【 note : https://note.com/yaguchihappy 】
染色体・DNA・遺伝子・ゲノムについて講義します。
問題:ゲノムには、非遺伝子領域を(①含む ②含まない)。
答え:①含む
*非遺伝子領域もゲノムに含むことに注意しよう。
問題:ヒトのゲノムに含まれる遺伝子数と、ヒトのゲノムサイズに近い値を、それぞれ選べ。
①20000個 ②30億塩基対 ③46本 ④60兆個
答え:遺伝子数:① ゲノムサイズ:②
問題:人の体細胞には何セットのゲノムがあるか。
答え:2セット
*申し訳ありません。鳥(ウズラ)の声や、魚の水槽の音が入ってしまっています。字幕を作ってあるので、活用してください(字幕[CC]ボタンで出ます)。
●遺伝子領域の数は、何を遺伝子と呼ぶかによって変わるが、高校では、ヒトの遺伝子領域の数は約2万領域と覚えておこう。
●難関大を受ける人は、タンパク質をコードしていない遺伝子があることにも注意しなければならない。r RNAやt RNAの遺伝子などである。
●ゲノムは、遺伝子領域も非遺伝子領域もすべて含む用語だと言うことを知っておこう。分子遺伝学の本質に比べればつまらないことだが、模試や定期テストで超よく出る。
●ヒトの20000の遺伝子は、すべて転写されているわけではなく、その細胞に必要なタンパク質をコードする遺伝子のみが転写・翻訳されている(すなわち「発現」している)。
*発現する遺伝子は、細胞の種類、時期などによって異なる。どのように上手に発現する遺伝子の種類が調節されているのか、詳しい研究が進んでいる。
*たとえば、眼の水晶体の細胞ではクリスタリン遺伝子が発現するが、インスリン遺伝子は発現しない。すい臓の細胞ではクリスタリン遺伝子は発現しないが、インスリン遺伝子が発現する。
選択的遺伝子発現に関して、noteに詳しく記してある。
https://note.com/yaguchihappy/n/nbafc751a80ab
*その、遺伝子のオン、オフに、DNAが巻き付いているタンパク質(ヒストンというタンパク質)が関わっている。ぎゅっとDNAがタンパク質に強く巻き付けばその領域にある遺伝子の転写は起きにくい。緩めば起きやすい(本当はもっと複雑である。大学で学ぶ)。
●46本ではない数の染色体を体細胞にもつ人はたくさんいます。人の間であっても、染色体数は一種の個性です。大学の教科書、高校の教科書に従って講義していますので、ご容赦ください。
●非遺伝子領域から、小さな、役割未知のRNAが頻繁に転写されているらしいことがわかっている。高校生は覚えなくて良い。
また、無意味の領域がたくさんあることで、DNAの挿入による遺伝子の破壊(実は、動く遺伝子が知られている)を防いでいるという説もある。影武者が大量にいれば、殿様が破壊される確率は下がるだろうという理屈である。
●ゲノムgenomeとは、生物のもつ全染色体あるいはそこに含まれる全遺伝情報のことで、古くは配偶子に含まれる染色体あるいは遺伝子の全体を呼称する語として使われてきた。ゲノムは、遺伝子geneと、染色体chromosomeを合体させた造語である(geneと、全体を表す-omeをくっ付けたという説もある)。
●ゲノムの大きさ(一倍体の染色体ひとそろいに含まれるDNAの長さ)は、生物種によってさまざまである。
●複雑な生物を形づくるには、より多くの遺伝子が必要そうに一見思える。
確かに、ゲノムの大きさと、生物の見かけの複雑さには、大ざっぱな相関関係がある。
しかし、大ざっぱな相関はあるものの、完全な相関とはほど遠い。
体の複雑さが同じくらいに見えるのに、ゲノムの大きさがまったく違う生物も多い。( たとえば,ショウジョウバエのゲノムはバッタの約25分の 1であり、イネのゲノムはコムギの約40分の1である。これだけを見ても、ゲノムサイズの大きさが体の複雑さをそのまま表しているわけではないということがわかる。)
これらの例が示すように、ゲノムの大きさよりも、むしろ遣伝子数のほうが生物の複雑さとの関係が深い。
それでも、遺伝子数と体の複雑さが比例するとは言い難い。なぜであろうか?その辺の事情は基本的に未解明である(1つの遺伝子から複数のタンパク質を生じさせる選択的スプライシングも関係するだろう)。
●noteにいろいろな生物のゲノムサイズを記した。
https://note.com/yaguchihappy/n/nb431cb2cb3be
0:00 染色体
1:24 遺伝子
5:29 ゲノム
10:42 ゲノムサイズ
#ゲノム
#生物基礎
#高校生物