【 note : https://note.com/yaguchihappy 】
c DNA(相補的DNA)について講義します。
問題:DNAを鋳型にRNAを合成する酵素を何というか。漢字5字で答えよ。
答え:逆転写酵素
●『DNA断片を増幅させる操作』をクローニングという。大腸菌にヒトの遺伝子を導入し、ヒトのタンパク質を転写・翻訳によってつくらせることも可能である。その際は、大腸菌などの細菌にスプライシングのしくみが無いことに注意しなければならない。スプライシングが起こってはじめて正常なタンパク質の情報を持つような場合は、あらかじめスプライシングが起きた後の成熟mRNAを逆転写してcDNAとし、それをプラスミドに組み込む必要がある。
●実際は、cDNAが「得られるか得られないか」ではなく、「どの程度の存在比で得られたか」を測定することで(電気泳動のバンドの太さなどからDNAの存在量が推定できる)、その遺伝子の発現の「強度」、どの程度の勢いで発現しているかまで見ることができる。
●cDNAはcomplementary DNAの略で、相補DNAという。あるRNA鎖と相補的な塩基配列をもつ一本鎖DNA、または、そのようなDNA鎖と、それに相補的な塩基配列のDNA鎖とからなる二本鎖DNAを指す。
RNA鎖と相補的な一本鎖DNAは、そのRNAを鋳型として、適当なプライマーの存在下でRNA依存性DNAポリメラーゼ(逆転写酵素)によって合成できる。mRNAを鋳型にする場合は、ポリAがちょうど良いプライマー結合部位になる。
また、一本鎖のcDNAを合成後、 RNAアーゼを作用させ、RNA部分を取り除き、一本鎖cDNAを鋳型にして、DNAポリメラーゼによって、二本鎖のcDNAを合成することができる。
●c DNAで研究できない領域は、たとえば、転写因子が結合する領域の DNAである。そのような配列からはRNAが転写されないので、c DNAのライブラリーの中には入ってこない。
●この動画の中で、RNAは不安定だから使えないんですよ、くらいのニュアンスで DNAにするメリットを口走っているが、当然、しっかり管理してRNA分解酵素を阻害すれば、RNAのまま研究を続けられる。しかし核酸を長期間保存したいと思ったら、普通DNAにして冷凍保存する。
また、板書に「mRNA」と相補的な、とあるが、正確には、RNAと相補的な塩基配列をもつDNAを相補的DNAという。mRNAに限定する必要はない。
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