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活動電位【神経細胞④】 高校生物


矢口はっぴー

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説明

【 note : https://note.com/yaguchihappy 】
活動電位について講義します。
語呂「カツ丼に納豆流入(活動電位、ナトリウムイオンの流入)」
静止電位について
   • 静止電位【神経細胞③】 高校生物  

●ナトリウムポンプは、ATPを分解して得たエネルギーを用いて、細胞外にNa+を、細胞内にK+を能動輸送する(ATPのエネルギーを用いて3つのNa+を細胞外へ排出し、2つのK+を細胞内に入れる)。
*特に問題文で指定が無ければナトリウムポンプとナトリウム-カリウムATPアーゼは同義としてよい。
●常時、カリウムチャネル(カリウム漏洩[リーク]チャネルとよばれる種類のカリウムチャネル)がK+(正に帯電している)を細胞外に漏らしている。
よって、静止時、細胞外は正(+)に、細胞内は(細胞外に比べて相対的に)負(-)に帯電している。
このときの膜内外の電位差を静止電位という。
*静止電位:静止状態にある神経細胞の膜電位(膜をはさんだ電位『差』)。細胞の種類によって異なるが、一般的にー40~ー80mV(ミリボルト)の範囲にある(アホらしいが、数値が問われることもある。今使っている教科書の静止電位の値を一応チェックしておこう)。
<Q.どうして陽イオンしかないのに「負」なんて言葉が登場するの?…まず、細胞には陰イオン(Cl-)もある。しかし、静止電位に対する陰イオンの挙動の寄与は小さいため無視している。「静止時、細胞内が細胞外に比べて負になる」というのは、静止時、カリウムイオン流出の分だけ細胞内の陽イオンが少なくなり(細胞外の陽イオンが多くなり)、「細胞外と比べれば」細胞内が負になるということである。実際、静止時においては、膜の外側で陽イオンが過剰になり、膜の内側で陰イオン(Cl−)が過剰になっていると考えられている。>

●細胞内の電位が正の値側に変化する現象を脱分極という。逆に、細胞内の電位が負の値側に変化する現象を過分極という。
●ニューロンが刺激を受けると電位依存性(でんいいぞんせい)ナトリウムチャネルが開いてNa+が細胞内に流入し、細胞内の電位が、一時的に、マイナスの静止電位から+40mVに上昇する。
この電位『変化』を活動電位という。
●電位依存性ナトリウムチャネルはすぐに閉じ、不応期と呼ばれる時期に入り、しばらく反応しない。
●続いて、遅れて開く電位依存性カリウムチャネルが開いてK+が細胞外へ流出し、電位がもとにもどる(どうして電位依存性カリウムチャネル遅れて開くかはよくわかっていない)。
そして電位依存性カリウムチャネルが閉じて、元の状態(静止状態)に戻る。
*ナトリウムポンプはずっと働いている(ATPのエネルギーを用いて3つのNa+を細胞外へ排出し、2つのK+を細胞内に入れ続ける)。
*カリウム漏洩チャネルはずっと開きっぱなしである(実際はランダムに開閉を繰り返している)。このカリウム漏洩チャネルからのK+の流出が静止電位を実現している。
*すべてのチャネルは受動輸送しか行わないことに注意。たとえば、興奮時、電位依存性ナトリウムチャネルを通って細胞内にNa+が流入するのは、細胞外より細胞内の方がNa+の濃度が低いからである(濃度勾配に従ってNa+が移動する)。
●ナトリウムポンプが輸送する+イオンの数の差(Na+が3個、K+
+が2個)が静止電位をつくる原因であると勘違いしている人もいるが、誤りである。ポンプによって輸送される+イオンの数の差は静止電位の形成にはほぼ寄与しないことが知られている(ナトリウムポンプは3Na+に対して2K+を輸送する。よって、確かに、このポンプが働くと電流が流れることになる。しかし、ナトリウムポンプを流れる電流はイオンチャネルを流れる電流に比べるとわずかであり、静止膜電位をたかだか数mVほど変化させる程度の大きさである)。K+漏洩チャネルによるK+の細胞外への流出こそが静止電位形成の主な原因である(細胞膜のもつ、K+チャネルの選択的透過性が、静止電位を作り出すカギとなる決定的な要素であることが明らかになっている)。


●ナトリウムイオンの細胞内への流入が活動電位が発生する原因である。
●何らかの刺激により、「一定の値」まで膜内外の電位差が小さくなると、一気に活動電位が発生する(電位差が小さくなることを脱分極と言う)。この「一定の値」を閾値という。閾値にまで達しないと活動電位は発生しない。
●1つの細胞の活動電位の大きさは、刺激がいくら強くても変わらない。これを「全か無かの法則」という。我々は刺激の大きさを、活動電位の大きさではなく、『活動電位の発生頻度』と『興奮が生じている神経細胞の数(神経細胞1つ1つの閾値が多少異なる。刺激が強いほど多くの神経細胞に興奮が生じる)』で判断している。
●静止電位の大きさは、おおよそカリウムイオンの濃度勾配のみに左右され(カリウムイオンが細胞外に漏洩する勢いに左右され)、活動電位の大きさはおおよそナトリウムイオンの濃度勾配のみに左右される(ナトリウムイオンが流入する時の勢いに左右される)としてよい。これを知っておくと問題を解くときに便利(実際はこれほど単純ではない。細胞内外の様々なイオンや電場に影響される)。
●静止時にカリウムイオンを通しているカリウムチャネルは、大学ではカリウムリークチャネル(カリウム漏洩チャネル)とよぶ。実際は静止時には、いつまでもカリウムイオンが漏れ続けるということはなく、カリウムイオンが濃度勾配に従って漏れ出ようとする勢い(細胞内の方が濃いので、薄い細胞外へ移動しようとする)と、細胞外のプラスイオンに押し戻される勢い(カリウムイオンはプラスに帯電しているので、プラス同士反発する)が釣り合って変化が止まる。これを、電気化学的平衡に達したと表現する。詳しくはnoteで解説している。
https://note.com/yaguchihappy/n/n23b91e346394



問題:活動電位の発生にかかわりの深い現象はどちらか。
①ナトリウムイオンの流入②カリウムイオンの流出
答え:①(主にナトリウムイオンの流入により活動電位が発生し、カリウムイオンの流出により静止状態に戻ると考えられている)

問題(発展):細胞外にあるNa+イオンの半分をK+イオンに置き換えた。①静止電位はどうなる?②活動電位はどうなる?
答え:①静止電位は、K+イオンの濃度勾配の大きさに起因するとしてよい。K+の濃度勾配が小さくなったので、(細胞外にK+が多くなったので、K+が外へ漏洩しようとする勢いが小さくなり)静止電位は上昇する(0mVのほうに少し近づく)。
②活動電位はNa+イオンの濃度勾配の大きさに起因するとしてよい。Na+の濃度勾配が小さくなったので、(Na+が細胞外に少なくなったので、興奮時にNa+が細胞内に流入する勢いが減って)活動電位は小さくなる。

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