【 note : https://note.com/yaguchihappy 】
PCRについて講義します。PCRは核酸増幅実験です。
語呂「二人でプラプラ、四人でぬくぬく、こたつでポリポリ(PCRには、2種のプライマー、4種のヌクレオチド、耐熱性のDNAポリメラーゼが必要。コタツで耐熱性をイメージする)」無理矢理ですね。すみません。
●PCR法(PCR=ポリメラーゼ連鎖反応、polymerase chain reaction)は、DNAの特定の領域を増幅する方法である。
①DNAを約95℃で処理⇒ 塩基同士の水素結合を切り、二本鎖を一本鎖にほどく。
②約60℃で、増幅させたい配列の両端にプライマーを結合させる。
③約70℃で、DNAポリメラーゼを働かせ、DNAを複製させる。
④生じた二本鎖DNAを再び95℃でほどき、同じサイクルを繰り返す。
*あらかじめ、増幅させたい領域を含むDNA、プライマー、4種のヌクレオチド(DNAの材料。4種あるのは、塩基が4種あるから)、DNAポリメラーゼなどを加えておけば、温度変化は装置が勝手に繰り返してくれる。
*ヌクレオチドには、DNAの材料であるデオキシヌクレオシド三リン酸(デオキシリボースと塩基とリン酸3つが結合したヌクレオチド)を用いる。dNTPと表記される(Nは「AかTかCかGが入りますよ」という記号。dATP、dTTP、dCTP、dGTPの4種が使われる。先頭のdは、「デオキシリボース」を表している)。
★PCR法では、好熱菌由来の、高温でも失活しないDNAポリメラーゼを用いる。(非常によく問われる!)
●プライマーが短すぎると、色々な場所に結合してしまう。実際、上のの動画のように4塩基しかない短いプライマーを使ってしまうと、DNAの色々なところにベタベタとプライマーげ結合し、様々な副産物が生じてきてしまう。ただ、異常に長いプライマーを作ると、DNAと結合する確率が減り、産物の収量が下がる(プライマーのサイズが大きいほどアニーリング効率は低下する)。それに、長いプライマーは高価である。
●PCRの温度の設定は実験条件によって異なる(しかし、困ったことに、入試で温度が問われることがある。一応教科書の値を覚えておこう)
●1993年にノーベル化学賞を受賞したキャリー・マリスは、当時のガールフレンドを乗せてハイウェイをドライブしている時に、PCR法の原理をひらめいた。「二つのプライマーを両端につなげば、その間の領域は酵素によって複製されるだろう。今度は新しくできたDNAの二本の鎖をほどいて一本にしたとしよう。これは加熱すれば容易に可能である。酵素はもう一度新しい鎖の上で働き始めるだろう。2本のコピーから4本ができ、次のサイクルではそれが8本になり、どんどん続くだろう。私は何か途方もないものを見つけたぞと大声で叫んだ」単純すぎるアイディアだが、他の誰も思いつかなかった。彼のみに生命科学の女神が微笑んだのである。PCR法の特許は3億ドルで取引された。
問題:PCRで用いるDNAポリメラーゼの特徴を答えよ。
答え:高熱でも失活しないもの(好熱細菌に由来するもの)を用いる。
●PCR法は紙の上で再現できるようになりましょう。
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