酪農
定義
生乳や乳製品の生産を主とする農業で、牧草や飼料作物の栽培と結合している例が多く見られます。
解説
もともとはヨーロッパ型の混合農業から発展して形成されたものです。もともと混合農業では家畜の飼育も行われていたのですが、それを乳牛の飼育に特化させて成立しました。
酪農が盛んなのは、主に
- 大陸氷河に覆われていたやせ地
- 冷涼な地域
- 大都市近郊
です。
なぜそのような場所に立地するのかには、ちゃんと理由があります。
大陸氷河に覆われていたやせ地
大陸氷河に覆われていた地域は土地がやせているというのは自然環境の大陸氷河の項で説明した通りですね。
このような土地は穀物栽培には向きませんが、クローバーなど牧草の栽培はできるため、酪農が行われるようになりました。
これに当てはまるのが、デンマーク・オランダ等北西ヨーロッパ、アメリカ大陸の五大湖周辺です。
冷涼な地域
穀物を栽培するにはちょっと寒すぎるけど、牧草は生えるから家畜は飼える…そんな所にぴったりなのが酪農。
穀物は育てられなくても、牧草を牛が食べてお乳に変えてくれるのでしっかり儲けることができます。
酪農で主に用いられるホルスタインという品種は暑さに弱いため、冷涼な地域でないと飼育が難しいという理由もあったりします。
大都市近郊
牛乳ってすぐ腐りますよね。飲み物の中では断トツで傷みやすいはずです。牛乳は長距離輸送に向かないのです。
ぜひ、スーパーに行ってみてください。そして牛乳・乳製品コーナーを見てみましょう。恐らく、生乳は近隣の都道府県で生産されているはずです。
このように、生乳は長距離輸送ができないので、大消費地の近くに酪農業が立地する必要があります。このため、大都市近郊では酪農業が発達します。
アメリカの五大湖周辺、ヨーロッパだとオランダやデンマークがこれにあたりますし、日本だと千葉県は意外と酪農が盛んだったりします。
酪農と協同組合
JA、農協ってありますよね。農業協同組合のことですが、この協同組合は酪農業の協同組合が発祥だともいわれています。
酪農業というのはたいへん大規模な設備が必要な農業で、牛舎を建て、搾乳した牛乳を加工する工場を建て、保管するタンクを建て…など、かなりの設備投資が必要です。到底個人で賄えるものではありません。
そこで、酪農家たちが共同でお金を出し合い、工場を共同で建てて共同で利用するという仕組み、協同組合がデンマークで生まれました。近代農業協同組合の起源ともいわれています。重要度はそこまで高くないですが、知っておいた方が良いでしょう。