【 note : https://note.com/yaguchihappy 】
生物の進化(地質時代と生物の変遷)について講義します(地質時代とは、「地球の誕生後、最古の地層が形成されてから現在までの期間」のことです)。
noteで進化についてもう少し詳しく解説しています。
https://note.com/yaguchihappy/n/n9f56d6bac5ad
※現在の高校教科書では、顎のある魚類の出現をシルル紀としている。
●語呂(論理で導けない事項を覚えるために、参考として示す。なるべく語呂は自分で考えよ)
「先にえーで(先カンブリア時代、エディアカラ生物群。えーで[どうぞの関西弁]という優しい口調から、柔らかい体を持つ多細胞生物であるエディアカラ生物群をイメージする。エディアカラ生物群には動物食性の捕食者はあまりいなかったのではないかと考えられている)」
「缶バッチじゃん!(カンブリア紀、バージェス動物群、チェンジャン動物群)」
「あごの有る魚類もおるど(あごを持つ魚類出現、オルドビス紀)」
「中年(中生代)の白髪(白亜紀)爺ら参上(ジュラ、三畳紀)」
「古い(古生代)ベッドルーム(ペルム紀)の石炭(石炭紀)ストーブで盆に(デボン紀)知る(シルル紀)悪寒(オルドビス紀、カンブリア紀)」
「ジュラ紀はジュラシックパーク(ジュラ紀に恐竜大繁栄。)」
「オルドビス紀のオはオゾン層のオ」※ただし、オゾン層がいつ形成されたかについては諸説あり、もっとずっと前から形成されていたとする説もある。
「シクシク(クックソニア 、シルル紀、シダ植物)」
「デボーン、蛙飛び込む水の音(デボン紀、両生類出現)」*デボン紀に両生類出現を覚えたら、「デボン紀の次の石炭紀で、もう一歩陸上化を進めて、爬虫類出現」と覚える。
「哺乳類参上(哺乳類は三畳紀に出現)」
「恐竜、真っ白に燃え尽きたぜ(白亜紀に恐竜絶滅)」
「白い花(白亜紀に花を咲かせる被子植物出現)」
●人類の進化の講義はこちら • 人類の進化 高校生物
*「ヒト」の定義は様々であるので、現在使われている教科書に定義をあわせてほしい。板書の「ヒト」は広義のヒトを指す。狭義の「ヒト」はホモ・サピエンス(現生の人類)のみを指す。
●古生代、中生代、新生代の字に「生」という字が入っているのは、「生物」を用いて区分された時代だからである。
●シアノバクテリアがおよそ27から30億年前に誕生したのは、もしかしたらこの時期に地球に磁気が生じたことが関係しているのかもしれない。巨大な地球の磁気は太陽から飛来する有害な粒子を防いでくれるバリアになっている。磁気圏が誕生したおかげで、生物が比較的浅い海に進出できるようになった可能性がある。
●石炭紀の木生シダの大森林には昆虫にかじられた跡があった(昆虫の出現は石炭紀以前、デボン紀と考えられている)。
●シルル紀にはクックソニア の化石→シルル紀には生物の陸上化が可能になっていた=それより前、オルドビス紀にはオゾン層が形成されていた。
●恐竜の定義を「トリケラトプスと鳥類の最も近い共通祖先から進化した子孫全て」とすれば、恐竜の一部は絶滅せず、現代も、鳥類として生き延びていることになる。岩波生物学辞典の言葉を借りれば、「恐竜はすべて絶滅したわけではなく、その一部が鳥類に進化して現代まで生き延びたことになる」
●適応放散とは、「単一の系統から分化して、さまざまな環境に進出し、多様化すること」。
*適応放散は、より厳密には、「同一種の生物が、異なった地域におけるさまざまな環境に最も適応した形質を進化させていくことにより、種分化を起こして多数の異なった系統に分岐し、時間の経過とともにその分岐の程度が強まること」である。
●約20~30億年前の地層から大量に発見されたストロマトライト(主にシアノバクテリアの成長・代謝により形成される生物岩)は、初期のシアノバクテリアによってつくられたと考えられている。
*シアノバクテリアの中には、表面に方解石(カルシウムの炭酸塩鉱物)を沈殿させて石灰質骨格をつくるものがある。そのようなシアノバクテリアの活動によって形成されたものがストロマトライトであると考えられている(ストロマトライト:シアノバクテリアの成長や代謝により、堆積物の固着や炭酸塩の沈殿が起こることで形成される生物岩)。ストロマトライトは現在もオーストラリアで形成されている。約23億年前以降の地層から他産され、この時期は地球大気の酸素分圧上昇期と重なるため、シアノバクテリアによる酸素発生型の光合成が始まった証拠となる。
●地質時代の語源は以下の通り。
・カンブリア紀 英国ウェールズ地方の古名カンブリアに基づき、セジウィックが命名。ケルト語で「同郷人」に由来。
・オルドビス紀 英国の北ウェールズ地方にローマ人の征服以前に住んでいた古代ケルト族の名前オルドビスをとり、ラップワースにより提唱された地層区分。
・シルル紀 ラテン語のシルル人から。シルル人とは、ローマ人が英国征服当時、この地方に住んでいて、ローマ政権に反抗した勇敢な民族の名前。
・デボン紀 イギリスの南西州デボンシャーのラテン語Devoniaから。
・石炭紀(Carboniferous Period ) ラテン語の木炭(carbon)と、〜を産する(-fer)から。
・ペルム紀 この地層がよく発達している東ロシアの地名ペルムから。昔は二畳紀と呼んだ。
・三畳紀 ギリシャ語の3(トリ)に由来。この地層が典型的に発達しているドイツでは、コイパー、ムシェルカルク、ブントザントシュタインの3種類の地層からなることによる。これを漢字で三畳としたのは原田豊吉とされる。畳の字は、疊とも書き、(テストに書いてはいけない)これは「多く積み重なる」という意味である。
・ジュラ紀 ジュラ山脈から。ドイツ語ではユラと読む。
・白亜紀 ラテン語のCretaceous が語源で、これはcreta(白亜)の形容詞形。地質時代の名称に使われるのは、イングランドやフランスに広がるチョーク(白亜)層について、フランスのダロイがCretaceous と名付けたため。
・第三紀 18世紀はじめにヨーロッパで、結晶質の岩石を主とする金属鉱床を伴う山及び岩石を第一期層、石灰岩などからなり、鉱床は少なく化石を含む山を第二期と呼んでいた。これに付け加える形で、イタリアのアルデュイノが、礫、砂、粘土、泥灰岩などの地層からなる低い山およびその地層に対して「第三の」と呼んだのが始まり。第一期、第二期はその後廃れ、第三だけが今でも使われている。
余談だが、皮肉で有名なビアスの『悪魔の辞典』では、第三紀層は、「鉄道線路、…カビの生えた長靴、ビール瓶、トマトの缶、酔っ払った市民、無政府主義者…それにバカ者から成る」と定義される。
問題:①恐竜の絶滅 ②両生類の出現 は、それぞれ何紀の出来事か。
答え:①白亜紀 ②デボン紀
問題:鳥の翼と昆虫の翅は( ① )器官である。また、鳥の翼とヒトの手は( ② )器官である。相似、相同のどちらかを選んで空欄を埋めよ。
答え:①相似 ②相同
(たいてい、似てる器官を選べば相似器官である。「似てるだけ」で起源が異なる、という意味だから。)
問題:デボン紀になると、リニアなどの古生マツバラン類シダ植物のような植物が出現した。古生マツバラン類は気孔、維管束をもち、クチクラ層を発達させた。クチクラ層は陸上への適応においてどのようなはたらきをもつか。
答え:体表面からの水の損失を防ぐ。
*高校ではクックソニアには維管束は確認されないとする。
問題:爬虫類は陸上へ適応した。爬虫類が両生類より陸上生活に適応したことを述べた文を2つ選べ。
①体内受精を行う。
②胚膜によって胚を保護する。
③皮膚で外呼吸をする。
答え:①②
●最後の、人類の文明が誕生した時間を言い飛ばしています。12月31日「11時」59分です。すみません。
●リンボクはツクシではありません。念のため(リンボクよりも、ロボクのほうがトクサと近縁であると考えられている)。
●始祖鳥は現生鳥類の直接の祖先ではないと考えられている。なので、ジュラ紀に鳥類出現という高校教科書の表現は怪しい。ただし、センター試験でも問われたように、入試では、ジュラ紀に鳥類出現としておこう。問題が悪い。そもそも、「〇〇紀に〇〇が出現」という表現は、どこまでの特徴をもつ生物をそのグループに分類するかという議論に関わってくる。
●当然、被子植物と昆虫は「仲良く」やってきたわけではない。『共進化(複数の種が互いに生存や繁殖に影響を及ぼしあいながら進化する現象)』が起きたことは間違いないが、お互い、自分が有利になるように、ぎりぎりの進化的な競争、騙し合いが行われてきた(変異が繰り返されてきた)。
●動画冒頭の、「地球の歴史が古すぎる」というのは、何と比べて古すぎるのかと言うと、聖書の記述と比べて古すぎるのである。キュビエは、定期的な大激変を仮定し(化石はその際に滅ぼされた生命であるとした)、聖書の記述は、最新の大激変の後の物語に適用できるとした。最新の大激変と言うのは、ノアの大洪水である。
●動画では、キュビエが複数回の創造を想定したという説に従って説明をしている(東京化学同人『生物学辞典』「キュビエの原則」の項目等を参照)が、キュビエ自身は、直接には複数の創造があったとは言わなかったという説が主流である。(実際、キュビエ説から独断論を展開したのはキュビエの弟子たち、特にアルシード・ドルビニーとすることが多い)。しかし、山名邦治『生物学史』(成運堂書店)によれば「化石記録の研究によりキュービエー等は…生物の新しき型…が岩石中に発見さるることを知ったのである。…種の不変にして固定を信じていたキュービエーは…地球上に時々大天変地異が起こったのだということを想定するより他に途がなかったのである。で其最も最近なものは例のノアの大洪水で恐らく此も最後のものではあるまいと信じていたのである。彼によればこれらの天変地異はすべての生物を絶滅させ、その後に地球の回復が行われ、新生物の創造によって又繁殖されるのだと想像したのである。」「化石の生物は絶滅した種族に属するという結論に達し、従って全生物は共に絶滅するというキュービエ―の信仰は天変地異説を生むに至ったのである。此れに反しラマルクのある種族は絶滅し他のものは変異をなして連鎖するという観察はキュービエ―説に反しているのである」とある。
何より、キュビエはラマルクの「一つの地質時代に属する生物のすべてが絶滅するのではなくして其の或るものは次代にも連続している」という説を頑なに認めず、ラマルクを痛烈に批判し続けた(ラマルク自身は著書『動物哲学』の中で、実際に観察される局部的天災と、キュビエらの持ち出した全世界的変災を明確に区別している)。
キュビエにとって重要であったのは神が創造した「種が不変」ということであった。だからこそ、『様々な地質時代に見つかる異形の化石の数々』と言う難題を解決するために(聖書の解釈と化石の存在をうまくかみ合わせるために)、天変地異を想定せざるを得なかったのである。また、生物の自然発生説と創造についての宗教的議論も考慮しなくてはならない。神学者の言う創造と、生物学者の言う種の出現に根本概念的な違いがあることは言うまでもない。ちなみに、キュビエは自然発生説を尊奉していた。まあ高校生は何も気にしなくてよい。大学入試ではキュビエや天変地異説などまず問われない。
0:00 先カンブリア時代
4:45 カンブリア紀
6:36 オルドビス紀
6:54 シルル紀
8:54 デボン紀
10:35 石炭紀
11:37 ペルム紀
12:48 三畳紀
13:04 ジュラ紀
14:25 白亜紀
16:44 新生代
17:05 地球誕生から今まで
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#地質時代
#高校生物