オアシス農業
定義
オアシスで行われている農業で、灌漑農業の一種です。
一括りにオアシス農業と言っても様々なものがあり、大麦や小麦、ブドウ、ナツメヤシ、綿花などの高温・乾燥に強い作物が栽培されています。
ナツメヤシは、デーツと呼ばれる果実をとるために栽培されます。
このデーツ、大きめのスーパーやKALDIなんかに行けば簡単に手に入るので、これも地理の勉強だと思って買って食べて見ると面白いと思いますよ。
オアシスとは?
オアシスとは、
「乾燥地域の中で淡水が存在する場所」
です。
このような場所は、
があります。
「淡水」というのが実は重要で、乾燥地域には土中のミネラルが濃縮されて塩湖ができやすいのですが(カスピ海や死海が好例)、塩湖の水は塩水なので生活用水や農業には利用できず、オアシスとは言いません。
乾燥地域に存在する淡水の水源は、基本的に融雪水や地下水、外来河川です。
乾燥地域といえど山地には降雪がみられるところもあり、降った雪は次第に溶けて河川や地下水となります。また、数千~数万年前の降水が地下に蓄えられていることもあります。地下水は山麓、または周辺より高度の低い窪地の湧水帯で湧き出し、オアシスを形成していきます。また、地下水脈に横から穴をあけて地下水を取水し、地下水路を用いて人工的に水を得ていることもあります。この地下水路が、かの有名なカナートとかカレーズとかフォガラとかいうやつです。
自然に形成されるオアシスの成因、分布についてはこちらの動画で分かりやすく解説されています。
栽培の特徴
乾燥地域で行われる農業をひとまとめにオアシス農業と呼んでいるため、一口にオアシス農業と言ってもさまざまなものがあります。たとえば、
- 小規模な集落・都市の周辺で行われる自給的な農業
- (主に外来河川周辺で行われる)綿花栽培など商業的農業
といったところでしょうか。
オアシス農業が行われる主な地域は、外来河川があるところや山地が近くにあるところです。したがって、
- 北アフリカ(特にナイル川沿岸)
- 中央アジア(特にアムダリア・シルダリア沿岸)
- 南アジア(インダス川沿岸)
- 西アジア(特にティグリス・ユーフラテス川沿岸)
に主に分布すると言えます。
全てに外来河川への言及があることにお気づきでしょうか。実は、オアシス農業は湧水や地下水路を用いたものもあるのですが、外来河川を用いたものは非常に大規模に行われる傾向が強い(考えてみれば当然で、外来河川の方が圧倒的に水を得やすいですよね)のです。