系統
系統とは
生物の進化の過程に基づく類縁関係を系統という。
系統は、生物の形態、細胞の構造、DNAやアミノ酸の塩基配列などを比較することで、推定することができる。
(最近はDNAやアミノ酸の配列から考えられることが多い。)
教科書では、「進化の道筋=系統」と紹介されることも多い。(意味は同じ)
といっても、このような定義を聞いてもピンと来ないかもしれない。
以下で具体例を通じて意味をつかんでいこう!
系統樹の例
系統は、木の枝のように図示することができる。この図を系統樹という。
以下で2種類の系統樹について見ていこう。
①脊椎動物の系統樹
脊椎動物の系統樹は以下のようになる。
脊椎動物は、脊椎を持つ共通の祖先から、
①一部の時期に四肢を持ち肺呼吸をする種が現れた
②一生四肢を持ち肺呼吸をする種が現れた
③胎生の種が現れた
という風に進化の道筋をたどり、様々なグループに分かれていった。
これが、「脊椎動物の系統」である。
②全ての生物の系統樹
一方で、生物全体での系統樹は以下のようになる。
細菌もアーキア(古細菌)も原核生物なのだが、この系統樹では細菌もアーキアよりも、アーキアと真核生物のほうが系統が近い。
これはDNAやアミノ酸の配列が似ているかどうかを基準に系統樹を描いた結果である。
このように、形態の特徴ではなく、分子の配列を基準にして作った系統樹を、「分子系統樹」という。
まとめ
なんとなくイメージはつかめただろうか。
このように、進化の過程でこういう風に分かれましたよという関係性のことを「系統」というのである。
※「系統A,系統B」について
免疫の問題などで、しばしば「系統Aのマウス」「系統Bのマウス」といった風に「系統」という言葉が用いられることがある。
この場合の「系統」の異なる個体は、祖先が異なる個体同士(→遺伝子が少し異なる)という認識をしておこう!
系統について動画で学びたい人は、「【生物基礎】2進化と系統」をチェック!