【 note : https://note.com/yaguchihappy 】
感染症のPCR検査の原理について講義します。
●高校生向けに、高校生物のPCR検査に関する入試問題が解けるようになることを目的として解説しています。
●PCR( polymerase chain reaction )法は、核酸を大量に増幅する酵素的化学反応。温度変化の1サイクルでDNAのコピー数は倍加し、原理的にはn回のサイクル後には2のn乗倍になる。
PCRは、実際には、増やしたい配列をもつDNA、プライマー、4種のデオキシヌクレオチド(DNAの材料)、そして耐熱性のDNAポリメラーゼを最初に混合し、周期的な温度変化をコンピュータを用いて行う。
出発材料がRNAの場合は、逆転写酵素によってDNAに変換してから行う(そのようなPCRをRT-PCR[reverse transcriptase PCR]という)。
●DNAポリメラーゼには、好熱菌由来の耐熱性のものを使う。
●プライマーの語源はプライマリーと同じ。最初の、第一の、という意味。
●ポリメラーゼのポリは、たくさん、という意味。DNAもRNAもヌクレオチドという化学物質がたくさん繋がった物だが、ポリメラーゼはヌクレオチドをたくさん繋げ続けることでDNAやRNAを合成する。(DNAポリメラーゼはDNAを、RNAポリメラーゼはRNAを合成する。逆転写酵素は、RNAを鋳型にDNAを合成するので、RNA依存性DNAポリメラーゼとも呼ばれる)
●高校では習わないが、逆転写酵素が働く際もプライマーが必要である。
●RNAに使われているヌクレオチドとDNAに使われているヌクレオチドは異なる(RNAは糖にリボース、塩基にアデニン、ウラシル、シトシン、グアニンが使われる。DNAは糖にデオキシリボース、塩基にアデニン、チミン、シトシン、グアニンが使われる)。
●細胞は厳密にDNAとRNAを使い分けている。すぐに分解されるRNAに比べて、DNAは非常に安定である。おそらくそのことが理由の一つとなって、現在、DNAは全生物に遺伝物質、遺伝子の本体として利用されている。
※当然、プライマーが必要であるということはDNAポリメラーゼの弱点ではない。厳密に決められた条件・場所ではたらかなければならないという制御を受けている可能性がある。念のため。
※当然、新型コロナウイルス検出のプロトコールでは、厳密なPCR条件が規定されています。今回の板書とは異なるところもあります。念のため。
※最近撮影した動画では、マスクを着用しています。普段生徒たちが使う黒板で授業をしているので、(消毒を徹底していますが)念のために、飛沫を減少させています。個人的な考えに基づいた行為です。ご了承ください。申し訳ありません(後、これは変な話なのですが、授業内外の様々な場面で、生徒たちにマスクの着用を推奨している中で、僕がマスクを外して自由に楽しく授業をしているのが、なんとなく、嫌な感じがするのです)。
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