【 note : https://note.com/yaguchihappy 】
人類の進化について講義します。
*動画の中でネアンデルタール人はホモ・サピエンスよりでかかったと口走っていますが、身長はホモ・サピエンスのほうが平均的に大きかっただろうという仮説の方が有力です(しかしネアンデルタール人は屈強だったと考えられています)。
●アウストラロピテクスを猿人、ホモ・エレクトスを原人、ホモ・ネアンデルターレンシスを旧人、ホモ・サピエンスを新人とすることがある。
語呂「偉い現代人、休日に寝るんだ(エレクトスは原人、旧人はネアンデルタール人)」
●よく、人類の進化を表す図として、猿、原人、ホモ・サピエンスが並んで行進すしているような図が描かれる。しかし、実際の人類の進化は、そのような直線的な行進ではなかった。多くの人類がアフリカで生まれ、地球上に、同時に暮らしていた。それは行進というより、歩行者天国に近い。しかし、その多様な人類は、1種、また1種と絶命していった。そして現在、人類は我々ホモ・サピエンス1種のみしかいない。みんなで歩いたはずの歩行者天国を、ふと振り返って見れば、誰一人そこにはいなくなっていたのだ。絶滅した人類の中には、ホモ・サピエンス(我々である)より屈強で、頭もよかったかもしれないホモ・ネアンデルターレンシス(ネアンデルタール人)も含まれる。
●新生代の古第三紀に、まず類人猿が現れた。
例 )現生の類人猿…テナガザル類、オランウータン、ゴリラ、チンパンジー、ボノボ
●新第三紀に、類人猿の中から(ただの二足歩行ではなく)直立二足歩行を行う人類が現れた。
●人類は、以下のような特徴をもつようになった。
・脊椎がS字状に湾曲した。(非常に重要)
・前肢をさまざまな作業に使うことができるようになった。
・後肢に土踏まずができ、歩行に適するようになった。
・直立姿勢で内臓を支えるため、骨盤が幅広くなった。
・大後頭孔(だいこうとうこう)が頭骨の真下に位置し、脳が重くなる(大脳が発達)ことが可能になった。
・眼窩上隆起(がんかじょうりゅうき)が小さくなり、犬歯が小さくなり、あごが退化した(おそらく軟らかいものを食べるようになったから)。
*眼窩上隆起は咀嚼器官の強力な圧力を吸収する装置であると見なされている。
・歯列がU字型から放物線型になった。
●新人(ホモ・サピエンス)にはおとがいがある(歯が小型化したため発達)。
●新第三紀の最初の時代の類人猿プロコンスルは、完全な骨格がケニアから見つかっており、樹上性四足歩行をしていたと考えられている。尾は失っている。プロコンスルは、かつてはチンパンジーやゴリラの直接の祖先とされていたが、現在では、現生の大型類人猿とヒトとの共通の祖先を含む分類群と考えられている。プロコンスルは「コンスルの前」という意味で、当時ロンドン動物園で飼われていたチンパンジーの名前"コンスル"にちなむ(化石がチンパンジーに似ていたことから、発見者のリーキー[イギリスの人類学者]が名付けた)。
●ヒトを系統樹のどこに位置付ければよいのかという問題は、多くの博物学者、生物学者を悩ませてきた。リンネは同僚への手紙の中で以下のように感情を吐露している。「私は博物学の原理に則って、ヒトとサルの違いを見つけようと、ありとあらゆるものを調べた。しかし何も見つからなかった。ああ、誰かが1つでも違いを教えてくれたら!」
● 類人猿の仲間から、以下のようなたくさんの『人類』が現れては、絶滅していった。現生するのはホモ・サピエンスのみである。
(1)サヘラントロプス・チャデンシス
(700万年前に出現最初期の人類化石。アフリカのチャドで見つかった。)
*直立二足歩行をしていた可能性が高いが、まだわかっていないことも多い。
(2)アルディピテクス・ラミダス
(440万年前に出現。ラミダス猿人。直立二足歩行した。ラミダスの語源は『根(ルーツ)』。)
*足にアーチ構造がなく、まだ長距離を歩くのは苦手だった。
(3)アウストラロピテクス・アファレンシス
(400万年前に出現。『南の類人猿』の意。アフリカで発見。脳容積350~500cm3)
*ほぼ全身骨格が揃っているルーシーという化石が有名(化石発見時のパーティーでビートルズの『ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ』がかかっていたことからその名がついた)。アウストラロピテクスは「南方の類人猿」という意味。身長100~150cm。アファレンシスの犬歯は、ラミダスより小さくなり、脅しの道具としても役立たないほど退化した。アファレンシスの骨格と筋肉の付き方から考えると、少しドタバタした歩き方だったのではないかとも言われている。
(4)ホモ・ハビリス
(250万年前に出現。『器用な人』が語源。脳容積600~750cm3)
*ホモ・ハビリスは原始的な石器を用いた。全身は体毛に覆われていたが、猿人よりはうすくなった。眼窩上隆起は、嚙む力が強いほど発達する。ハビリスの眼窩上隆起が低くなっていることから、ハビリスは、柔らかい食べ物を食べていたと考えられている(おそらく石器を利用して多様な軟らかい食べ物を得ていたのであろう)。
(5)ホモ・エレクトス
(200万年前に出現。原人。ジャワ原人や北京原人などはこの仲間。『直立する人』が語源。脳容積800~1200cm3)
*体は現代人に近い。ホモ・エレクトスの中には、渋谷を歩いていてもわからないくらい現生人類と似ている者もいただろう。ホモ・エレクトスには、歯のほとんどない化石が見つかっている。この老人は、歯が無くなった後もしばらく生きていた。つまり、介護の概念が存在していた可能性がある。エレクトスは、獲物を追い詰める優れたランナーだったとも考えられている(汗をかくことで体温の上昇を防ぎ、炎天下を長時間走り続けた)。脳容積はアウストラロピテクスのおよそ2倍に増えている(狩りの獲物を食べることで栄養の量が増大したからかもしれない。そして、脳が大きくなることで、より狩りの能力が上昇したのかもしれない)。
*ホモ・エレクトスは、約180万年前に最初の「出アフリカ」を果たした(アフリカを出た)と考えられている。その後、ホモ・エレクトスはユーラシアに広がり、ジャワ原人や北京原人などを残した。
(6)ホモ・ネアンデルターレンシス
(30万年前に出現。旧人。ホモ・サピエンスと交雑したらしい。ネアンデル渓谷で発見。脳容積1400cm3)
*ホモ・ネアンデルターレンシス(ネアンアデルタール人)は、ホモ・サピエンスと比べると、背が低くずんぐりしているが、骨は太く、筋肉量は多かったと考えられている(ホモ・ネアンデルターレンシスは、大きな体を維持するための十分な食料を得られなくなり、数を減らしていったのかもしれない)。手足に大きな障害を負っても生存していた個体があることを示す化石記録は、ホモ・ネアンデルターレンシスに、互いを思いやり、支え合う社会構造があった可能性を示している。なお、ホモ・ネアンデルターレンシスは、洞窟に、いくつもハッシュタグ(#)の模様を刻んでいる。
*ホモ・ネアンデルターレンシスの出現の前に、ホモ・ハイデルベルゲンシスという旧人も出現している(およそホモ・ハイデルベルゲンシスはおよそ60万年前に出現したと考えられている)。ホモ・ネアンデルターレンシスは、ヨーロッパにいたホモ・ハイデルベルゲンシスから分岐したらしい。
*「ネアンデルタール人はホモ・ネアンデルターレンシスという独立の種を形成する」と考える研究者と、「ネアンデルタール人は現生人類と同じホモ・サピエンスの中に分類される」と考える研究者がいる。未だ決着はついていない。
*ホモ・エレクトスと、ホモ・ネアンデルターレンシスはアフリカ以外にも分布していた。
(7)ホモ・サピエンス
(20万年前に出現。新人。おとがいをもつ。唯一現存している。動物界ー脊椎動物門ーほ乳綱ー霊長目ーヒト科ーホモ属。脳容積1000~2000cm3)
*現代人と同様の骨格形態特徴を示す人類を新人という。現在では、ホモ・サピエンスのみが新人に含まれる。あなたはホモ・サピエンスである。クロマニョン洞窟から発見された化石人類であるクロマニョン人もホモ・サピエンスであり(おとがいをもつ)、新人に含める。
*ホモ・サピエンスは、およそ20万年前にアフリカに現れた(アフリカにいたホモ・ハイデルベルゲンシスから分岐したらしい)。10万年前頃からホモ・サピエンスの一部がアフリカを出始めた。3万年前までホモ・ネアンデルターレンシスもヨーロッパと西アジアに生存しており、ホモ・サピエンスとホモ・ネアンデルターレンシスは交雑したらしい。
<Q.ホモ・サピエンスは脳が大きいから頭がいいんだよね?…実は、脳の大きさと知能(知能をどう定義するのかについては難しい問題があるが)の関係については、まだよくわかっていない。しかし、ホモ・サピエンスへの進化の過程で、脳の巨大化が起こってきたことは間違いないと思われる。ただし、インドネシアのフローレス島で発見された非常に小型の人類、ホモ・フロレシエンシス(身長は成人で1mほど。5万年くらい前までフローレス島にいたと考えられている)は、骨格形態上は原人に分類されるが、その脳の容積は猿人並みに小さい。その脳の容積は、現代人の3分の1程度である。このことは、人類における脳の進化が「巨大化」という一本道ではない可能性を示唆している(ホモ・フロレシエンシスは、ホモ・エレクトスが孤立した島の環境で矮小化した結果現れたものだとする説が主流であるが、まだ謎が多い)。>
問題:一般的な人類の特徴について説明した以下の文章のうち、誤っているものを1つ選べ。
①直立二足歩行をする。
②大後頭孔(頭骨と首を繋ぐ部分)が、類人猿に比べ前方に移動し、頭部の真下に位置している。
③脊柱がS字である。
④足がアーチ状であり、土踏まずがある。
⑤犬歯が小さい。
⑥すべての人類には『おとがい』がない。
答え:⑥(おとがいは新人[ホモ・サピエンス]の特徴である)
生物の進化についての講義はこちら • 生物の進化 高校生物
●古い参考書、一部の歴史の教科書には、ピテカントロプスという言葉が出てくるかもしれない(昔の大ヒットソング『さよなら人類』にも出てきますね)。ピテカントロプス・エレクトスは、ジャワ原人のことで、今はホモ属に加えられ、ホモ・エレクトスと呼ばれている。
0:00 人類
0:27 サヘラントロプス・チャデンシス
0:52 アルディピテクス・ラミダス
1:43 アウストラロピテクス・アファレンシス
3:31 ホモ・ハビリス
5:27 ホモ・エレクトス
7:25 ホモ・ネアンデルターレンシス
7:48 ホモ・サピエンス(20万年前)
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