高校地理の解説授業動画「5. 世界の農林水産業」、第3回は「自給的農業」です。ホイットルセーの農業区分による自給的農業を10分で分かりやすく解説しています。
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#高校地理 #共通テスト #農業
【関連動画へのリンク】
・5-8 世界と日本の水産業
https://youtu.be/bEZbFKaj6hw
・5-7 世界と日本の林業
https://youtu.be/38rFn7fWpfQ
・5-6 世界の三大穀物
https://youtu.be/IjHmLnkZbHQ
・5-5 企業的農業
https://youtu.be/x4DYmw7Cx6c
・5-4 商業的農業
https://youtu.be/zrLv5yCSgB8
・5-3 自給的農業
https://youtu.be/XDSpaynSTwI
・5-2 農業の生産性と集約度
https://youtu.be/Njx97X8TkVY
・5-1 農業の成立条件と起源
https://youtu.be/ktckyIzF9UQ
・[再生リスト] 4.世界の環境問題
https://www.youtube.com/playlist?list=PLAGMl9dyU1zmtpDsA4oOhzAvqfH1v_p2a
・[再生リスト] 3.世界の気候
https://www.youtube.com/playlist?list=PLAGMl9dyU1zl95tQN7qwuvThmVWcLqec5
・[再生リスト] 2.世界の地形
https://www.youtube.com/playlist?list=PLAGMl9dyU1zlwg91fAqYGbf5jUpU3Fwe6
・[再生リスト] 1.さまざまな地図と地理的技能
https://www.youtube.com/playlist?list=PLAGMl9dyU1zkrQ4sMmzWiM7v8O4ZcUTzb
高校地理の授業動画「世界の農林水産業」、第3回は「自給的農業」です。
【目次】
0:00 イントロダクション
0:06 農業の発展の歴史
0:57 ホイットルセイの農業区分
1:39 焼畑農業
3:24 遊牧
5:39 集約的稲作農業
8:05 集約的畑作農業
8:33 オアシス農業
【確認問題のURL】
https://forms.gle/SFfJHoj5C3ywMhq37
【今回の動画の内容を文章と画像で確認されたい方はこちら】
https://www.geography-lesson.com/subsistence-agriculture/
【参考文献】
・『人間の営みがわかる地理学入門』https://amzn.to/3QCfV8G
特に農業分野について詳しく解説されている入試レベル+αの本です。本動画の気候と農作物の栽培条件の図は、この本をもとに作成しました。
・『瀬川聡の 大学入学共通テスト 地理B[系統地理編]超重要問題の解き方』https://amzn.to/47x1Qj4
共通テスト対策として問題演習を重ねたいならこちらが定番です。「これはおさえておきたい!」という問題ばかりが紹介されています。
・『共通テスト 地理B 地図・統計の考察問題71』
https://amzn.to/3KM5KdP
共通テストではセンター試験以上に、初見のデータから考察するという問題が増えています。読み取り考察に焦点をあてたこちらの問題集は練習にぴったりです。
・『リアルな今がわかる 日本と世界の地理 (だからわかるシリーズ)』砂崎 良(2020) https://amzn.to/3giMeGS
高校地理の参考書の一つですが、写真がとにかくたくさん載っていて、パラパラと眺めているだけでも楽しい一冊です。
・『村瀬のゼロからわかる地理B 系統地理編』 https://amzn.to/3sV5CRi
基礎からかみ砕いて丁寧に説明されており、図表も分かりやすいです。この動画を作るときにも参考にしています。やや分厚いので、困った時に調べるために使うと良いと思います。
・『目からウロコの なるほど地理講義 系統地理編』https://amzn.to/3FVeZE8
上記の本と並んで、非常に詳しく網羅的な解説がされている参考書です。上よりもやや専門的な解説も含まれているので、地理をさらに得意にしたい人におすすめです。
さて、世界の農業は、歴史的には3つの段階で発展してきました。
最初の段階は、今回のテーマでもある自給的農業です。
農業は約1万年前から始まったと考えられていますが、初期の農業はあくまでも自分たちが食べるためのものでした。自分たちで消費するために作る農業が自給的農業と呼ばれ、今でも多くの地域で行われています。
第二の段階は、商業的農業です。
18世紀の産業革命以降、農業以外の産業が大きく発展して、人口も増加しました。その結果、自分たちが食べるためではなく、都市に住む人に売るために作るという商業的農業が発達しました。
第三の段階は、企業的農業です。
20世紀に入ると、商業的農業がさらに発展して、農業がまるで工業製品のようになりました。巨大な資本をつぎ込んで、特定の作物を大量に安く作り、世界中に輸出する農業です。
そして、こうした世界の農業をさらに細かく整理・分類した人が、アメリカの地理学者、ホイットルセイです。ホイットルセイは、世界の農業を全部で13に分類し、このような農業の世界地図を作成しました。
これから3回の動画に分けて、自給的農業、商業的農業、企業的農業を、ホイットルセイの農業区分とあわせて解説していきます。
ホイットルセイの農業区分では、焼畑農業、遊牧、集約的稲作農業、集約的畑作農業、オアシス農業という5つが自給的農業に分類されます。1つずつみていきます。
最初は、焼畑農業です。
この写真は焼畑農業を行った畑ですが、黒く焦げた木が写っているのが分かるでしょうか。
そこに生えている木や草を燃やして、その灰を土の中に混ぜて肥料にするという農業です。
先ほどの地図では茶色で示された地域で行われており、主にアフリカ、アジア、それからアマゾンの熱帯地域で伝統的に行われてきた農業です。
どうして焼いた灰を混ぜるのかというと、この地域の気候と深く関係しています。
熱帯の土壌といえばラトソルでした。赤色で、酸性で、栄養分が少なく、農業には向かない土壌です。
しかし、ここに灰を加えると、灰というのはアルカリ性なので土壌の酸性を中和できて、しかも草木に含まれていた栄養分も補給できる天然の肥料になるわけです。
その上、燃やした草木は何年か経てばまた生えてくるので、数年ごとに場所を移動することで、ずーっと繰り返し行える持続的な農業でした。
ところが、近年では人口が増えすぎて、短いサイクルでどんどん新しい土地を燃やさないといけなくなっていて、焼畑農業が森林破壊の原因の一因にもなってしまっています。
焼畑農業で栽培する主な作物は、主にイモ類と雑穀です。
他の作物が育たないようなやせた土壌でも育つのがイモ類で、特に、キャッサバ、ヤムイモ、タロイモが栽培されます。
キャッサバというと日本ではタピオカの原料のイメージがありますが、現地で食べるときには、こんな風に、イモを練ってお餅みたいにて食べます。これに肉とか野菜などのおかずをつけて食べるのが、アフリカ中西部の代表的な食事です。
自給的農業の2つ目は遊牧です。
こちらの写真はモンゴルでの遊牧の様子ですが、馬に乗った男の子がヤギやヒツジを誘導しています。こんな風に動物を飼いながら、自分たちはテントに住んで家畜と一緒に移動しながら暮らすのが遊牧です。
どうして家畜を飼うのかというと、寒さや乾燥などで、農業ができない場所だからです。作物が育てられないので、自然に生えている草を動物に食べさせて、その動物の肉やミルクを人間がもらうというわけです。
地図では黄色くぬられた場所で遊牧が行われています。北極海沿岸のツンドラ気候(ET)となる場所、中国内陸部から西アジア、そして北アフリカにかけて乾燥気候が広がる場所など、寒帯と乾燥帯の気候分布と重なりが大きいことがポイントです。
場所ごとに、どんな家畜を飼育しているのか確認していきましょう。
先ず北極海沿岸など寒い場所では、トナカイです。トナカイはサンタクロースのように荷物も運んでくれるし、雪が降っても角で地面を掘って自分で食べ物を探せる動物で、寒い地域の暮らしの重要なパートナーです。
次に乾燥地域では、先ず羊とヤギがだいたいどこでも飼育されています。それに加えて場所によって+アルファで特徴的な家畜が飼われています。
その特徴的な家畜というのが、ユーラシア大陸内陸部では馬、中東ではラクダ、そしてアフリカ東部では牛です。
例えば、モンゴルと言えば馬で草原を駆け抜けていく、みたいなイメージが日本では強いですが、家畜の数で言えば、馬よりも羊やヤギの方が圧倒的に多いんですね。
最後は高山地域での遊牧。ヒマラヤ山脈では、ウシ科のヤクという動物が、アンデス山脈では、リャマやアルパカの遊牧が行われており、毛皮や荷物運びに使われています。
なお、こうした各地域の遊牧は、気候分野のB気候、D、E気候、H気候の動画でもより詳しく説明しているのでよろしければご覧ください。
次は、集約的稲作農業と集約的畑作農業です。
この2つは名前が似ていますが、セットで考えていきましょう。
別名アジア式稲作農業とアジア式畑作農業とも呼ばれ、文字通りアジアを中心に行われている農業です。水田を作っていれば集約的稲作農業、畑ならば集約的畑作農業と言います。
ここでの集約的というのは、労働集約的の意味で、たくさんの人手をかけて手作業で苗を植えたり、雑草を抜いたりするような農業ということです。使うものは人の手とせいぜい水牛くらいで、機械化は進んでいません。
この写真のような美しい棚田がアジアでは日本を含めて色んな場所で見られますが、これも集約的稲作農業の産物で、膨大な手作業で何百年もかけて作られました。ただ、こんなにみごとな田んぼを作っても、大量の人手を投入しているので一人当たりの労働生産性は低いのが現実です。
もう少し詳しい地図で、分布を確認しましょう。
年降水量1,000mmのラインが稲作と畑作の境界線となっており、1,000mmを超える地域では稲作、1,000mmより乾燥した地域では畑作が行われています。
日本だと水田って1年に1回秋に収穫するだけですが、もっと暖かい地域だと、1年に2回とか場所によっては3回おコメを収穫できる場所もあるんですね。なので、同じ面積だったら、畑よりも水田の方が得られる食料が多いんです。だから雨が多くて稲を作れるんだったら稲を作りたいんだけど、雨が足りない場所はしょうがないから他のものを作る、というイメージです。
さっきみた棚田は斜面に作られますが、平らな土地の方が当然広い水田を作れます。なので地形的には、川の氾濫によって作られた平地である沖積平野が稲作に向いています。川が溢れて土砂が溜まった場所なので、平らで、水はけが悪くて水がたまりやすいので、水田を作るにはぴったりなんですね。