【 note : https://note.com/yaguchihappy 】
遺伝子の再編成に解説します。
語呂「サイ、反省して後退(遺伝子の再編成により抗体の多様性が担保される)」意味ない語呂ですね。すみません。
遺伝子の再編成の仕組みは利根川進先生が解明しました。遺伝子の数より多くの種類の免疫グロブリンをつくることができる仕組みです。
●免疫グロブリンは、遺伝子の再編成によって多様性を獲得する(B細胞が成熟する過程で、免疫グロブリン遺伝子の再編成が起こる)。
遺伝子断片がV、D、Jなどとグループを形成しており、各グループから1つずつ遺伝子断片が選ばれ、残りの断片はDNAの切断により捨てられる。これにより持っているDNA断片の種類より多くの種類の遺伝子を作り出すことができる。
*まるでマクドナルドでセットを注文するように、組み合わせは膨大になる(何種類かの飲み物、何種類かのバーガー、何種類かのサイドメニューから、それぞれ1つずつを選ぶと、その組み合わせは膨大になる)。
なお、生物基礎では、ほぼすべての体細胞は同じゲノムをもつと習うが、B細胞やT細胞などのリンパ球は、成熟の過程で遺伝子の再編成を行うので、ゲノムが他の体細胞と異なる。
●L鎖・H鎖それぞれの可変部域をコードする遺伝子について、遺伝子の再編成が起こることが知られている。L鎖・H鎖の組み合わせにより、さらに多様な可変部が生じる。
●宇宙から来た未知のウイルスで人類が滅亡するようなSFがある。しかし、脊椎動物の獲得したこの遺伝子の再編成による抗体の多様化システムは、宇宙に存在するどんな立体構造にも対応し得ると言われている。どんな未知のウイルスが地球の外からやって来ようと、そのウイルスの立体構造にぴったりくっつく抗体が用意されている可能性が高い。
問題:どうして人の遺伝子数は2万ほどしかないのにもかかわらず、それ以上の種類の抗体(免疫グロブリン)をつくることができるのか。空欄を埋めよ。
「抗体の可変部をコードしているDNA領域について、( ? )が起きるから。」
答え:遺伝子の再編成
問題:免疫グロブリンの遺伝子のうち、H鎖の可変部をコードする部分は3つの領域(V、D、J)から、L鎖の可変部をコードする部分は2つの領域(V、J)からなり、さらにこれらの領域は多数の小領域で構成されている。
可変部をコードする部分では、それぞれの領域において、小領域が1つずつ選択されて連結され、抗体を産生する情報をもつ新たな遺伝子となる。
ある生物で、H鎖のそれぞれの領域が100、10および4種類、L鎖が300および5種類の小領域から構成されているとすると、この生物は、理論上何種類の抗体をつくれるか。ただし、遺伝子の再編成によって、各小領域から1つの断片が選ばれ、連結するものとする。なお、多様な抗体ができるしくみには、遺伝子の再編成のみが関わるとしてよい。
答え:600万種類
H鎖の可変部を決定する遺伝子は100種類、10種類、4種類の断片から1つずつ選ばれるので、
100×10×4=4000種類
この遺伝子が転写、翻訳されてH鎖の可変部のアミノ酸配列(そして立体構造)が決定する。
L鎖も同様に、300×5=1500種類
したがって理論上4000×1500=600万種類の可変部をつくることができる。
*実際は、遺伝子断片が選択されるということの他にも、抗体の多様性を増やすようなしくみがある(たとえば、遺伝子断片が結合する際、塩基が付加されたり、逆に塩基が削除されたりする)。
問題:多様な抗体が作られる仕組み(遺伝子の再編成)を解明し、1987年ノーベル生理学・医学賞を受賞した分子生物学者の名を答えよ。
答え:利根川進
#高校生物
#免疫
#遺伝子の再編成