【 note : https://note.com/yaguchihappy 】
動物細胞について講義します。
●核 膜
構造:2 枚の膜からなり(二重膜構造)、核膜孔(mRNAが通る)とよばれる小さな穴が多数ある。小胞体と一部で連続している。
はたらき:DNAの保護。
●核小体
構造:RNAとタンパク質が主成分。膜で包まれていない。
はたらき:リボソームの合成。
*核小体は、rRNA遺伝子を含む染色体領域を中心としてタンパク質とRNAが集合した小球体である(活発に転写中のrRNA遺伝子を取り巻くタンパク質と、RNAの網目構造になっている)。核小体の主な機能はリボソームの合成である。リボソームの合成は、rRNAの転写、修飾、切断、リボソームタンパク質の集合(リボソームタンパク質は核外から運び込まれる)などの反応によって行われるが、各ステップには不明な点も多い。多段階反応の結果、小サブユニットと大サブユニットができるが、これらはまだ未完成であり、核膜孔を通って細胞質へ輸送され、初めて機能を持った最終的なリボソームになる。
●染色体
構造:DNAとタンパク質(ヒストンというタンパク質など)からなる。通常は糸状であるが、細胞分裂時には凝縮する。
酢酸カーミンや酢酸オルセインなどの色素でよく染まる。
はたらき:DNA は遺伝子の本体。
●ミトコンドリア
構造:2 枚の膜で包まれ(二重膜構造)、 DNA (細菌と同じ環状)を含む。ヤヌスグリーンで青緑色に染まる。
語呂「三鷹は高級住宅地(ミトコンドリア、呼吸、二重膜)」
はたらき:呼吸によって有機物を分解し、ATP(アデノシン三リン酸)を生成。
●リボソーム
構造:rRNAとタンパク質からなる。小胞体の表面に付着しているものと、細胞質に散在しているものがある。膜に包まれていない。
はたらき:タンパク質の合成(翻訳に関与)。
*リボソームは、大サブユニット(約49個のタンパク質と3個のrRNAからなる)と、小サブユニット(約33個のタンパク質と1個のrRNAからなる)からできている。リボソームの大サブユニットと小サブユニットの完全な三次元構造が解明されたのは2000年のことである。リボソームの「mRNA上にtRNAを配置する働き」や「アミノ酸同士のペプチド結合形成の触媒作用」を持っているのは、rRNAの部分である。すなわち、リボソームは一種のリボザイム(触媒活性を持つRNA)と見なすことができる。
●小胞体
構造:リボソームが付着している粗面小胞体(そめんしょうほうたい)と、付着していない滑面小胞体(かつめんしょうほうたい)がある。
*リボソームがたくさんくっ付いていて、表「面」を触るとざらざらして「粗」そうだから「粗面」小胞体と覚えよう。
はたらき:多様な働きがあるが、特にテストでは「物質の輸送に関わる」「物質の輸送路」と表現されることが多い(タンパク質が入った小胞がゴルジ体に送られる。「小胞をつくるから小胞体」と覚えよう)。
●ゴルジ体
構造:へん平な袋状の構造が層状に重なっている。動物の消化管の腺細胞など、分泌と関係ある細胞で多い。
はたらき:物質の濃縮・分泌・修飾(タンパク質への糖の付加など)。
たとえば、ゴルジ体は、小胞体から小胞を受け取り、内容物を修飾した後、細胞外に向けて分泌したりしている。
●中心体
構造:微小管からなる中心粒を含む。膜に包まれていない。直交する1対の中心小体(中心粒)から微小管が伸びている。中心体は、動物と、コケやシダなど精子を作る植物に存在する。
はたらき:紡錘体の形成。べん毛・繊毛の形成。
語呂「せんべいにチューしよう(繊毛・鞭毛、中心体)」
*中心小体には、九個の三連微小管が配置されていると考えられている。
noteに簡単な図があります。
https://note.com/yaguchihappy/n/n9ffb0ce38365
●トランスポゾンを発見しノーベル賞を受賞したマクリントックは、次のように語っている。「細胞を顕微鏡で観察するとき、私はあたかも細胞の中に降りていき、その辺りを見回すのです」
●膜で包む、という進化は非常に重大な意味を持つ。それは自己と他人を分ける、はじめの仕切りである。生物基礎で「すべての生物は細胞でできている」と習うが、細胞とは、「細胞膜で包まれた構造体」なので、その本質は「膜」の仕切りである。外液(他者)と内液(自己)を分けることが、生命のはじまりであった。極性をもつ水を、水から分けるには、極性を持たない脂質で仕切るのがよい。生体膜が脂質でできているのは偶然ではない。
問題:二重膜でつつまれた構造体はどれか。また、膜で包まれていない構造体はどれか。すべて選べ。
①リボソーム ②ゴルジ体 ③液胞 ④ミトコンドリア
⑤中心体
答え:二重膜④、膜で包まれていない①⑤
「the key to every biological problem must finally be sought in the cell; for every living organism is, or at some time has been, a cell.」
(生物学のあらゆる問題を解く鍵は、最終的には細胞に求めなければならない。なぜなら、すべての生物は1個の細胞であるか、または過去のどこかで1個の細胞であったからである。)
E.B.ウィルソン『The cell in development and heredity』より
#生物
#高校生物
#細胞