農業を、有機農業という。オーガニックとも呼ばれる。
環境・健康にやさしい一方、生産量の(一時的)低下・価格の高さといったデメリットもあり、日本ではあまり普及していない。
日本では、有機農業は一般的ではない。
有機作物への需要の低さ(=市場の小ささ)、効率の低さ(収穫量の低下リスク)などが原因と考えられている。
政府は、有機農産物に対して有機JASマーク認証制度を整備し、有機農産物の信頼性向上をはかっている。
(農林水産省)
など、メリットは多い。
有機農業では、有機肥料を用いるため土中の微生物やミミズなどの生物が増え、土壌が豊かになり、持続可能な農業となる。農薬も使わないため、生態系に与える悪影響を低減でき、環境負荷が低い。
また、化学肥料は製造時に大量の温室効果ガスを排出したり、鉱石の採掘による環境破壊を引き起こすが、有機肥料の製造ではこのような環境への負荷は低い。
人間への健康面をみると、農薬を使わない有機農業では残留農薬による健康被害は起きないし、農薬を使用する農家への健康被害も起きない。人間の健康にはよいということになる。
有機農業でつくった作物は、「有機栽培である」というだけで付加価値がつき、高い値段で取引されるため、農家の収入が向上するというメリットもある。
有機肥料は化学肥料より効き目が弱いことがあり、収穫量の減少を引き起こす可能性がある。
また、農薬を使わないと、除草・防虫のため大量の農作業が必要となり、労働生産性が極めて低くなる。これが、有機栽培の作物の値段が高い一因でもある。
これらの要因から、有機農業は化学肥料と農薬を用いる一般的な農業よりもコストがかかる分、作物の値段は高くなり、消費者にとってはデメリットとなる。
環境保護意識の高い欧州では、
などの理由から有機農業が拡大しており、政策的にも推進されている。
EU・各国政府は、有機農業を行う生産者に補助金・助成金を交付したり、品質認証制度を整備したりするなど、積極的に有機農業を推進している。
関連動画