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活性化エネルギーについてわかりやすく講義します。
後半、少し大学内容に足を踏み入れます。我々は宇宙の法則に逆らうことはできません。利用することができるだけです。
語呂「姑息な手で火星を下げる(酵素は活性化エネルギーを下げる)」
問題:酵素は、活性化エネルギーを( )する。空欄を埋めよ。
答え:低く
酵素のグラフについての講義
• 酵素に関するグラフ 高校生物
●ある種の酵素は、酵素がない状態では10億年に1回しか起こらないような反応を、5秒に1回引き起こす。それほど活性化エネルギーの低下による反応速度の上昇は劇的である。
●動画の中の、基質A1、A2と酵素の反応について。A1と酵素が結合し遷移状態になるための活性化エネルギーは低く、さらにA1と酵素が合体した物(A1-酵素複合体)と、A 2との間に起きる反応の活性化エネルギーも低い。そのため、酵素のない条件より、速く反応が進行する。
A1が、触媒なしで A 2になるための活性化エネルギーはとても高い。
●当然、遷移状態となっても、元に戻ってしまうこともあり得る。遷移状態では、Bだけでなく、 Aよりも高いエネルギーレベルにあるからである。 A方向に転げ落ちることもあり得る。
● 一般に平衡にある系がほかの平衡状態に移る場合には、その途中に両状態よりも高いポテンシャルエネルギーの障壁を乗り越えなければならない。この障壁を乗り越えるのに要するエネルギーを活性化エネルギーという。(知らなくて良いが、統計力学的な解釈によると、活性化は系のエネルギーが衝突その他によって内部自由エネルギーになるためと考えられ、とくに活性化自由エネルギーという。反応原系から生成物が生じる中間段階として一つの遷移状態が存在するが、この遷移状態と原系のエネルギー差が活性化エネルギーである。すなわち、原系と生成系の間にはエネルギー障壁があり、この高さが活性化エネルギーに相当するのである)
●酵素の活性部位の形状や、電荷の分布、水素結合、暫定的な共有結合、金属イオンへの配位などにより、基質の動きや高次構造が制限を受け(現在では、酵素もそれに伴って歪むことが知られている)遷移状態に近い形に固定される。活性部位の構造を使って最適な位置に基質を固定している。その結果、酵素ー基質複合体は、高いエネルギー無しに、遷移状態に移行し、生成物と酵素になるのである(酵素の歪みは元に戻る)。
酵素がある場合の反応速度は、ない場合に比べて10000000から10000000000000000000倍程度速い。
これは、酵素のない状態では、活性化エネルギーを超えるほどのエネルギーを獲得する基質は、奇跡的にうまい向きで衝突したもののみであるからである。したがって、熱力学的に進み得る反応であっても、酵素のない場合は、その速度は非常に小さい。(酵素があると、基質が、最適な配置で近付くことになるので、生成物に至る遷移状態へ劇的に形成されやすくなる)
大学生の言葉を使えば、酵素は、遷移状態となるためのエネルギーを供給するのではなく、遷移状態のエネルギーレベルを低くしているのである。
生体内で酵素が使われているのは、マッチの火のような活性化エネルギー投入法では、つまり高熱では、生体が壊れてしまうからである。
●DNAやタンパクはエネルギーレベルが高く、分解したほうが安定である。しかし、細胞内でDNAやタンパク質が勝手に壊れないのは、これらの分解反応には高い活性化エネルギーの山があるからである。
●実際は、動画の横軸は反応座標、縦軸はギブズエネルギーである。大学生になったら学ぶと良い。不安定な系は高いギブズエネルギーをもち、より安定な状態(低いギブズエネルギーをもつ状態)に変化しようとする。
0:00 酵素は活性化エネルギーを下げる
4:21 余談(大学内容)
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