【 note : https://note.com/yaguchihappy 】
カエル(両生類)の尾芽胚の断面、及び胚葉の分化・器官形成について講義します。
語呂「神秘は大切(真皮は体節由来)」
語呂「さくっと消失(脊索は消失)」
語呂「うちの工場で乾杯しよう!(内胚葉、甲状腺、肝臓、肺、消化管)」
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問題:中胚葉由来のものを4つ選べ。
①表皮 ②真皮 ③脊索 ④心臓 ⑤肝臓 ⑥腎臓 ⑦肺 ⑧すい臓 ⑨甲状腺
答え:②③④⑥
(甲状腺とすい臓は内胚葉由来。すい臓はすい液を出すことから、消化系とわかるだろう。)
●外胚葉・中胚葉・内胚葉から様々な器官が分化していく。
(1)外胚葉から分化するもの
表皮⇒皮膚の表皮、角膜(かくまく)、水晶体
神経管⇒脳、脊髄(せきずい)、網膜(もうまく)
(2)中胚葉から分化するもの
脊索(せきさく)⇒退化する(非常によくテストに出る!!!)
体節(たいせつ)⇒骨、骨格筋、(背側の)真皮(しんぴ)
腎節(じんせつ)⇒腎臓、輸尿管(ゆにょうかん)
側板(そくばん)⇒心臓、血管、血球、平滑筋、腸間膜(ちょうかんまく。腸をつるして定着させる膜)
*実際は、側板は、内外2層に分離する。内側を内臓板中胚葉、外側を体壁板中胚葉と呼ぶ。両者の間にできる空洞を体腔という。内臓板中胚葉からは心臓などが、体壁板中胚葉からは腹側真皮などが生じる。
(3)内胚葉から分化するもの
消化管(腸管)⇒胃・腸の内壁、肝臓、すい臓、甲状腺、肺、えら
*(正確な表現ではないが)もともと我々は肺を持たない魚だった。消化管の一部がふくらみ、原始的な肺となったと考えられている。内胚葉から肺が生じるのは自然なことである。
●哺乳類の卵を発見したことで有名なロシアの動物学者ベーアは、『発生途中の胚において数層の組織が形成され、それぞれの層から様々な分化した器官が形成される』ことを示した。彼はこの最初に生じる層をgerm layer、すなわち『胚葉』と呼んだ(germは、生命の種子に含まれるすべての小さな対象に対する総称である)。はじめ各胚葉は互いに独立であるとされると考えられていたが、後に、オランダの発生生物学者ニューコープは、メキシコサンショウウオの胞胚のアニマルキャップ(予定外胚葉域)と植物極半球(予定内胚葉域)を接触させる実験を行い、外胚葉が内胚葉からの誘導によって中胚葉に変わることを示した(中胚葉誘導)。
●脊索は、脊索動物に生じる、神経管の直下を前後に走る棒状の支持器官である。脊索は脊索動物の発生において重要な役割をもっている。脊索予定領域は原腸陥入に伴い、胚内に移動して外胚葉を裏打ちする。そして形成体として神経誘導を引き起こす。(また、脊索は、周りの複数の組織に影響を及ぼす。例えば硬節や筋節の分化の促進、神経堤細胞の移動の抑制、神経管の腹側化などに働く。)
●脊椎動物において、神経胚に次ぐ発生段階を尾芽胚期という(大学では、ステージで細かく分けて研究するのが普通。たとえば、神経胚を研究する時は、神経板ができて、それが閉じ始めるところから、神経管として完全に閉じるところまで、細かなステージ分けが必要である)。
●側板からは平滑筋も分化することがわかっているが、平滑筋の分化については、骨格筋ほどまだ十分に知見が集まっていない。
●入試や教科書に合わせて単純化して解説するために、省略したことも多い。たとえば、生殖器と言っても、様々な構造が含まれるので、単純に由来を述べることはできない(ただ、まあ、腎節[中間中胚葉]が腎臓や生殖腺の原基になるといってよかろう。東京化学同人『生物学辞典』も、腎節から生殖輸管[輸卵管・輸精管]が分化するとしている)。それに、もっと言えば、生殖器はオスとメスで異なる。オスとメスで発生はどう異なるのか?そこに始原生殖細胞はどうやってくるのか?研究中である。
●動画でも述べたが、近い位置に形成されるからといって、発生学的な起源が同じとは限らない(網膜が神経由来、水晶体が表皮由来なように)。ただ、脊椎動物では、発生学的に排出器官と生殖器の分化には密接な関係があって、排出器官と生殖器は、まとめて泌尿生殖器官と総称される。
●当然、生物によって器官形成には違いがある。ヒトはカエルに似ている(前後背腹軸、四肢がある所が似ている)が、ヒトはカエルではない。
0:00 尾芽胚
0:23 外胚葉(表皮・神経管)
2:49 内胚葉(消化管・肝臓・肺)
4:12 中胚葉(体節・腎節・脊索・側板)
9:13 神経堤細胞
#尾芽胚
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