概要
「中和点」とは、ずばり中和滴定が完了する瞬間のこと。もう少し丁寧にいえば、加えた酸のと塩基のがぴったり同じ量になる瞬間のことです。
中和点は中性(25℃でpH=7)とは限りません。強酸と強塩基のときはpH=7ですが、弱酸と強塩基ならpH>7、強酸と弱塩基ならpH<7というように、強いもののpHに引っ張られたかのような値になります。

詳細
中性と中和点の違い

中和点では、滴定で使用する酸が持つと塩基が持つの数が同じというだけで、実際に水溶液中でとなるかはわかりません。
中和点のpH
たとえば酢酸と水酸化ナトリウムの中和滴定では、中和点でが「塩の加水分解」を起こすためpHが大きくなります。
理論的な話は「化学平衡で勉強する塩の加水分解」で勉強しましょう。ここではざっくり説明します。そもそも弱酸のはあまり電離したくありません。電離するのはだいたい100粒に1粒くらいです。

ここで、たとえば100粒のに100粒のを加えた場合、酸が持つと塩基が持つの数が同じなので中和点になります。仮に100%中和反応が起こると100粒のが水中にカプカプ浮かびます。

しかし先ほど言った通り、本来酢酸はあまり電離したくありません。それなのに100%状態は超つらいです。だからは周りの水分子に頼み込んで、ほんの少しだけを分けてもらう反応を起こします。に水を加える反応なので加水分解反応と呼びます。
もちろん水自身もごくわずかしか電離したくないので(イオン積)、この反応を起こすは100粒中数粒です。その結果、数粒だけが生じてpHが大きくなります。
以上、ぴったり中和した中和点なのに、加水分解が起こってが生じるからpHが7より大きくなるということでした。
補足
- 100粒中1粒しか電離していない弱酸がなぜ中和反応で100%反応するかというと、電離平衡で常に一定数は電離するからです。1粒のが中和されて0粒になってしまっては平衡が崩れるので、99粒の酢酸からまた1粒くらい電離します。するとそのも途端に中和され、また0粒になってしまいます。すると残りの98粒からまた1粒くらい電離して、...、が繰り返されて結局全てが反応してしまいます。