〇一橋世界史過去問解説
• 一橋大世界史解説
一橋大学は日本で一番世界史が難しい大学であることは間違いないでしょう。
ただ、そんな一橋大学も過去問を研究していくと「糸口」があります。
今回の中世都市は一橋の頻出テーマで、2008年、2014年、1994年、1983年の問題が「糸口」になる問題でした。
今回は2024年の第1問の問題を通じて、一橋は過去問研究の重要性が高いということをお伝えしていきたいと思います。
1.都市経済の「封鎖的な面」
①都市は外敵の侵入から防衛するために城壁を築く
②皇帝から特許状を得て、封建領主の経済的な収奪を排除
③商人や手工業者は同業者の組合としてギルドを結成するが、商品の品質・規格・価格などは統制され、自由競争や非組合員の商業活動は禁止されたため、閉鎖性が強い性質
2.都市経済の「開放的な面」
④リューベック・ハンブルクなどの北ドイツの諸都市はハンザ同盟を結成
⑤北海・バルト海地域でニシン・タラなどの海産物や毛織物などの生活必需品を取引し、都市間の交流も盛ん
⑥ロンドン、ベルゲン、ブリュージュ、ノヴゴロドの四大在外商館を始め、都市同盟に参加している以外の都市に拠点を設置して交易活動を行った。
3.中世都市の社会経済史的な意義
⑦商業の復活により都市商人の活動が活発化し、貨幣経済が農村に至るまで浸透
⑧直営地での賦役労働から保有地での貨幣地代に荘園経営の転換が進む
⑨貨幣を蓄積した農民は経済力が向上し、封建社会は衰退に向かった
解答例
封鎖的な側面。都市は外敵の侵入から防衛するために城壁を築き、皇帝から特許状を得て、封建領主の経済的な収奪を排除。商人や手工業者は同業者の組合としてギルドを結成するが、商品の品質・規格・価格などは統制され、自由競争や非組合員の商業活動は禁止されたため、閉鎖性が強い性質だった。開放的な側面。リューベック・ハンブルクなどの北ドイツの諸都市はハンザ同盟を結成。北海・バルト海地域でニシン・タラなどの海産物や毛織物などの生活必需品を取引し、都市間の交流も盛ん。ロンドン、ベルゲン、ブリュージュ、ノヴゴロドの四大在外商館を始め、都市同盟に参加している以外の都市に拠点を設置して交易活動を行った。社会経済史的意義。商業の復活により都市商人の活動が活発化し、貨幣経済が農村に至るまで浸透。直営地での賦役労働から保有地での貨幣地代に荘園経営の転換が進む。貨幣を蓄積した農民は経済力が向上し、封建社会は衰退に向かった。(400字)