この季節、多くの方々が新たに普通自動車免許を取得し、初心者ドライバーとしての一歩を踏み出している時期かと思います。
そんな中、自動車学校で習った「免許を取得してから1年以内は、クルマに貼らないといけない物」を覚えていますか?
そうです。あの「初心者マーク」です。
この初心者マークと呼ばれるものは、法律によって、「運転免許取得後1年未満の運転者が普通自動車を運転する際、車の前後が見やすい位置に貼り付けることを義務」付けられています。
自動車学校を卒業する際に「磁石式の初心者マーク」を生徒に渡す学校も少なくありません。(筆者も頂きました!)
しかし最近のクルマは軽量化の為にボンネットやリアハッチがアルミ製になっており、磁石式の初心者マークを貼ることが難しい車種も多くなっています。
筆者自身も、レンタカーでプリウスなどを運転した際に「フロント磁石式の初心者マーク貼れないじゃん!」と困った経験があります。
そこで今回は、磁石が付かないクルマにおける初心者マークの正しい貼り方について、トヨタ自動車、そして教科書なども作っている自動車学校に取材をしてきたので詳しく解説していきます。
目次
- シール式の初心者マークはダメなの?
- ルールを教える側:自動車学校の見解
- クルマを作る側:トヨタ自動車の見解
- 少しユニークな取り組みとは?
- 安心安全なクルマづくり
- 最後に
シール式の初心者マークはダメなの?
まず「磁石式の初心者マークが貼れない」とき多くの方が最初に思いつくのは、シール式の初心者マーク。
実際、筆者も磁石式の初心者マークが貼れないクルマに乗ったときは、シール型の初心者マークを使っていました。
一見、シール式の初心者マークを貼れば問題の無いように見えますが、そこには大きな落とし穴が存在しているのです!
超短距離の移動なら問題がないかもしれませんが、高速道路を100km程度の距離を走行すると、どこかで「剥がれて無くなっている」ことが数回ありました。
恐らく走行中の風圧などで剥がれているのだと思います。
そして道路交通法では「車の前後で見やすい位置に貼ること」が義務付けられていますので、もし途中で剥がれてしまった場合、厳密には違反になってしまうのです。

(筆者が運転しシール式の初心者マークが飛んでしまった時のプリウス)
ルールを教える側:自動車学校の見解
では、初心者マークはどのように貼ればいいのでしょうか。
まずは、法律を教える立場である自動車学校の見解を確認してみることに。
実際に、全国の自動車学校の教科書を作成しているトヨタグループの中部日本自動車学校にお話を伺いました。
中部日本自動車学校の担当者さんによると、
「最近の車では、アルミやカーボンファイバー製のボンネットが主流になりつつあり、マグネット(磁石)式の初心者マークを取り付けられないケースが増えています。
そのため、現実的な選択肢としてはシール式か吸盤式のものになると思います。また、貼り付け位置は法律で定められており、フロントガラスに直接貼ることはできないため注意が必要ですね。」
続けて、筆者が「シールだとすぐに飛んでしまうのですがその場合、どうしたらよいでしょうか」と尋ねると、次のように回答してくださいました。
「そういった車では、外に貼ると風で飛ばされる可能性があるので、ダッシュボード上に置くのが良いかもしれませんね。後方であれば、吸盤式かシール式を選ぶと良いと思います。
貼る位置は、周りのクルマから見えやすいことが大切なので…、私だったら助手席前のダッシュボードに置きますね。
また、リアガラスの端の方なら貼っても問題ないと思いますよ。」
このように、中部日本自動車学校の担当者さんからは実際の法令に即した回答をいただきました。
ただ、取材では少し困惑した様子も伝わってきました。
筆者はこの反応から、「自動車学校としても“これが正解です”とは言いづらいのが現状」なのだと感じました。
とはいえ、担当者の見解からも分かる通り、現時点での“現実的な答え”としては、
「ダッシュボード上やリアガラスの端の位置に置く(貼る)」という方法が、一つの妥当な選択肢といえるでしょう。
では次に、クルマを実際に「作る側」トヨタ自動車の見解を見ていきましょう。

(画像中の矢印の周辺に初心者マークを置くことをおすすめします)
(JMSトヨタブースにて筆者が撮影))
クルマを作る側:トヨタ自動車の見解
今回私はこの件について、世界でいちばんお客様に選ばれている自動車メーカーのトヨタ自動車に相談し、対応を検討していただきました。
その中で最終的に、トヨタの代表的な売れ筋モデルである現行型プリウスを軸に進めることなりました。
したがって、ここではプリウスを例にして詳しく見ていきます。
まず、プリウスの特徴について少し説明します。
筆者自身も実際に乗ったことがありますが、プリウスは軽量化のためにボンネットがアルミ製となっています。そのため、磁石式の初心者マークを貼ることができないという問題があるのです。
今回、トヨタ自動車広報部にプリウスの担当部署に聞いていただきました。
担当部署によると、
「プリウスは、高い環境性能とパワフルで気持ちの良い走りが特徴です。その実現のためには、「軽量化」が重要であり、エンジンフード(ボンネット)に使用したアルミ素材が軽量化に貢献しています。
そのため、エンジンフード(ボンネット)にはマグネットタイプの初心者マークを貼ることは出来ませんので、シールタイプをご利用ください。ちなみにバックドアには、マグネットタイプを貼ることができます。
安全、安心に交通法規を守って運転いただくことが何より大切です。」
このような回答を、プリウスの担当部署より頂きました。
やはり、ボンネットに初心者マークを貼ることは出来ないということで、少し残念ですが、ここで注目すべきなのは、自動車メーカーとしてユーザーに寄り添い、安心安全面に配慮し「シールタイプを推奨する」という実務的な対応策を明確に示している点だと思います。
同時に、担当部署のコメントからは「安心・安全に、そして法律を守って運転してほしい」という自動車メーカーとしての強い安全意識とドライバーへの配慮が強く伝わってきました。
(究極の安心安全なクルマを目指しもっといいクルマづくりは進められている)
(スーパー耐久オートポリス大会にて筆者が撮影)
少しユニークな取り組みとは?
先ほどまで、ボンネットがアルミやカーボンファイバー製の車には磁石式の初心者マークが貼れないこと、そしてシール式でも走行中に剥がれてしまうことを説明してきました。
ここで少し、ユニークな取り組みを紹介したいと思います。
そのユニークな取り組みを見ることが出来るのが全日本ラリーの「JN-2」というクラスでモリゾウさんがプロデュース、トヨタ自動車がサポートする「モリゾウチャレンジカップ」というラリー競技です。
この大会では、GRヤリスというトヨタのスポーツカーで競技が行われており、18歳の初心者ドライバー、米林慶晃選手が参戦しています。
そして筆者がその車両を見ていて気づいたのが
「え?ボンネットに初心者マークが貼ってある!」ということです。
GRヤリス、当然ボンネットはアルミ製で磁石式の初心者マークを貼ることはできません。
仮にシール式の初心者マークだとしても「過酷なラリー競技なのになぜ剥がれないのか」謎が残ります。
では、どうやって貼っているのか?
気になって調べてもらったところ、驚くべき答えが返ってきました。
そもそもラリーマシンやレースマシンには、塗装の上にラッピングフィルムという薄いシールを貼り付けています。
そこにはスポンサーのロゴ、そして車両のデザインも、そのラッピングの一部として印刷されているんです。
そして現場で調べてくださったGRの担当者によると「米林選手の初心者マークも“あとから貼った”のではなく、ラッピングデザインの一部としてプリントされている」とのことでした。
これなら、当然剥がれることもありませんし、非常にユニークで、合理的な方法ですよね。
もちろん、一般の自動車ユーザー様がここまで本格的にラッピングするのは簡単なことではありません。
ただ、最近では部分的なラッピング施工なら数万円程度でできるケースも増えてきているので、もし「せっかくだしオリジナル感を出したい!」と感じている方がいれば、“初心者マーク入りデザイン”のラッピングを試してみるのも面白いと思います!
これなら剥がれる心配もなく、見た目もスタイリッシュ。なにより、安心・安全・法令遵守で運転に集中できます。

(初心者マークをラッピングした車両で人とクルマを鍛える米林選手)
(提供 トヨタ自動車)
※GRヤリスの開発責任者、齋藤尚彦チーフエンジニアのインタビュー記事はこちら!
安心安全なクルマづくり
この記事の中でも何度も出てきたのが、「安心・安全」という言葉。
これは初心者ドライバーだけでなく、すべてのドライバーに共通して大切なことですが、当然、クルマを運転するうえで、交通事故というものは人を笑顔にはせず、不幸にしてしまう出来事です。
もちろん、事故を完全にゼロにすることは簡単ではありません。
しかし、そのリスクを限りなく下げる努力を続けているクルマは、今や世の中にたくさん存在しています。
例えば、今回協力していただいたトヨタ自動車では、現在多くの車種に以下のような先進安全装備が導入されています。
• 自動ブレーキ(プリクラッシュセーフティ)
前方の車や歩行者を検知し、衝突の危険がある場合には自動的にブレーキをかけてくれる機能。
• 車線維持支援(レーンディパーチャーアラート)
高速道路などで車線をはみ出しそうになった際に、警告やステアリング補助でサポート。
• クルーズコントロール
前の車との車間距離を自動で保ちながら速度を調整してくれる機能。
• パーキングサポート・360°カメラ
駐車時や方向転換時などに周囲をカメラやセンサーで監視し、障害物や歩行者を検知してくれる装備。
• ドライバー異常時対応システム
運転者が体調不良などで正常な運転が困難な際に、自動で停車し、衝突事故や二次災害を軽減する機能。同時に救命要請も行い運転手の命を守る機能。
• 衝突安全ボディ(GOA)
万が一、事故が起きてしまっても、乗車している方の命を守る世界トップレベルの衝突安全ボディなど。
他にも沢山ありますが、このような機能が現在新車で発売されている多くのトヨタ車に搭載されています。
そして自動車メーカーでは、安心・安全、そして“交通事故ゼロの未来”を目指したもっといいクルマづくりが進められています。
もし、これから新しく車を購入する予定がある方は、ぜひ「見た目」や「走り」だけでなく、安全装備の充実度にも目を向けて欲しいです!
「このメーカーの自動ブレーキってどんな感じなんだろう?」「運転支援機能って、どこまでサポートしてくれるの?」そうやって調べてみるだけでも、あなたの自動車ライフは安心安全なものへと変わっていきます。

(苦手な方も多いバックでの駐車もカメラやセンサー等で運転者をサポートしてくれる機能のイメージ画像)
(提供 トヨタ自動車)
未来は皆んなで創るもの
ここまで、初心者マークの貼り方や注意点、そしてルールを教える側である自動車学校の見解、さらにクルマを作る側のトヨタの見解、そして安心・安全な未来のための安全装備について紹介してきました。
結論として、「ここに貼っておけば捕まらない」と言えるのは、後方ではトランク上部の見やすい位置、前方ではボンネット、またはダッシュボードの見やすい位置です。
ただ、一番大切なのは、“見せるために貼る”ことでも、“法律を守るために貼る”ことでもないということ。
初心者マークは、「私は初心者ですよ。だから煽らないでね、安全に接してね」という思いやりと安全の為のサインです。
そして、そのマークを見た周りのドライバーも、自然と心遣いのある運転をしてくれています。
もう1つ大切なのは、クルマも人も進化しているということです。
昔のクルマならボンネットに磁石式のマークを貼れましたが、今の車は軽量化のためにアルミ素材が使われ、磁石が効かない構造になっています。
そしてトヨタが追い続けている“もっといいクルマづくり”の根底には、「幸せの量産」という強い想いがあります。
事故が起きてしまうと幸せは減ってしまいます。
運転するユーザーが変わっても、クルマの素材や技術が進化しても、最終的に大切なのはドライバー自身の「安全を思う気持ち」。
これからも私たち一人ひとりが、安心・安全、そして思いやり運転を重ねていけば、きっと交通事故のない社会に一歩ずつ近づいていけるはずです。
この記事を読んで、もし周りに初心者ドライバーの方がいらっしゃったら、ぜひこの記事を共有して、みんなで安心・安全な未来、交通事故のない社会を作っていきましょう!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

(みんなで安心安全な未来、交通事故のない社会を作っていきましょう!)
(提供 トヨタ自動車)





