【 note : https://note.com/yaguchihappy 】
DNAにおける特定の塩基配列の出現頻度について講義します。
●回文配列でない制限酵素認識配列もある。しかし、一部の私大では、それを自分で判断して無視しなければ解けない問題もある。最悪の悪問だがしかたない。リード文から意図を読み判断するしかない。
●どうして制限酵素認識配列がふつう回文配列になっているのかは、色々説がある。もしかしたら、間違って余計な配列を認識しないように、認識配列の出現頻度を下げているのかもしれない(細菌は、自分のDNAはメチル化させて侵入したウイルスと区別し、制限酵素による切断を避けているが、それでも、認識配列が多数あったら、メチル化をたくさんしておかなければならず、面倒である)。
●たとえば、4の4乗塩基対のDNAがあったとする。その塩基配列にこの動画のQ 1の配列は何箇所あるだろうか?
せっかくなので、この説明欄では、この動画とは視点を変えて、上の鎖と下の鎖を別々に見ていくやり方で考えてみよう。
4の4乗塩基「対」あるということは、上の鎖には4の4乗塩基、下の鎖にも4の4乗塩基あるということになる。
上の鎖にはAAACは何箇所あるだろう?
(以降、左側を5’とする)
AAACの並びが現れる確率は4の4乗分の1だから、
4の4乗分の1 × 4の4乗塩基
=1
で、
上の鎖にはAAACは一箇所存在することになる。
下の鎖には、AAACは何箇所あるだろうか。(5'を左側とする)
同じ計算式により、同様に、下の鎖でも一箇所のAAACがあることがわかる。
したがって、4の4乗塩基「対」のDNAには、問題に示された配列は、二箇所存在することになる。
●たとえば、4の6乗塩基対のDNAがあったとする。その塩基配列にこの動画のQ 2の配列は何箇所あるだろうか?
上の鎖(4の6乗個の塩基が並んでいる)にGAATTCが出現する確率は、(左側を5'とする)
4の6乗分の1である。だから、上の鎖にはGAATTCは一箇所ある。・・・★
下の鎖でも、4の6乗分の1の確率で同じGAATTCの配列が現れる。
しかし、下の鎖に存在するGAATTCは、先程、(★)上の鎖で数えた場所と一致している!(これは回文配列だからである。)
なので、結局、この二本鎖DNAには、問題の配列は、一箇所しかないことになる。
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