クローン選択説【免疫】 高校生物基礎発展
5分22秒
説明
【 note : https://note.com/yaguchihappy 】
クローン選択説について説明します。
細胞性免疫の解説
• 細胞性免疫 高校生物基礎
体液性免疫の解説
• 体液性免疫 高校生物基礎
●クローン選択・・・まず、リンパ系前駆細胞から、多数のリンパ球が生じる。それぞれのリンパ球は異なる抗原レセプターを持つ。それらのリンパ球のうち、体内の随所にある自己抗原と結合する(自己を攻撃する可能性を持った)リンパ球は、成熟前に排除される。成熟したナイーブリンパ球が持つレセプターが、提示された非自己抗原と結合すると、そのリンパ球は活性化され、分裂によって数を増やし、エフェクター細胞へと分化する。
●クローン選択説の前提:
①リンパ球は固有の特異性のあるレセプターを1種類ずつもつ。
②外来分子と、自身のもつレセプターがよく結合した場合、リンパ球は活性化される。
③活性化されたリンパ球に由来するエフェクター細胞は、もとの細胞(親細胞)と同じ特異性を有する。
④普遍的な自己分子とよく結合するリンパ球は、発生初期段階で消失するため、成熟リンパ球のレパートリーには存在しない。
●ナイーブ細胞にも多様な種類が既に存在する。たとえば、ヘルパーT細胞のナイーブな細胞は、ナイーブヘルパーT細胞などと言われる。
●講義で見たように、自己抗原に対する免疫は抑制されている。自己に対して免疫が働かない仕組みを免疫寛容という。
●T細胞は提示された抗原しか認識しないが、B細胞は自身のBCRで直接抗原を認識し、活性化する。(それとは別にヘルパーT細胞からも活性化を受け、抗体産生細胞に分化する。)板書の左の図では、T細胞が抗原を認識している図を描いているが、抗原を提示している抗原提示細胞は省略している。T細胞が抗原を直接認識することはない。T細胞は「提示された」抗原を認識する。
●講義ではさらっと流したが、T細胞のTCRも、免疫グロブリンのように遺伝子の再編成によって多様化する。遺伝子の再編成により生じるリンパ球の種類は何百万種類以上とも言われ、地球に存在しないような抗原を認識するものまで含まれると言われる。
●リンパ球には自然免疫にはたらくN K細胞もある(まだ機能について未知な所が多い。MHCによる抗原提示をさせないようなウイルスに感染した細胞[MHCを出していないような細胞]などを認識して殺すと言われる)。
●驚くべきことに、バーネットという人がこのクローン選択説を提唱した当時は、抗体の構造やリンパ球の詳しい働きなどはまだわかっていなかった。
●自分の組織や細胞に由来する様々な抗原を自己抗原という。たとえば、各臓器に特異的に発現するタンパク質が自己抗原になることもあれば、遺伝子の複製、転写、翻訳といった、細胞の基本的生命現象に必須の酵素や因子が自己抗原になることもある。
●ナイーブ細胞はリンパ管と血管を循環し続ける。
●T細胞は胸腺にある細胞により選択を受ける(自分を攻撃しかねないT細胞や、全く役に立たないT細胞はここで死亡する)。
●T細胞は胸腺で既にヘルパーT細胞、キラーT細胞の運命が決まっている(ナイーブの段階で運命は分かれている)。
●B細胞にもエフェクター細胞という名前を使うことがある。エフェクターB細胞は、つまり抗体産生細胞である。
※もちろんT細胞やヘルパーT細胞のような書き分けを行なっていない高校教科書もあります。それでも講義の本質は変わりません。
補足:「MHC」が遺伝子を指しているのか、タンパク質を指しているのかを区別するために、MHCが発現してできたタンパク質を「MHC分子、MHCタンパク質」と呼ぶことが多いが、単に「MHC」と呼ぶこともある(たとえば『スタンダード免疫学』丸善出版、『免疫学コア講義改訂4版』南山堂)。免疫の単元は、すぐに教科書の内容が大きく変わるので、高校生は必ず最新の教科書と資料集で用語の使われ方をチェックし、大学入試では教科書と資料集の解釈にあわせること。細かい用語がたくさん登場して大変だろうが、本質は、『有額脊椎動物は、自己と他者を区別するための、精巧なシステムを獲得した』ということである。
●遺伝子の再編成の解説
• 遺伝子の再編成【免疫】 高校生物
#高校生物
#生物基礎
#免疫
クローン選択説について説明します。
細胞性免疫の解説
• 細胞性免疫 高校生物基礎
体液性免疫の解説
• 体液性免疫 高校生物基礎
●クローン選択・・・まず、リンパ系前駆細胞から、多数のリンパ球が生じる。それぞれのリンパ球は異なる抗原レセプターを持つ。それらのリンパ球のうち、体内の随所にある自己抗原と結合する(自己を攻撃する可能性を持った)リンパ球は、成熟前に排除される。成熟したナイーブリンパ球が持つレセプターが、提示された非自己抗原と結合すると、そのリンパ球は活性化され、分裂によって数を増やし、エフェクター細胞へと分化する。
●クローン選択説の前提:
①リンパ球は固有の特異性のあるレセプターを1種類ずつもつ。
②外来分子と、自身のもつレセプターがよく結合した場合、リンパ球は活性化される。
③活性化されたリンパ球に由来するエフェクター細胞は、もとの細胞(親細胞)と同じ特異性を有する。
④普遍的な自己分子とよく結合するリンパ球は、発生初期段階で消失するため、成熟リンパ球のレパートリーには存在しない。
●ナイーブ細胞にも多様な種類が既に存在する。たとえば、ヘルパーT細胞のナイーブな細胞は、ナイーブヘルパーT細胞などと言われる。
●講義で見たように、自己抗原に対する免疫は抑制されている。自己に対して免疫が働かない仕組みを免疫寛容という。
●T細胞は提示された抗原しか認識しないが、B細胞は自身のBCRで直接抗原を認識し、活性化する。(それとは別にヘルパーT細胞からも活性化を受け、抗体産生細胞に分化する。)板書の左の図では、T細胞が抗原を認識している図を描いているが、抗原を提示している抗原提示細胞は省略している。T細胞が抗原を直接認識することはない。T細胞は「提示された」抗原を認識する。
●講義ではさらっと流したが、T細胞のTCRも、免疫グロブリンのように遺伝子の再編成によって多様化する。遺伝子の再編成により生じるリンパ球の種類は何百万種類以上とも言われ、地球に存在しないような抗原を認識するものまで含まれると言われる。
●リンパ球には自然免疫にはたらくN K細胞もある(まだ機能について未知な所が多い。MHCによる抗原提示をさせないようなウイルスに感染した細胞[MHCを出していないような細胞]などを認識して殺すと言われる)。
●驚くべきことに、バーネットという人がこのクローン選択説を提唱した当時は、抗体の構造やリンパ球の詳しい働きなどはまだわかっていなかった。
●自分の組織や細胞に由来する様々な抗原を自己抗原という。たとえば、各臓器に特異的に発現するタンパク質が自己抗原になることもあれば、遺伝子の複製、転写、翻訳といった、細胞の基本的生命現象に必須の酵素や因子が自己抗原になることもある。
●ナイーブ細胞はリンパ管と血管を循環し続ける。
●T細胞は胸腺にある細胞により選択を受ける(自分を攻撃しかねないT細胞や、全く役に立たないT細胞はここで死亡する)。
●T細胞は胸腺で既にヘルパーT細胞、キラーT細胞の運命が決まっている(ナイーブの段階で運命は分かれている)。
●B細胞にもエフェクター細胞という名前を使うことがある。エフェクターB細胞は、つまり抗体産生細胞である。
※もちろんT細胞やヘルパーT細胞のような書き分けを行なっていない高校教科書もあります。それでも講義の本質は変わりません。
補足:「MHC」が遺伝子を指しているのか、タンパク質を指しているのかを区別するために、MHCが発現してできたタンパク質を「MHC分子、MHCタンパク質」と呼ぶことが多いが、単に「MHC」と呼ぶこともある(たとえば『スタンダード免疫学』丸善出版、『免疫学コア講義改訂4版』南山堂)。免疫の単元は、すぐに教科書の内容が大きく変わるので、高校生は必ず最新の教科書と資料集で用語の使われ方をチェックし、大学入試では教科書と資料集の解釈にあわせること。細かい用語がたくさん登場して大変だろうが、本質は、『有額脊椎動物は、自己と他者を区別するための、精巧なシステムを獲得した』ということである。
●遺伝子の再編成の解説
• 遺伝子の再編成【免疫】 高校生物
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