿易
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同じく、現代農業の問題点に迫ったドキュメンタリーですが、その中でも三大穀物の一つであるトウモロコシに注目しています。世界で一番利用されている穀物であるトウモロコシが、食品に限らず、世界のあらゆる場所で使われている背景を描いています。
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【動画本文全文】
三大穀物というのは、世界の主食で、生産量も多い、米、小麦、トウモロコシの3つを指します。農業分野で非常に重要なこの3つの作物について、
・生産(どこで、どんな風に作っているのか)
・貿易(輸出、輸入している国はどこか)
・消費(何に使っているのか)
という点から整理していきましょう。
先ずは三大穀物の一つ目、米の生産から。
早速ですが、コメの生産量ランキング、1位と2位の国はどこだと思いますか?
答えは、中国とインド。
世界全体でのコメの生産量は約8億トンですが、人口の多い中国とインドは、それだけお米を食べる量も多いので、この2か国で世界の生産の約半分を占めます。
3位以降は、バングラデッシュ、インドネシア、ベトナム、タイと、アジアの国ばかりが並ぶのが特徴です。基本的には、人口の多い国ほど、生産量が多くなっています。
世界地図で見るともっと分かりやすくて、世界の米の9割は、この丸で囲った地域に集中して作られています。
この地域は、モンスーンアジアと呼ばれ、季節風(モンスーン)の影響を強く受ける場所です。気温の高い夏に、海からの湿った季節風で降水量が多くなる、という地域です。この自然環境のおかげで、モンスーンアジアは世界のコメ生産の中心になり、たくさんの人間が住むエリアになりました。
このあたりは、「自給的農業」の動画で詳しく説明してるので、よろしければご覧ください。
生産の次は貿易。米の輸出統計を確認しましょう。
世界全体の米の輸出量は約5000万トン。
生産量は約8億トンでしたので、生産量全体の1割以下しか輸出されていないことになります。
つまり米は、輸出のためではなく、自分たちの国で食べるために作られる割合が大きいということです。これを、米は自給的な性格が強い作物である、と表現します。
輸出国ランキングを見ると、第1位はインドです。
インドは14億人もの人口がいるのに、自分たちが食べる分を作ってさらに輸出に回せるくらい米をたくさん作っているということですね。
米の輸出国ランキング、実は10年くらい前まで、1位はインドではなくタイでした。
タイは今でもたくさんお米を作って輸出していますが、インドの伸びがすごいペースで、タイを抜いて今では世界一の米の輸出国になりました。
なぜインドで米生産が大幅に増えたのか?
背景にあるのが、「緑の革命」という出来事です。
「緑の革命」とは、1960年代から70年代に起こった農業に技術革新のことです、
稲の品種改良によって、同じ面積でもそれまでよりたくさんの米を収穫できるようになりました。この新しい品種のお陰で、インドを含むアジアの途上国では米の生産量が大きく増加しました。結果、インドは米の自給を達成し、さらに余った米を海外に売れるようになったのです。
ただし、この「緑の革命」には、デメリットもありました。
開発された新しい品種は、たくさんの農薬や肥料、そして水が必要でした。
そのため、農薬や肥料によって土や水が汚染されたほか、近代的な設備を導入できる農家とそうで無い農家との間で、貧富の格差を拡大させた、という問題点もありました。
小麦
三大穀物の2つ目は小麦です。
小麦の生産量は世界全体で約8億トン。
生産量1位と2位が中国とインド、というのは米と同じですが、3位以下はロシア、アメリカ、オーストラリア、フランスと続きます。
生産地域を地図で見ると、ヨーロッパを中心に幅広い地域に広がっていることが分かります。
小麦は涼しくてやや乾燥した気候が向いている作物なので、米の生産は低緯度地域に集中していたのに対して、小麦は中緯度の広い地域で生産されています。
生産の次は、小麦の輸出。
小麦の世界全体での輸出量は約2億トンで、生産量の2割くらいは輸出に回されます。
そのため小麦は、ほとんどが自国で消費される米とは反対に、「商業的な性格の強い作物である」と呼ばれます。
輸出上位国は、ロシア、オーストラリア、カナダ、アメリカ、ウクライナなどです。そして、ヨーロッパでは、フランスが小麦の生産大国です。この順位は年によって若干変わりますが、広い土地を持っていて、機械化の進んだ企業的農業を行っているという共通点があります。企業的農業の詳しい解説は、一つ前の動画でご覧ください。
さて、小麦の輸出を理解する際に重要なのが、この小麦カレンダーという図です。
国ごとの小麦の収穫時期を違いを表しており、緑の時期に種をまいて、オレンジの時期に収穫します。
日本もそうなのですが、中国でもEUでも、小麦は9月から10月頃に種を撒いて、冬を越えて、翌年の6月とか7月とかに収穫するパターンが一般的です。このように冬を越す小麦を、冬小麦と言います。
オーストラリアは、4月から7月頃に種をまいて、10月から2月頃に小麦が収穫されていますが、南半球で季節が逆なので、これも、秋に種をまいて、冬を越している冬小麦ということになります。
季節が逆になっているお陰で、オーストラリアは、北半球の国々が小麦を収穫していない時期に小麦を輸出できる強みがあります。このように、他の国では作物が収穫できない時期を、端境期といいます。
一方、ロシアやカナダなどの寒い地域や、アメリカの高緯度地域では、冬が寒すぎて小麦が冬を越せないため、春になってから小麦の種を撒いて、8〜9月頃に収穫します。このような小麦は、春小麦と呼ばれます。
最後の三大穀物は、とうもろこしです。
とうもろこしは、栽培可能な気温や降水量の幅が広いため、世界中で広く栽培されています。
とは言え、生産上位国は偏っており、アメリカと中国の上位2カ国で、世界のトウモロコシの半分以上を生産しています。
でも、どうしてアメリカや中国でとうもろこしの生産が多いのでしょうか?
トウモロコシを主食にしているのは、メキシコなどの中南米の国々や、アフリカの国々です。アメリカや中国では、とうもろこしを食べる量はそんなに多くありません。
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アメリカや中国では肉類の生産が盛んで、アメリカでは特に肉牛、中国では豚や鶏の飼料として、トウモロコシが大量に生産されています。
さらに、トウモロコシはバイオエタノールを作る材料としても重要です。バイオエタノールというのは、トウモロコシから作る燃料のことで、アメリカや中国だけでなく多くの国で、ガソリンとバイオエタノールを混ぜたものが、ガソリンスタンドで売られています。
こちらのグラフから分かるように、アメリカでは、トウモロコシの使い道の大半は家畜の飼料とバイオエタノールで、食用になる比率はわずか1割程度です。
飼料とバイオエタノール。これが、アメリカや中国でトウモロコシの生産が多い理由です。
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