概要
平面ベクトルの最後の最後に出てくるラスボス 「終点の存在範囲」 について。最後の方なので、あまり詳しく解説されずにテストに出されることでも有名。
代表選手としては、「三角形 に対して、点 が 、、、 を満たしながら動くとき、点 の存在範囲はどこでしょう」みたいな問題のこと。
まず、三角形 に対して、
として点 が定められるときに、係数 の値と点 の位置がどう対応するかについて、下の基本を押さえよう。

つまり、
によって、三角形の辺が作る直線に対して点 がどっち側にあるかがわかる。
それぞれ考えてみよう。
①について
まず、点 が直線 上にあるための必要十分条件は
であることは、同一直線上にある条件として常識。
その上で、ベクトルの足し算を図形的に考えて、
- 係数同士の和が より小さかったら直線 に届かない
- 係数同士の和が より大きかったら直線 を超える
というイメージは納得できるはず。手を動かして確認してみよう。

②③について
これらは同じことを言っているので、②について解説すると、まず、点 が直線 上にあるための必要十分条件は、共線条件から
となる実数 が存在することであり、つまり に対応する。
そこに を加えたとき、ベクトルの足し算をイメージすれば、
- であれば 側に動くので、点 は が含まれる領域に入る
- であれば とは逆向きに動くので、点 は が含まれない領域に入る
というイメージができるはず。手を動かして確認してみよう。

基本的には、係数を独立した変数にし、上の つの考え方を組み合わせれば、ベクトルの終点の存在範囲は考えていける。
よく出てくる存在範囲
これまでと同じ設定
で、よく出てくる係数の条件と、対応する終点の存在範囲をまとめてみた。
上の考え方をもとに、これらについても理解してみよう。
- :線分 上(両端含む)
- :三角形 の内部(周上は含まない)
- :平行四辺形 を作り、その周上および内部
例題
【問】実数 が かつ かつ を満たすとき、下で定まる 点 の存在範囲を描け。
【答】係数をむりやり と にして考える。
なので、 が「 かつ かつ 」を満たして動くとき、点 は と によってできる三角形の周上および内部に存在する。

発展
より深く理解したい方は、斜交座標を使った考え方もマスターしよう。理解すれば、こっちの方が直感的に捉えられるのでオススメ。
詳しく学びたい方は、ガチノビさんの動画を見てみよう。(導入編・基本演習編)
上の例題を斜交座標で捉えてみる。
まず、、 を基底とする斜交座標系を考え、、 の方向にそれぞれ 軸、 軸をとる。このとき、
がこの座標系で表す領域を考えると、下図左のように、 と によってできる三角形の周上および内部に存在することがすぐにわかる。
直交座標と比較して理解してみよう。
